山名/標高 雲月山(うづきやま/うんげつさん)/912m
登山日・天候 2006年11月4日(土)・晴
行程 展望台駐車場〜雲月山・特場山〜仲の谷〜展望台駐車場
(所要時間約1時間30分)

中野冠山からの眺め(2005.06)
雲月山は島根県浜田市(旧・那賀郡金城町)と広島県山県郡北広島町(旧・芸北町)を隔てる県境の山。
山名の読みは主に2通りあり、「うんげつさん」は島根県での呼び名。芸北では「うづき」が用いられるが、さらに正式な読みは「うづつきやま」らしく、「芸藩通史」に「宇津々木多和」(たわ=峠)と記載があるのが県道114号線・雲月峠の旧称。北広島町立雲月小学校の読みも「うづつき」である。
また、911.8mの最高地点を「特場(とくじょう)山」と呼ぶこともある。
近くの大佐山、大潰山と同じく、島根県側が急峻な斜面となっているのに対し広島県側は緩斜面となっている。広島県側だけ木がなく、一面草に覆われた特異な山容は、緩斜面を利用した放牧が行われていたため。現在、景観を維持するための山焼きが毎年4月(第2または第3日曜日)に行われている。
登山道は、雲月峠(水場あり)またはその手前(広島寄り)の展望台下の広場から整備された道が延びている。駐車場もあり利用しやすい。県道114号線は概ね広く走りやすい道だが、登山口手前1.5kmあたりから離合困難な狭路となるので通行に注意。


展望台下の駐車場から、雲月山の稜線を一望。
途中にある2つのピークは「岩倉山(岩座山)」「高山」と呼ばれ、登山道は直登路、迂回路を選べる。
今回は両方とも迂回したが、いずれもたいした上りではない。岩倉山の頂上にはベンチがあるとのこと。

登山道に入る。途中には2〜3の標識が立てられているが、行き先を示す文字はなくただ[← →]とあるだけ。
迷いようのない一本道。山頂が登山開始から下山まで常に見える、こんな山歩きも珍しい。
途中振り向くと、展望台(東屋)の奥にそびえる高杉山(サイオトスキー場)。
輝きながら風に揺れるススキの穂。見上げれば目に染みるような空の青さ。前日よりも空気は澄んで、見通しが良くなったような気がする。
広島側の草斜面にはクマどころかウサギさえ隠れる場所はなさそうだが、島根県側は一転、カラマツを中心とした樹林帯で見通しが悪い。念のため鈴は持っていた方がいいかもしれない。
アップダウンを気にするほどもなく、淡々と歩いていくうちに山頂間近。立ち止まって振り向くと、樹林帯の上にひときわ大きく高い三瓶山のシルエットが浮かんでいた。
少しの上りで山頂に到着。二等三角点はなぜか、山頂標識から少し離れてひっそりたたずんでいた。

山頂から南東方向の眺め。

山頂からは、そのまま左回りに登山道を進み、仲の谷へ下ることにした。
少し下った場所から、歩いてきた稜線を見上げると、なんだか秋吉台にでも来たような錯覚を覚えた。
見た目に足りないのは石灰岩くらいだろうか。
今までが楽すぎたので、仲の谷へ下る道はずいぶん急坂に感じた。
下りきった場所には鉄柵があり、下り道の途中には電流柵の支柱が置かれていたところを見ると、放牧は今でも行われているのだろうか。
仲の谷からは急な上りを10分ほどで駐車場に着いた。登山の対象としては登りごたえのない山だが、終始気持ち良く歩ける展望遊歩道として、違う季節にまた訪れてみたいと思った。

帰りに立ち寄った大佐スキー場は、11月23日のオープンに向けて造雪中。
紅葉とススキの美しい東八幡原は行楽客と登山帰りの車がひんぱんに行き来。
臥龍山の山肌は、かなり色あせてきたがまだ紅葉が点々と残っていた。
芸北の秋も、足早に過ぎ去ろうとしている。