山名/標高 堂床(どうとこ)山/860m
冠(かんむり)山/736m

(冠山山頂から望む堂床山)

登山日・天候 2004年10月16日(土)・晴
行程 南原峡駐車場(10:00)〜加賀津の滝(10:10)〜右折看板・展望地(10:55)〜堂床山山頂(11:10)〜西冠山(12:10)〜冠山山頂(12:25-12:50)〜西冠山(13:00)〜明神ダム分岐(13:25)〜トンネル前(13:35)〜石采の滝(13:45)〜加賀津の滝(14:00)〜南原峡駐車場(14:05)
冠山は広島市の北部、安佐北区(可部)と千代田町の境にそびえる尖峰。山名はその形に由来するものだが、廿日市市(吉和)の冠山など、県内の同名の山と区別するため「可部冠山」と通称される。
山の南麓に明神ダムと南原(なばら)ダムの2つの湖水をたたえ、キャンプ場が整備された南原峡を擁するこの一帯は、山をまたいで石州街道が南北に延び、大正時代まで人馬の往来が盛んであったところ。冠山山頂から少し北に下ると、今も茶屋跡(長助茶屋)が残る可部峠があり、往事の面影を今に伝えている。
南原峡や登山ルート上からは場所により頂上部の「冠」が見える程度で山全体を見渡すことはできないが、広島市内の国道54号線・太田川橋から全容が望めるそうである。
中国自動車道・安佐SA(下り線)のすぐ裏手にある堂床山は、可部冠山の南西にどっしりと横たわり、稜線を伝って縦走が可能。史料によるとかつて山頂に同徳寺(どうとくじ)という廃寺跡があったそうで、これが山名の由来か?
南原峡に清流を落とす加賀津の滝を起点に、明神ダムの周囲を1周+可部冠山山頂を往復する今回のルートは、高低差が大きい健脚向きのコース。山頂は木々に覆われ眺望はない。

広島市の北のはずれ、南原峡の登山者用駐車場から、まずは堂床山めざして登山口のある加賀津の滝へ向かう。
駐車場内には標識がないが、案内板によるとふもとから駐車場まで上ってきた舗装路を直進で旧石州街道を経て可部峠・冠山へ。駐車場の奥に延びる車止めが置かれた未舗装の林道を進むと加賀津の滝である。
林道を歩いて10分足らずで加賀津の滝前に出る。落差30mの三段滝を眺めつつ渓流を渡って、左手の斜面につけられた急な階段(手すり付き)を上る。
階段を上りきり、堂床山の標識に従い急峻な尾根に取りつく。最初はいきなり目の前に大岩が立ち塞がって不安にかられるが、これを乗り越えた後は踏み跡のしっかりした上り道(傾斜きつめ)が続く。
周囲は雑木林で展望はきかない。道の脇にはロープが張られ「入山禁止」のものものしい立て札が目立つ。ここは松茸が採れる山らしい。
だらだらと続く上り坂に飽きてきたころ、ふいに目の前に右折の標識が現れる。振り向くと東 から南にかけての展望が広がる。

右折地点・展望地からの眺め。
右折後、山の斜面をトラバース気味に進む。「ひろしま百山」ではイバラが多く歩きにくいと書かれていたが、現在はすべて刈り払われたためか非常に歩きやすく見通しが良い。ただし踏み跡がはっきりしない場所もあるので、枝に巻かれたテープを見落とさないように。
5〜10分ほどで左折の標識を見て、山頂への最後の上りにかかる。
木々に囲まれた平坦な場所に出て、右に少し進むと一等三角点の山頂。展望は全くない。
ササヤブの中に「展望地」の小さな案内標識があったが、道がはっきりしないため行かなかった。今年はクマの出没が多く、人気のない場所にごそごそ入ってゆくのは気が進まない。堂床山自体も人気なく(登山中誰にも出会わなかった)相当危なっかしい場所だけど。
山頂からは、北の尾根伝いに延びる縦走路に沿って、可部冠山へ。
ササの中に開かれた縦走路は少し進むと急にストンと下りはじめ、明神ダム湖の青い湖面を右手に見ながらどんどん高度を下げてゆく。
遠目にはずんぐり、どっしりとして緩やかな上りを想像させる堂床山だが、いざ取りついてみると意外に急坂が多く登りごたえのある山である。

縦走路は急降下の後、685m、682mなどいくつかの小ピークを越え、アップダウンを繰り返しながら延々と続く。展望はほとんどきかないが、途中に1ヶ所、北から西にかけての展望が良い場所があった。
縦走路を1時間ほどで721mピーク、西冠山の分岐点に到着。冠山山頂はここから上り15〜20分程度。
道は少し下った後上りに転じ次第に傾斜を強め、短いがきつい急登を乗り越えると、見晴らしの良い冠山山頂(三等三角点)に到着。

山頂より、西から北にかけての眺め。画像では判別不能だが、西中国山地の山々も視認できた。

山頂より、南から東にかけての眺め。
西冠山分岐まで戻り、尾根伝いに下山。西冠山は展望が良いとの話だったが、周囲の木々が伸びたせいか、つい見落としたのか、樹間から冠山の頂上部(左)がちらりと見える程度だった。

分岐点を「明神ダム」方向に直進。ダム湖のほとりに出るものと思っていたら、登山道は一気に急降下してダム手前の車道に出てしまった。堰堤ははるか頭上に。

車道を少し下ると、鉄柵のかけられたトンネルの前に出る。ここは関係者以外通行禁止なので、トンネルのすぐ右手から再び地道に入り、踏み跡伝いに南原峡へ。
石采(いしうね)の滝を過ぎしばらく進むといきなり道がなくなり、目の前は断崖。道を間違えたかと焦りながら周囲の枝を見ると・・・テープが巻かれている。恐る恐る崖を下り、続く急斜面を下ると、行きに通った加賀津の滝手前の林道に出た。5分ほどで駐車場に無事到着。