温泉名・施設名 寒の地獄旅館
所在地 大分県玖珠郡九重町飯田高原
(0973−79−2124/FAX79−2125)
泉質 単純硫化水素泉
料金 1泊2食12750円より
入浴のみ大人500円、小人300円、家族湯1500円(50分)
設備
内湯 混浴(冷泉)1、男女別1 タオル ×
露天 × 石鹸 ×
サウナ × シャンプー ×
洗い場   ロッカー 100円
その他 家族湯3、足湯(冷泉)あり
営業時間(入浴のみ) 9:00〜17:00(冷泉は7月〜9月)
コメント
(九重山の温泉は)全部で二十もあるそうで、しかもそれぞれ泉質を異にしている。例えば寒地獄と呼ばれる湯は冷泉で、寒さに震えながらもそこの入浴者が絶えないのは、よほど効き目があるからだろう。
深田久弥「日本百名山〜九重山」より
やまなみハイウェイを長者原から牧ノ戸方面へ、急な峠道を上りはじめるとまもなく左手に見えてくる「寒の地獄」の看板。源泉温度が低く沸かして使っている温泉や、逆に熱すぎるので薄めている温泉は珍しくないが、ここの売りは源泉の「冷たさ」。その温度は摂氏13〜14度。飲み頃に冷えたビールと同じくらいである(赤川温泉の源泉もかなり冷たいが、実際は"23度も"ある)。
施設は一軒宿の「寒の地獄旅館」のみ。別府の蒸し湯のようなひなびた(小汚い)湯治場を想像していたところ、最近建て直したのか外観はきれい。ただし冷泉のある建物はかなり年期が入ったものだった。
浴室は男女混浴で、水着(下着でも可)を着用しなければ入浴できない。浴室内には一度に20人くらい入れそうな大きな湯船が2つあるほか、飲泉や足洗い場も設けられている(この冷泉は水虫に効果大という)。

「足湯」もあります。
水風呂に10人くらいの男女が入り、一言もしゃべらずじっと冷泉に浸っている光景は端から見ると異様な感じだが、実際に入ってみると冷たさに声も出ない。最初は痛みに感じるほどだが、しばらくすると体も慣れ、肩まで浸かって顔を洗うくらいの余裕("強がり"ともいう)も出てくる。
15分もすると体が冷えきり、皮膚がしびれたようになってきたので、別室の「暖房室」へ移動。狭い部屋の中央に大きなストーブが居座り、ゴウゴウとすごい音を立てて燃えさかっている。冷泉から上がってきた人がその周囲に並び、やはり無言で暖をとっている。周囲の壁には「○○大学××部」や「**分入浴」(←90分というのも。本当か?)などの落書きがびっしり。気分はまるで寒中水泳大会。
一度火にあたると再び冷水に浸る度胸は消え失せてしまい、そのまま着替えて浴室を出た。宿の周囲から聞こえてくる蝉時雨が別世界の音のように聞こえる。ひんやりとした身体からほのかに硫黄の臭いが漂ってきた。
最新利用年月 2013年7月