山名/標高

広見山縦走路から望む半四郎山。
右奥にのぞいているのが向半四郎山。
半四郎(はんしろう)山/1126m
広見(ひろみ)山/1187m
登山日・天候 2005年11月3日(木)・曇 
行程 匹見峡レストパーク(08:05)〜国道488号線〜広見林道入口(09:35)〜半四郎山登山口(09:40)〜向半四郎山(10:30-10:35)〜半四郎山(10:50-10:55)〜広見山(11:30-12:05)〜広見林道〜半四郎山登山口(13:35)〜国道488号線〜匹見峡レストパーク(15:10)
半四郎山、広見山は益田市匹見町の北東部に位置する山塊で、広島県境にそびえる恐羅漢山からはちょうど西隣に位置している。山深い匹見町の中でも最奥部にあり、登山者が訪れることも少ない場所だったが、1994年に匹見町により縦走路が開かれ、訪れる人が次第に増えてきた。
半四郎山の山名は、1914(大正3)年3月にこの山で遭難死した木地師の名にちなんでつけられたもので、地図上では無名峰。半四郎山頂手前の1118mピークは「向半四郎山」とも呼ばれ、その名のとおり正面に半四郎山、その奥に広見山を望むことができる。この向半四郎山とその手前のササ尾根が縦走路中で最も展望が良い。
登山口の広見林道までは、いちおう「国道」の称号を得ている488号線を利用することとなるが、裏匹見峡のV字谷に沿ってつけられた道で、カーブが多く見通しが悪いうえに、道幅が狭く離合が困難なため、通行にあたっては細心の注意が必要。

春日山山頂からの眺め。(2002.10)

半四郎山登山口のある広見林道までは、通常は国道488号線を利用して車で行くことになるが、以前からこの道は「酷道」だという話を聞かされていたので、トレーニングも兼ねて自分の足で道路状況を確かめてみようと、裏匹見峡入口の「匹見峡レストパーク」に車を置き、広見林道へ向け出発。
地図上では広見林道まで5〜6kmくらいと予想していたが、実際は小刻みにカーブが多く8kmはあったように思われる。道幅は本当に狭く、軽自動車同士の離合がやっとという印象。
紅葉に彩られた渓谷の眺めが素晴らしい。だからこそこんな狭い道を車が頻繁に行き来するのだろう。
1時間30分歩き続けて、やっと広見林道入口に到着。
林道入口には5〜6台の駐車スペースがあるほか、林道も"ここまでの国道並み"に広く、自動車での通行も可能(もちろん未舗装だが)。かなり奥まで入り込んでいる軽乗用車もあった。
屋敷跡の小さな石碑を見て林道に入り、5分ほどで半四郎山登山口。この少し先にも車のおけるスペースがある。標識には誰かが後で書き込んだのだろう、所要時間「100分」とある。
登山道は最初から急勾配で、杉林の中をほぼまっすぐに上るルート。周囲はひっそりとしている。
杉林を抜け、自然林に入ると勾配はいっそうきつくなるが、周囲の紅葉が鮮やかさを増し疲れを忘れさせる。
さらに進むと、ササ原の中央が刈り払われた尾根道に出て展望が開けてくる。ガイドブックにある尾根出合(登山口から50分)らしい。まだ30分くらいしか歩いてないのだが。
尾根道は進むにつれて展望が良くなり、その先に向半四郎山と思しきピークが見えてきた。
尾根から目を右(北東)に向けると、すぐ隣に赤や黄色の色鮮やかに紅葉した山がそびえている。これが半四郎山だろうか。そしてその奥には、恐羅漢山らしきなだらかな双耳峰も見える。
たどり着いたピークはやはり向半四郎山のようだが、字の消えた木片があるだけで何の標識もない。少しの間展望を楽しみ、向かいの半四郎山?へ進んだ。

向半四郎山からの眺め(北東〜南西)。曇り空で遠くは霞み気味。

半四郎〜広見山の縦走路へ。山肌に色とりどりの点描。視界いっぱいの油絵を見ているかのよう。
遠目には紅葉と常緑樹しか見えなかった半四郎山だが、取りついてみると一面ササに覆われた中に木々が立ち並んでいるという具合で、クマが潜んでいそうな気配が濃厚。辺りはひっそりと静まりかえり、ときどき体を揺すって鈴を余計に鳴らさないと不安でしょうがない。
たどり着いた半四郎山の山頂も、古びた標識があるだけでもの寂しい。すぐに広見山へと向かう。
半四郎山から広見山にかけては特にブナを中心として広葉樹が多い。縦走路も色鮮やかで、しばしば足を止め写真撮影に熱中する・・・が、やはり道以外はヤブに覆われひっそりとした場所なので、長居は危険である。
曇り空とはいえ秋の休日、多少の危険も伴うが、絶好の紅葉をほとんど貸し切りで堪能する。なんという贅沢。
紅葉のトンネルを抜け広見山に到着。山頂は見晴らしの良いササ原の広場で、木々が少ないので周囲が急に色あせ、初冬に変わってしまったような感じ。先に入山していた1組のグループが休憩中だった。
昼食後、先に出たグループの後を追って下山ルートへ入る。

山頂の地面には方位板が並べられ、下山ルートの先には恐羅漢山が大きくそびえ立つ。
山頂から少し下ると再び色鮮やかなブナ林に入る。道は次第に下り勾配を強め、木に捕まらないと転げ落ちてしまいそうな急坂を過ぎて植林帯に入り、徐々に緩やかとなり沢沿いに出る。
沢のそばから突然大きな羽音をさせヤマドリが飛び出してきてびっくり。
しばらくして小川を渡り、広見林道に出る。ここから国道との合流点まで約1時間、平坦だが曲がりくねった砂利道を歩いていくこととなる。
林道自体は単調な道だったが、周囲の渓谷と紅葉との取り合わせが見事で退屈しない。国道に出てからの帰り道も、見飽きることのない渓谷美が続いていたが、早朝とは比較にならない交通量の増加に驚かされた。

レストパークに到着後、匹見峡温泉に入浴。