山名/標高 大江高山(おおえたかやま)/808m
登山日・天候 2006年5月3日(水)・晴 
行程 山田自治会館(08:45)〜飯谷バス停(09:05)〜山辺八代姫命神社(09:20)〜大砲岩(09:40)〜山頂(10:05)〜休憩所(10:35-10:45)〜山田自治会館(11:30)
大江高山火山群は、大田市と旧邇摩郡仁摩町・温泉津町(現在は大田市と合併)の間に大小20数個の溶岩ドームを連ねるトロイデ型火山で、ラクダのこぶを並べたような急峻で特異な山容は三瓶山や西中国山地などからも容易に視認できる。噴火時期は百数十万年前といわれ、このときの火山活動により大森銀山(石見銀山)の銀鉱床が形成された。また、温泉津温泉の泉源もこの火山群に由来するものという。
火山群の主峰、大江高山は山群の南にあり、東西に長く延びた稜線上に大きく2つのピークを持つ。南麓からそれぞれのピークに向かって登山道が設けられており、稜線を縦走することで周回コースをたどることも可能。ただし、山頂に直登する飯谷からのルートはかなりの急斜面で、下りに使う場合、あるいは雨天時・雨上がり後の利用にあたっては足下に充分注意を。
山頂と西側の第2ピーク(779m)それぞれ展望が良く、また見える方角が異なる。飯谷コースからの折り返し登山でも第2ピークまで足を伸ばすことをおすすめする。縦走路上では春先にギフチョウが発生する。産卵期は4月。採ったりせず、見るだけにとどめておこう。

海岸の向こうに特異な稜線を連ねる大江高山火山群。江津市浅利からの眺め。

県道46号線(旧・山陰道)に面した山田バス停と自治会館前から登山道へと続く舗装路が延びている。
道端の案内板には、山へ向かってさらに進んだ先に「大江高山登山口駐車場約10台」と書かれているが、今回は自治会館向かいの消防倉庫前に車を置かせてもらい、まずは県道を歩いて飯谷登山口へ向かった。
人家も車も少なくひっそりとした中で蛙の声だけが賑やかな山間の道を約2kmで、山田地区と同様、案内板と黄色いのぼりの立つ飯谷登山口に到着。
山に向かって続く舗装路は次第に細く急になり、山辺八代姫命(ヤマベヤシロヒメノミコト=天照大神の別名)神社前で行き止まりとなる。道の脇に5〜6台分の駐車スペースあり。石段を上って境内へ。
神社の裏手に登山道が延びている。最初は杉林の中、踏み跡は・・・あるはずだが、杉の葉が覆い被さって判然としない。
涸れた沢を渡り尾根に取りつくと、あとは文字どおりの直登。本当に急坂にまっすぐ付けられた道で、視線を横にやるとその斜度のすごさに驚かされる(右画像)。木の幹も曲がるほどの急斜面、いや、これは積雪のためだろうか。
急坂の途中で植林帯がとぎれ、少し見晴らしのいい場所に出る。
目の前に「←大砲岩」の案内板があり、左を見ると山の中腹にぽつんと立っている巨岩。なるほど大砲のようにも見える。
この展望所から先は自然林に覆われた岩場となる。相変わらず急坂だが直登はできなくなり、テープや踏み跡を頼りに岩を巻いてジグザグに上っていくこととなる。
延々と続く急坂にうんざりしてきたところ、ようやく前方の視界が開け、新緑のまぶしい主稜線にたどり着いた。
ここからは緩やかになった上りを10分ほどで一等三角点の山頂に到着。
北西から南東にかけて大パノラマが広がり、中でも眼下に波打つ大江高山火山群と、東に悠然とそびえる三瓶山が圧巻。空気の澄んだ日はさらに大山や隠岐の島影も視認できるという。

山頂からの眺め(北〜東)。島根半島の先に日御碕灯台が見えることもあると地元の人の話。
山頂で一休みし眺めを楽しんだ後、下山路の山田コースに入る。山頂を離れるとすぐに下りはじめる縦走路の先に第2ピークが高くそびえ、後の上り返しが思いやられたが、実際は急坂というほどの上りもなくのんびり歩けた。結構やせた尾根で、所々道が細くなっている。
道の周囲は木々に覆われ展望はあまりないが、時々木の間から日本海や中国山地の山並み、ふもとの集落などがうかがえる。
稜線上の道はきれいに整備され歩きやすく(山田〜山頂までは毎年草刈りを行っているという話)、途中には地元の人手書きのメッセージ板が立てられている(山田コース6合目にもある)。この山に寄せる地域の誇りと愛情が伝わってくる。
山頂から30分で「休憩所」の表札が立てられた779mピーク。西側の展望が良く(こちらからは三瓶は見えない)山頂と合わせてほぼ360度の眺めとなる。

北西方向の眺め。南西〜南方向(中国山地側)は、木の枝が伸びて視界を遮りはじめていた。
(左)木の枝越しに望む西中国山地。山頂部にゲレンデの跡が残るこの山は阿佐山だろうか。
(右)浅利富士の山頂から狼煙のような煙が上がっている。県立少年自然の家の活動か?
しばらく展望を楽しんだ後、山田コースを下る。こちらも急坂で一気に高度を落としていくが、飯谷コースのようにまっすぐではなくつづら折りの道なので危険を感じることはない。出発からここまで誰にも会わなかったが、下りでは3組の登山者とすれ違った。
看板のある6合目をはじめ、所々で視界が開け、眼下にのどかな山里の風景が広がる。
下りの傾斜が緩やかになり、杉林を抜けると登山道は間もなく終わり、舗装路に変わる。
田植えが進む田んぼを眺めながら道なりに下っていくと、やがて自治会館と消防倉庫が見えてきた。

まだ正午前、天気がいいのでもう一山登ることにしよう・・・>>