明け方、せせらぎの音に混じって雨音を聞いたような気がしたが、宿から出てみると本当に降っていたらしい。ミヤマキリシマの上に雨のしずくが消えずに残っていた。空もどんよりとしている。 2日目は白口岳を越え、いくつかのピークを踏んで長者原に下りるというルート。まずは昨日と逆向きに鉾立峠に上り、白口岳登山道に取りつく。 |
鉾立峠から白口岳への道はかなり急峻で滑りやすい。崩壊しかけたところもあり、上り・下りどちらの利用も要注意。 峠からの取りつきにはミヤマキリシマが多いが、急坂にさしかかるとイワカガミ群落が驚くほどたくさんの花をつけていた。 慎重に足を進めながら高度をぐんぐん上げてゆき、1時間10分ほどで白口岳山頂に到着。強く冷たい風が吹きつけ、半袖1枚ではじっとしていられない寒さ。 |
白口岳からは、向かいに大きく横たわる稲星山を目指す。 ずんぐりした山容は久住高原から仰ぎ見ると迫力満点だが、登山対象としてはあまり知名度が高くない。この日も週末とあって中岳や久住山には多くの人が登っていたが、稲星山を訪れる人はわずかだった。 |
鉾立峠からの急坂に比べれば丘を上がるような感覚で、稲星山頂にあっけなく到着。 山頂標識が立てられた溶岩の岩陰には石仏が安置されている。 |
稲星山からは北の中岳に向かってまっすぐ鞍部に下り、そのまま直登ルートへ。 岩をよじ登ったり乗り越えたりの急峻な道を30分で九州本土最高地点に到達。 昨年、法華院から中岳直登で道を間違え、強引に足を踏み入れてしまったミヤマキリシマの群落には、まだつぼみも付いていなかった。 |
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中岳をはじめ周辺の1700m級のピークは、稲星山に登る頃はまだ時折ガスに覆われていたが、次第に天気が回復し周囲の見晴らしも急速に良くなってきた。 中岳からの眺めをしばし楽しんだ後は、すぐ隣の天狗ヶ城へ足を伸ばす。 |
天狗ヶ城山頂も360度の眺望。御(み)池の向こう、久住山を行き来する登山者が蟻のように見える。 |
天狗ヶ城山頂より、西から北にかけての眺め |
天狗の頂を下り、久住分れにやってきた頃には天気はさらに回復し、一面の青空。昨日(平日)の中高年だらけの法華院とはうって変わり、若い登山者も多い。 しかし久住分れから北千里に下ると人通りはぱったり途切れ、すがもり越までにすれ違ったのはわずか数グループ。すがもり小屋跡を行き交う人も先ほどの賑わいと比べぐっと少ない。 | |
すがもり小屋跡で昼食後、砂防ダム工事が進む三俣山西麓を下り、長者原に戻る。 晴れていたはずの空はいつの間にかどんよりした雲に覆われ、長者原を離れる頃には一時小雨が降った。でも、湯布院から先はまた晴れ。山の天気は気まぐれである。 14時過ぎに駐車場を出発し、宇部市を経て自宅に帰り着いたのは20時前だった。 |