山名/標高 求菩提(くぼて)山/782m
犬(いぬ)ヶ岳/1131m
登山日・天候 2009年4月29日(水)・晴
行程 求菩提資料館(08:10)〜座主坊園地入口(08:30)〜神橋(08:50)〜山伏の墓〜岩屋坊(09:10)〜中宮(09:25)〜鬼の磴〜上宮(09:35)〜胎蔵界護摩場跡(09:45)〜虎の宿跡〜杉の宿跡〜一ノ岳(11:10)〜大竿峠〜甕ノ尾(11:40)〜笈吊峠(12:20)〜ウグイス谷〜求菩提資料館(13:25)
豊前市内の国道10号線から分かれ鳥井畑方面へと続く県道32号線は、求菩提資料館前で大きく右にカーブし、求菩提山麓を巻いて座主坊園地まで延びている。
今回は、まず資料館前の公共駐車場からこの県道を伝って、豊前市と築上町の境となる峠から求菩提山北尾根の登山道に入ることにした。
道路は峠に向かってほとんど上り一辺倒。途中鳥井畑からの車道が合流する場所には10体の石仏が祀られ、水場が設けられている。
車道脇に立つ「求菩提山」看板を左折すると、座主坊園地で行き止まり(駐車場あり)となり登山道につながる。
ここはそのまま直進するが、県道は座主坊園地に向かう細い道の方で、北尾根に向かう上りの舗装路は林道となる。
林道といっても片側2車線の舗装された路面のまま。地図上では峠で途切れていたが、登山道入口の赤い橋(神橋)を過ぎてもなお舗装路は続いていた。
神橋を渡り杉林の中に入ると、ようやく登山道らしくなってきた。うっそうとした植林帯だが、築上町側の所々が伐採され、西から北にかけて展望が開ける。
山中では、修験道が栄えていた頃の痕跡が随所に見られる。静まりかえった林の中に立ち並ぶ山伏の墓は、修験道の歴史を語りかけてくるかのようであった。
間違っても、夜には通りたくない。
山伏の墓を過ぎると森が深くなり、キツツキが木の幹を打つ音が木々の間に響きわたる。
ほぼ平坦だった尾根道が少し下りはじめ、前方に石垣が見えてきたなと思うと左手に岩屋坊。ここで座主坊園地からの道と合流した。

求菩提山の歴史は古く、526年に開山の後、704年に役行者入山、720年に求菩提山護国寺の建立が伝えられている。平安末期に豊前国宇佐郡の僧、頼厳により修験道がもたらされ、北部九州の修験道の中心的存在として英彦山と肩を並べる存在となっていたが、明治政府の神仏分離令と廃仏毀釈、修験道廃止令により衰退した。

岩屋坊から中宮までは緩やかな上り。路傍に並ぶ祠や石仏がかつての繁栄を偲ばせる。中宮の手前で「五窟めぐり」コースが分岐しており、雨で滑りやすいときはこちらに迂回して山頂を目指すこともできる。
直登する場合は、中宮の右手に続く「鬼の磴(あぶみ)」を上る。前回(2007.07)は雨のため通るのを避けた急峻な石段。上りはじめは別に大したことはないと思っていたが・・・
最初は階段らしく整然と並べられていた石が上るにつれて乱れはじめ、ちょっとした岩場の急登の様相を呈しはじめた。
一夜のうちに石段を築こうとした鬼の慌てぶりが伝わってくるようだが、確かに表面が濡れているときは通るのを避けた方が良さそうである。
息を切らして山頂の上宮に到着。少し休んで、縦走路に向かった。
求菩提山から犬ヶ岳(一ノ岳)に高度を上げてゆく縦走路は、所々に急な上りもあるが道はよく整備され歩きやすい。前回は小雨交じりのどんよりした天気だったので気づかなかったが、明るい自然林が多く新緑が美しい。紅葉も期待できそうな気がする。
約4kmの縦走路。左手の木々越しに見えていた犬ヶ岳の稜線が正面寄りに見えてくると、一ノ岳は近い。
一ノ岳山頂に到着。晴れていたが遠くは霞んで見えにくかった。少し休んで犬ヶ岳山頂(甕ノ尾)へ。
稜線上のブナは芽吹いたばかり。シャクナゲはつぼみさえも少ない状態。4月に入って寒さがぶり返し(4月末に寂地山で雪が降ったという)、開花時期は結局例年並みになってしまったようである。
犬ヶ岳山頂を通過。大日岳からは、笈吊峠の先に続く茶臼山や経読岳の稜線が一望。シャクナゲの花もこの辺りから少し見られるようになった。登山者の多くは笈吊峠方面から上ってくるので、ここから先はすれ違いが多くなる。岩場の上り下りや、シャクナゲ群落で道が極端に狭い場所があるので、花を撮りながらゆっくり下っていった。
笈吊峠が近づいたが、まだまだ上ってくる登山者が多く、こちらも足が疲れているので、鎖場の手前から迂回路に入った。利用するのは初めてである。
もちろん鎖場ほどではないがこちらも急坂で、踏み跡とテープを頼りに樹林帯を抜けて笈吊峠の休憩所に合流する。ここからはいつもの沢を伝い経読林道へ。林道からは、うぐいす谷方面へ。
縦走で疲れた足には、うぐいす谷の下りは記憶以上に辛く長く感じられた。
ようやく渓流沿いに出てひと安心。緩やかになった下りの道をのんびり歩き、満車の犬ヶ岳駐車場を後に、先ほど歩いた稜線を左手に眺めながら、求菩提資料館に戻った。