山名/標高 船上(せんじょう)山/616m
勝田ヶ山(かつたがせん)/1149m
甲ヶ山(かぶとがせん)/1338m
矢筈ヶ山(やはずがせん)/1359m
登山日・天候 2009年6月27日(土)・曇
行程 船上山少年自然の家(07:30)〜船上山行宮の碑(08:05)〜船上神社(08:35)〜勝田ヶ山〜甲ヶ山(10:35)〜小矢筈(11:30)〜矢筈ヶ山(11:50)〜大休峠(12:20-12:35)〜大山滝展望所(13:25)〜一向平キャンプ場(14:00)

地蔵峠付近からの眺め。

長年温めている計画のひとつに「大山・三鈷峰から船上山までを一気に縦走する」というのがある。
大休峠から三鈷峰までは2004年に踏破し,後半の大休峠から船上山までは今回初踏査となった。

一向平キャンプ場を下山地として車を1台置き,船上山少年自然の家から登山道に入る。船上山の標高自体は低いが,登山道はほぼ直登の急坂で最初から息が切れる。樹林帯に入るとジグザグの上りになるが,やはり傾斜はきつめ。

汗を拭きつつ樹林帯を抜け出て,「船上山行宮跡」の石碑が建つ平地に到着。ここから左に折れ,「千丈のぞき」に向かう下り道があったので, ちょっと寄り道してみた。
樹林帯の急坂を下り,数分で高度感抜群の岩場に出る。峻険な屏風岩が立ち並び,現在地の標高を忘れてしまいそうになる峻険な風景。下を見ると目がくらみそう。遠くには,蒜山とおぼしき稜線がかすんでいた。
元の道に戻り,船上山神社までは緩やかな上り。地図を見ると神社へ行く途中(少し脇道に入る?)に三角点があるらしいのだが,目立つ標識もなく過去2回とも未確認のまま。今回も見つけられなかった。
船上山神社拝殿の後方,本殿に向かって左側に,勝田ヶ山方面の縦走路が続いている。「大山縦走路」とあるが,路面崩壊のため公式には大山まで(三鈷峰までも)行くことはできない。
船上山神社から矢筈ヶ山までは,初めて足を踏み入れる未知のルートである。
最初は静かな森に囲まれた平坦な道で,このまま勝田ヶ山まで気持ち良く歩けることを期待していたが,500m以上の標高差はごまかしようがない。すぐに傾斜がきつくなり,時にはよじ登らなければならないような急坂が現れることもある。逆方向から縦走してきた登山者と,急坂の途中で2〜3度すれ違った。休む口実ができたと道の脇で立ち止まり,呼吸を整える。
うんざりするほど上りが続いた後,ようやく樹林帯を抜けて見晴らしの良い稜線に出る。目の前にそびえる甲ヶ山のピーク!・・・上りもあとわずか?
ほっとしたのもつかの間,このピークにたどり着くまでには,さらなる困難が待ちかまえているのだった。
なお,勝田ヶ山の山頂標識はこの見晴らしの良い稜線付近にあるらしいが,見落としてしまった。
ほんの少しに見えた勝田ヶ山から甲ヶ山への上り。だが,実際の標高差は200m近い。展望もすぐにとぎれ,樹林帯の上りがまた続く。
再び視界が開けた先に現れたのは,やせた稜線の中央に折り重なる岩また岩。俗に「ゴジラの背中」と呼ばれるこの岩稜の向こうが,待ちに待った山頂である。・・・それはいいが,どうやって歩けばいいの,ここ?
見るからに恐ろしげな岩場だが,しがみつくようにして岩の上に立つと,何となく足の置き場が見えてくる(ような感じ)。何とか通り抜けて,山頂に到着した。
次の矢筈ヶ山との単純な標高差は20m足らず。しかし,2つのピークをつなぐ稜線は非情なほどに切れ落ちていた。甲ヶ山からの下りはガレ場の急坂で,ゴジラの背中どころではない怖さ。ペンキで付けられた目印を頼りに一歩一歩慎重に足を下ろしていった。
天気は「晴れ」の予報だったが,稜線上は概ね曇り。ガレ場を下る頃には一時ガスがかかっていた。だが今は,雨さえ降らなければいい。ここでは遠くを眺めている余裕などない。
ガレ場を下りきると,ほぼ目線の高さにあった矢筈ヶ山が上方に移ってしまった。本峰の左手にある鋭いピークが「小矢筈」である。
山頂付近まで低木に覆われ眺めはほとんどなく,高度差から来る恐怖感は少ないが,足場が不安定でこちらの方が怖い。固い地面ではなく,木の根や,枝を踏んでいるようで終始不安定であった。頂上で振り返ると,甲ヶ山の恐怖のガレ場が一望のもと。あの岩壁によく道をつけたものだと思う。
下りも足場の不安定な小矢筈。左右が切れ落ちているので迂回路もつけられそうにない。
やっとたどり着いた矢筈山頂は,先ほどまでの静けさから一変,登山者で大賑わい。座って休む場所もないので早々に大休峠へ下った。
天気は回復に向かい,灌木越しに大山や烏ヶ山,蒜山が望まれる。縦走路上の親指ピークも視認できた。
大休峠まで一気に下り,小屋のそばで休憩。時間があれば野田ヶ山方面にピストンをかける予定だったが,とてもそんな気力は残っていなかった。
峠から大山滝を経て一向平までは,さらに5km以上の道のり。ひたすら下るだけでいままでの登山道と比べれば楽ちんだが,足の疲れもあってなかなか距離が伸びない。1時間近くかかってようやく大山滝展望所に到着した。
いつの間にか晴れ間が広がり,梅雨の湿り気を含み少しひんやりしていた周囲の空気は,高度を下げるにつれて蒸し暑さを増していった。
大山滝と一向平キャンプ場の間の遊歩道は,一部が崩壊し現在は迂回路が整備されているが,この迂回路が大山の行者コースを思い出させる急斜面につけられた急階段で,長大な縦走路を歩いてきた足には辛い。観光客向けの遊歩道としても険しすぎるのではないか。(仮)の道であったとしても,もう少し歩きやすくしていただきたい。