山名/標高 右田(みぎた)ヶ岳/426m
登山日・天候 2008年12月20日(土)・晴
行程 右田小学校前(10:10)〜塚原コース入口(10:25)〜直登コース分岐(10:35)〜山頂(11:30)〜(塚原コース下山)〜右田小学校前(12:25)
右田ヶ岳塚原コース(上右田Aコース)は、1994(平成6)年に個人の手により開かれた比較的新しいコースだが、従来の天徳寺コースとはまた違った雰囲気を持ち、登りやすい登山道であることから人気が高い。
「正面コース」「直登コース」などの名で呼ばれるようになった今回の岩登りコースは、この塚原コースの途中から分岐し、沢を詰めて岩稜伝いに山頂を目指す登山道で、危険箇所が多く万人向きではないが、従来の登山道では飽き足らない人にとっては、登りごたえのあるなかなか面白いコースである。岩場の要所要所にはロープも取り付けられているが強度は充分でないので、頼りすぎないように注意。
元来マニアックなコースであるが、最近利用者が増えてきたのか、踏み跡が不明瞭な沢沿いを避けた新コースも作られている。分岐点は、従来のテープ目印から山頂方面に数百m進んだ場所。大きな立て札が立てられ見落とす心配はないが、「危険箇所あり 登山は自己責任です」の警句のとおり、あくまで中・上級者向けのコースであり、無理は禁物。

いったん沢に下り、上流部に詰めて岩場に出る旧コースを取る場合、夏場はマムシに十分注意したい。特に沢の上流部は傾斜が強く、岩に手をかける場合は手の置き位置もしっかり確認する必要がある。

右田小学校前の駐車場から山麓伝いに東へ回り込み、15分ほどで塚原コースの入口に到着する。
登山口には特に標識はないが、周囲に駐められているたくさんの車や自転車が目印代わり。入口付近は墓地になっており、石段を上って奥の登山口へ向かう。
「塚原登山道 山頂まで1900メートル」の看板から樹林帯の道に入る。踏み跡は一部錯綜しているが、よく踏まれている広い道を選ぶようにして上ってゆくと次第に傾斜が強まり、やがて視界が開けて正面に右田ヶ岳を望む灌木林に出る。
灌木林の途中で道が左右に分かれ、分岐点そばの松の木に2色のテープが巻かれている。「沢経由で砂防ダムへ 天徳寺方面」と書かれたこのテープが、直登コースの入口だと聞いていたので、この道から沢に下ることとした。実は"山頂に通じる"とはどこにも書いていなかったのだが・・・。
木に巻かれたテープを辿り、急斜面を下って沢に出る。ここから沢の上流に向かって進んでいくわけだが、踏み跡が不明瞭なので所々にあるテープが頼りとなる。水量が少ないので沢の中を歩いてもいいが、夏場はマムシに注意が必要。
しばらく行くと沢は二叉に分かれる。左手にテープの目印が続いているので、勾配が増しガレ場のようになった沢をさらによじ登る。
やがて、右手の崖が切り開かれロープがつけられた場所に出る。ここから沢を抜け出していよいよ岩場の直登コースに入る。
ここからは文字どおりの直登。
正面に高くそびえる岩峰が山頂だろうと思ってよじ登り、たどり着いて上を見るとまた次の岩峰。
結局山頂は最後の最後まで見えず、偽ピークを延々と登らされたような気分だった。
右手に塚原コースの岩尾根が並行しており、登山者が歩いているのがよく見える。手を振り、声をかけてくる人もいた。
足場はしっかりしており、所々にロープも取り付けられているが、高度感がありかなりの緊張を強いられる場所もある。無理せず慎重に、出来るだけ単独行は避けたい。
右田ヶ岳の上部にはあまり大きな木はなく、ロープが取り付けられている木や切り株も頼りない。岩場には手や足をかけられる部分が充分にあるので、三点確保しつつロープはあくまでも補助に使い、体重をかけ過ぎないよう注意。
手足をフルに使う急な岩登りは、緊張も手伝って息切れしやすい。一つ岩を越すごとに、背後の眺めを楽しみながら息を整えた。

直登コース中腹からの眺め。雲一つない快晴だが、太陽が低くまぶしすぎるからか、遠くはあまり見えない。
次第に疲れがたまり、岩を乗り越えるのが辛くなってきたころ、ようやく前方の茂みの向こうに日の丸の立つ山頂が見えてきた。もうひと息!

山頂に立つのは約2年ぶり。登山者の往来が多く相変わらずにぎやかだ。
抜けるような青空の下、海の向こうに目を凝らすと、水平線上に国東半島がかすかに浮かんでいた。

下山路は塚原コースを辿ることにした。
天徳寺コースと反対側の尾根道に入り、三谷山・山城山への縦走路の途中にある標識を「上右田」方面に進み、尾根伝いにひたすら下る。
岩の露出した尾根は、遠くから見る(左)よりも傾斜が緩やかで歩きやすく、天徳寺コースより初心者向けと言えるかもしれない。
岩場では終始右田ヶ岳の勇壮な山容を見ながら上り下りすることとなる。「あの辺をよじ登ったのか・・・」と確認しながらの下山路もまた楽しい。
岩場の下りが終わるころに、新しい分岐の標識が立っていた。見ると「新直登コース」と書かれている。
沢の終点からロープ伝いによじ登った場所に、どこから通じているのか分からない踏み跡が合流していたのだが、たぶんそれがこの新コースなのだろう。
沢沿いの道が荒れているので新コースを作ったのか、新コースが出来て沢沿いが荒れたのかは知らないが、今後は新コースを通った方が無難だろう。