山名/標高 熊城(くまのじょう)山/998m
登山日・天候 2007年4月28日(土)・晴
行程 駐車場(12:30)〜天狗シデ〜林道〜丸掛山分岐(13:10)〜針葉樹の森〜丸掛山(13:25)〜熊城山(13:50)〜広葉樹の森〜駐車場(14:35)
旧・大朝町と芸北町の境界に横たわる熊城山は、山頂直下に露出する岩壁が「熊でも住みそうな」城塞に見えることからその名がついたと言われている。
東の田原地区から見上げると頂上部が盛り上がり峻険なピークがあるように見えるが、これは稜線の端が曲がっているための錯覚で、実際の山頂部は非常になだらかである。
田原地区の山麓には、国の天然記念物に指定(2000.09.06)された「天狗シデ」の群落があり、広島県はこれを含め熊城山一帯を生活環境保全林として整備している。そのため、登山道は遊歩道と言っていいほどに歩きやすく、さらに舗装された林道が山の中腹を縫って山頂近くまで延びているので、登山の対象としてはやや物足りない感がある。
隣接する1002mのピーク(地図上では無名)は「丸掛山」と呼ばれており、縦走路も設けられているが山頂は荒れており、展望もない。「開発」と「放置」の極端な違いが強く印象に残る。

「テングシデ」は、イヌシデ(カバノキ科)の一変種で、幹や枝がくねくねと曲がり、枝先がしだれるなど、その独特な姿に特徴があります。この特徴は、突然変異によって誕生したと考えられていますが、普通突然変異によって生まれた生物は一代限りで終わることがほとんどです。それが、このように代々受け継がれて群落を形成することは、世界的にも非常にめずらしく貴重なものであることが、遺伝学的な調査でわかり、国の天然記念物に指定されました。
(テングシデ群落説明板より抜粋)
熊城山の山頂へは、天狗シデ群落の観察路を通り抜け、整備された遊歩道をそのまま上へ上へと歩いてゆく。
次第に展望が開けてくるとともに上りが急坂になり、ちょっと休みたくなってきた頃に林道(下の駐車場から続いている舗装路)と合流。
林道は標識にある「サクラの森」の方向へ緩やかに上っており、その先に熊城山のピークが見える。
林道の途中にはトイレ付きの休憩所があり、建物の裏は展望所になっている。
山に入ってからの眺めは思ったほど良くなく、結局熊城山でいちばん展望が良かったのはここだったように思う。
林道終点は広くなっており、5〜6台の駐車が可能。この先はまた遊歩道となり、サクラの森(まだ少し花が残っていた)から「広葉樹の森」「針葉樹の森」へとルートが分岐している。
山頂への早道は広葉樹のルートだが、針葉樹の方からは熊城山の南にある丸掛山にも簡単に縦走できそうなので、針葉樹の森方面に進んでみることにした。
針葉樹の森へと続く上り道はやがて稜線とT字型に合流する。右に行けば熊城山、左が丸掛山。
まず左の道に入る。縦走といってもやはり遊歩道で、苦もなく歩いてゆける。丸掛山頂への上りに入ると周囲はスギが主体の針葉樹の森となった。あまり密生していないので木漏れ日が明るい。
遊歩道は次第にササが被り気味の細い道に変わり、丸掛山山頂?とおぼしき場所に出た。標識も何もないが、同じ方向に歩いてきた人(さらに樋佐毛山まで縦走するようだ)が「ここがそうです」と言っていたのを信じることにして、 熊城山へと遊歩道を引き返した。
「ブナの広場」「マンサクの道」などと名付けられた熊城山山頂への遊歩道。新緑に見とれて、山頂を通り過ぎてしまった。いったん引き返す。
山頂は遊歩道から少し外れた場所にあり、いちおう4等三角点だが山頂標識も案内板もない。展望もないので、場所だけ確認し再び下山ルートへ。
下山の途中、道の上方に山名の由来「熊城」の巨石群が見えた。
下山路は新緑の広葉樹(紅葉)や満開の木蓮、マンサクやサクラなど彩り豊かで眼を楽しませる。
途中で「モクレンの道」が分岐しているが、花につられてこちらに入ってしまうと、まったく違う場所に下山してしまうので注意。