山名/標高 荒滝(あらたき)山/459m
日ノ岳(ひのだけ)/459m
登山日・天候 2008年1月14日(月)・晴
行程 登山口駐車場(10:30)〜吉部稲荷社(10:55)〜くぐり岩〜荒滝山山頂(11:05-11:20)〜日ノ岳縦走路〜一本松展望点(12:10)〜日ノ岳山頂(12:20-12:40)〜犬ヶ迫(13:05)〜登山口駐車場(13:15)

秋吉台・龍護峰からの眺め。
荒滝山は宇部市(旧・厚狭郡楠町)吉部の北部にある山で、以前は標高456mとされていたが、再測量により459mに修正された。またこれにより、日ノ岳(458.6m)を抜き現時点(2008.01)での宇部市の最高峰となった。
中世には大内氏の家臣、内藤隆春が山頂に城を築いたとされる。山頂周辺では堀切、土塁、石積などの遺構が見られるほか、土師器や瓦片なども出土している。また、近世には毛利藩の狼煙場が置かれていたと伝えられる。
山頂は展望が良く、古くからハイキングや遠足の山として地元で親しまれてきた。登山道は南麓の犬ヶ迫集落から上るコースが最もポピュラーで、他に東麓の今小野や荒滝から上るコースもある。2005(平成17)年には、宇部山岳会により隣り合う日ノ岳との縦走路が開かれるとともに、犬ヶ迫を起点に二つの山を周回できるコースが整備された。

山口市内から国道490号〜県道30号〜県道231号を経由し、犬ヶ迫集落へ。
道端に「荒滝山登山口 この先駐車場あり→」の標識が立っているが、示された道は幅が狭く見通しも悪い。離合は難しそうなので、県道脇の駐車スペースに車を置き、歩いていくことにした。
分岐標識から数百m進むとトイレの整備された駐車場。そのまま道なりに進み、民家前を右折し登山道に入る。
登山道は一本道で、よく踏まれており迷う心配はない。駐車場にはマイクロバスを含め数台の車が駐まっており、下山までに3〜4組の登山者とすれ違った。ちなみにマイクロバスは「姫路」ナンバー。なぜわざわざ・・・と思ったが、この団体?とは結局会えずじまいだった。
荒滝登山口からの道と合流後は、雑木林をくぐっての直登路となる。しばらく高度を稼ぎ、鳥居が立てられた巨岩の前に出る。岩のひさしにして、「吉部稲荷社」の小さな祠が鎮座する。
吉部稲荷社の右手に続く道を少し上ると、道が二手に分かれる。左はまっすぐ山頂へ、右は「奇岩くぐり岩を通過頂上に至る」とある。右のコースを取ると間もなくその「くぐり岩」(左)が姿を現す。
くぐり岩の右を巻いて上部に出ると、岩の上に小さな観音像が座っている。「雨天観世音菩薩 大正十四年四月」と彫られており、雨乞い祈願の観音様なのだろう。岩の上からは、吉部の里を眼下に、宇部の街やその先の海まで見通しがよい。
観音像からまた少し上ると、旧吉部村?の村長、藤本氏の像。さらに少し上った先の広場が山頂である。三角点はなく、その代わりという感じで広場の中央に束帯姿の明治天皇像が立っている。
展望は、一部を木に遮られているがほぼ360度見渡せる。明治天皇像の台座に上ればさらに眺めは良さそうだが、足をかけるにはやや気が引けた。ちなみにこの像は一度盗難に遭い、現在の像は二代目(昭和33年再建)とのこと。

山頂から北西〜北にかけての眺め。美祢・長門・秋芳の山々と、枯草色の秋吉台を一望。
村長の像まで下り、日ノ岳への縦走路に入る。数年前に開かれたばかりの道は、犬ヶ迫からの登山道に比べるとさすがに狭いが踏み跡ははっきりしており、目印もあるので迷うことなく歩ける。最初は尾根伝いに鞍部へ下り、車道(城山作業道)を横切ると再び上りとなる。ピークを一つ越え、林道に出て尾根を横切り、沢を渡って日ノ岳の稜線に入る。
日ノ岳の稜線は宇部市(旧・楠町)と美祢市の境界となっており、自然林の合間からは秋吉台や鳳翩山の眺めが良い。
山頂に向けて大きく"C"の字を描くように曲がった稜線の途中には「一本松展望所」と名付けられた場所があり、西から北にかけての展望が開けている。日ノ岳山頂からはこの方角は見えないので、両方の展望を合わせるとほぼ360度となる。
ところで、名前の由来の一本松は・・・?

一本松展望所から、西側の眺め。

一本松展望所から、北側の眺め。
一本松展望所を後にして、ほどなく日ノ岳山頂に到着。三角点の置かれたカヤトの原からは、東から南にかけての展望が広がる。
三角点の脇には「西方便山狼煙台跡」の標柱。遠望する西鳳翩山との間には遮るものは何もなく、狼煙を見るのに適していたのだろう。

日ノ岳山頂からは、荒滝山が富士山のような整った山容で眼前にそびえ立つ。背後には瀬戸内海。
山頂から稜線を南に下り、標識を見て東の沢から一気に犬ヶ迫へ下る。稜線の途中には、山頂以上に荒滝山の眺めがよい「展望岩」があるので立ち寄っていきたい。
犬ヶ迫集落からは、駐車場への標識に従い雑木林を抜ける。舗装路(城山作業道)に合流すると間もなく荒滝山登山口の駐車場に戻り着く。