山名/標高 コセンドウ山/411m
登山日・天候 2008年5月4日(日)・晴
行程 二鹿神社(08:25)〜梅津の滝(09:00)〜コセンドウ山入口(09:15)〜山頂(09:40)〜千畳敷(10:00)〜大師堂(10:10)〜二鹿神社(10:25)
コセンドウ山は、旧岩国市西端の山間にある二鹿地区の北側に位置する山で、以前はヤブ山であったが、2002(平成14)年に地元有志により登山道が整備された。
登山口は、広域基幹林道石童山線沿いに2箇所設けられているが、東側の登山口(大師堂入口)は入口が分かりにくいため、西側の林道から上った方が無難。林道前には「梅津の滝」見学者用の駐車スペースもある(大師堂前は駐車不可)が、二鹿野外活動センター駐車場から歩いていってもそれほど時間はかからない。登山と一緒に、隠れ里的な雰囲気の漂う二鹿をゆっくり散策するのも面白い。
登山道はやや荒れ気味。概ね尾根伝いの道だが、目印、踏み跡の不明瞭なところがあるので注意。また、山頂直下の南尾根は急斜面の岩場となっており、ロープがつけられている。行動は慎重に。

二鹿地区で行われる「しゃくなげマラソン」スタートまでの待ち時間に、ウォーミングアップを兼ねてコセンドウ山に登ってみることにした。
今日はみどりの日。新緑に包まれた田園に、朝の光がまぶしい。
登山口へは、国道187号線から県道130号線経由、二鹿トンネルを抜けて林道石童山線を右折、梅津の滝方面に進む。
コセンドウ山への登山口は2箇所あり、野外活動センター(マラソン会場)から手前側にある「第66番大師堂」から上り、梅津の滝手前の林道に下るコースを歩く予定だったが、大師堂の入口が見つからないまま梅津の滝近くまで来てしまった。そのまま先に滝見物へ向かう。
平安時代、比叡山に二つの頭を持つ凶暴な鹿がおり、京の都を荒らしていたため、朝廷の命により梅津中将清景が鹿を退治することとなった。
梅津中将は都から西に逃げていく鹿を追いかけ、現在の柳井市で矢を放ったが射損じ、鹿は怒ってさらに山奥へと逃げた。この地を「恚鹿地」と呼び、柳井市伊陸(いかち)の地名の由来とされる。
結局、梅津中将が鹿を討ち取ったのがこの二鹿の地で、中将自身も力尽きてこの「梅津の滝」のほとりで息絶えたとされる。滝を望む渓流沿いにつけられた遊歩道の途中には、中将を祀った地蔵が安置されている。
梅津の滝入口を示す大看板の手前が車数台分の駐車スペースとなっており、その脇に舗装された林道が植林帯の中へ続いている。鎖で仕切られたゲートの下に「コセンドウ山 50分」の看板。こちらは下山ルートの予定だったが、大師堂入口が見つかるかどうか分からないので、逆向きに登ることにした。
林道の途中にも標識があり、まっすぐ歩いて行くと間もなく舗装路は行き止まりとなる。左手の斜面に標識(コセンドウ山 40分)があり、こちらにとりついてから本格的な登山道となる。
最初の林道の印象から山頂までずっと植林帯かと思っていたが、登山道に入ると新緑の自然林となり、急坂だが気分良く歩ける。この辺りの道は落ち葉(特に松葉)が被っていて滑りやすいが、よく踏まれており迷う心配はない。
登山道は途中で右手に曲がり、谷側をトラバースしてコセンドウ山の西尾根に入る。ここからは道が荒れ気味となり、山頂に近づくにつれて不明瞭な箇所が多くなる。テープや踏み跡を見落とさないように。
コセンドウ山山頂は北東側が切り開かれ、同じ二鹿の熊ヶ山、雲霞山、その先に(岩国の)弥山などが見える。北側に目をやると、遠くに羅漢山、三倉岳の姿もぼんやり浮かんでいた。
下山路は、南に延びる尾根を下る。少し進むといきなりロープのつけられた岩場の急斜面。そろそろと下ってゆくと、ふもとからマラソン大会の開会を告げるマイクの声が聞こえてきた。マラソンのスタート(11:20)まで充分に時間はあるが、何となく気持ちが焦る。しかし、焦ってうっかり転落したところで当分誰も来そうにない登山道である。慎重にロープを伝った。

山頂からの眺め。北側(画像左端)に羅漢山、三倉岳が霞む。
急坂を下ると、踏み跡はそのままほぼ一直線に二鹿の方へ下ってゆく。こちらも登山道が一部不明瞭となっており、今後が心配である。
下りの途中で、見晴らしのよい岩場に出る。木の枝に「千畳敷」の札が架けられており、二鹿の集落が一望できる。休憩するのに最適。
千畳敷を過ぎると急な下りとなり、樹林帯を抜けて大師堂の脇に出る。大師堂からさらに下り、民家の裏を通って林道石童山線に戻る。
あらためて大師堂入口を見回しても、目印らしきものは全く見あたらない。入口となる民家の玄関先で、犬小屋から顔だけ出してこちらをじっと見ている犬、行きに通りかかったときと全く同じポーズである。目印といえばこいつくらいか。
道を知らなければ、奥の林道側から上っていくしかなさそうだが、登山道の状態からするとその方が安全に回れる気がする。