第14回市房山登山マラソン(2003.10.19)

一昨年は中止、昨年も霧雨煙る中でのレースと、天候に恵まれなかった市房山登山マラソン。
3度目の参加となる今年は、秋晴れの爽やかな天気。山頂から二ツ岩までのギザギザの縦走路が、麓からくっきり見える。マラソンの苦しさ、縦走路や下山路の危なさよりも、登山の楽しみの方が先に立つ。
頂上からの眺め、稜線からの眺め、紅葉・・・

カメラをチェック。撮影可能枚数、200枚以上。電池残量は半分くらいだが、予備電池があるので心配なし。
準備完了!・・・で、準備体操は?

 
9:00スタート。

スタートから4kmは、ずっと上りどおりの舗装路区間。登山道に入ってからの急勾配を思えば「ウォーミングアップ」みたいな上り坂かもしれないが、登山道と違って堂々と歩けないのが辛いところ。 何とか走りきり、キャンプ場内の第1エイド(水とおにぎり)は素通りして、登山道に入る。
この時点で、テツさんと酒好きランナーさんは視界の遙か彼方、原田さんは数十m先、めたろ〜さんと桜井さんが数十m後ろ。

鳥居の立つ登山口から4合目の市房神社までは「参道」。とは言っても前日のようなきれいな石段がつけられているわけではなく、薄暗い樹林帯の中、木の根が這い回る上り一辺倒の道を歩いて行くこととなる。
こういう道にはめっぽう強いめたろ〜さんが猛ダッシュ(早歩き)で追い抜き、あっという間に杉木立の中のい点となり、消えた。後を追うように桜井さんもスピードアップ。写真を撮っているうちに原田さんとも距離が開いた。
市房神社に到着。武運長久や縁結びに御利益があるとのことだが、とりあえずレースの安全を祈って拝礼。ここから先は、息つく暇もない・・・いや、息も絶え絶えの急登が続く。
「馬の背」と呼ばれる6合目の岩場から山頂部が見えた。岩の間からは冷たい水が湧き出ている。
急登は7合目を過ぎたあたりからすこし緩やかになり、うっそうとした登山道も次第に明るくなってきた。去年はこのあたりから見事な紅葉が始まったのだが、今年の色づきはいまいち。
本格的な紅葉はこれから? それとも、もう終わり?
この日早朝の山頂の気温は氷点下に達したとのこと。

9合目からはさらに緩やかな稜線の道に変わる。日差しが心地よい。

山頂に到着。晴れて眺望抜群といいたいところだが、遠望はいまひとつ。霞の彼方に霧島連峰が浮かぶ。
山頂からは進路を北に取り、約2.5km先の二ツ岩までの縦走路に入る。途中に7つのピークを持つというノコギリ稜線。
山頂のすぐ下に「心見ノ橋」と呼ばれるチョックストーンがある(左の全景は昨年撮影したもの)。マラソンコースとしては、岩の脇を下りてゆく迂回ルートを通る人が多いが、天気がいいので岩の上に這い上がってみた。(右)は岩の上からの眺め。湯山地区が一望できる。
足場がぐらつくわけでも、岩が脆いわけでもないが、何だか谷底に吸い込まれて、落ちていきそうに感じた。心に迷いがあったからかも?

心見ノ橋を渡り、突き当たりまで行くと、これから向かう二ツ岩方面の展望が大きく広がる。
天気が良く、遙か下まで見通しのきく縦走路は高度感満点だが、昨年に比べ足元がしっかりして滑りにくく、想像していたほどの怖さは感じなかった。アップダウンが多く変化に富みスリリングで眺めも良い、素晴らしい縦走ルートである。ただ駆け抜けるにはあまりにもったいない。できることならまた、登山のみを目的に訪れてみたい。
5月上旬にはツクシアケボノツツジの群生が見られるという。

道端に咲いていた「熊本県の県花」リンドウ。
切り立って狭い稜線は、場所によってさらに細くなっている。二ツ岩手前の(左)のあたりはごらんの通りの「ナイフエッジ」。縦走路が県の境界線となっており、右(=東)は宮崎県、左=(西)は熊本県になる。稜線上は酸性雨の影響か立ち枯れた木々が目立ち、所々で崩壊もはじまっているように見えた。

縦走路途中から、東側(宮崎県)の眺め。
2〜3本まとめて垂らされたロープを伝って登る「岩壁」。ここを越えると、縦走路終点の二ツ岩(右)はすぐそこ。
山頂からここまで、約1時間。距離のわりに時間を食ったが、縦走は楽しく、眺めも良かった。あとは下りるだけ。
・・・しかし、ここで安心するわけにはいかない。
レース中で一番注意を要するのが、二ツ岩から林道までの下り。下りはじめではまたしてもロープを頼りの岩登り、その先は「ホントにここ下りるの?」と言いたくなるような急斜面から次第に走れるようになってくるものの、足を引っ掛けそうな木の根や、飛び降りなければならない段差も多い。足・腰・ヒザに悪いこと、この上ない。
落葉の始まった明るい森が次第に暗くなり、やがてスギ・ヒノキの植林帯へ。周囲の眺めも含め、まるで上りの2倍速(いや、3倍くらい?)逆回しのような勢いで山を下る。植林帯の中には一部ロープの張られた急斜面があり、下りはじめからずっと後をつけてきた原田さんがここで失速、追い越して一足先に林道へ出る。
(右)林道の上、青空高くそびえる市房山。「あんなとこから下りて来たんだなぁ。」と感慨にふけるにはまだ早い。ゴールまでまだ9km近く下り坂が続くのだから。
ラスト10kmの下りは、最初の3kmほどが未舗装の林道、その先は若干の上りを交えた舗装路となり、市房山登山道入口(鳥居の前)で往路と合流、あとは往路を逆向きに湯山小学校まで下りる。
久々、そして最後の「まともに走れる道」。下る勢いにまかせて、どんどんスピードを上げる・・・しかし、市房山の上りで見失ったい点、たぶん縦走路か下りのどこかで追いつけるんじゃないかと思っていためたろ〜さんには、ついに会えずじまい。ああ、これで十種ヶ峰につづいて、登山マラソン2敗目かなぁと思いつつ、小学校への緩いカーブを曲がりきった途端・・・!  「あ、いウェアだ・・・」
できすぎた偶然。驚くより、笑いが出てしまった。。。めたろ〜さん、ごめんなさい。ラストスパートさせてもらいました。「ひどい〜」という叫びを背に受け、一足先にゴール。
写真を撮りまくったにもかかわらず、タイムは去年より25分近く縮まっていた。