山名/標高 那岐山(なぎさん)/1255m
滝山(たきやま)/1196m
登山日・天候 2009年8月23日(日)・晴のち曇 
行程 山の駅(06:55)〜B・Cコース登山口(07:15)〜林道〜Cコース合流(07:35)〜大神岩(08:00)〜三角点ピーク(08:30)〜滝山(09:25)〜(折り返し)〜那岐山(10:30)〜Bコース分岐(10:45)〜B・Cコース登山口(11:45)〜山の駅(12:10)
那岐山は鳥取県八頭郡智頭町と岡山県勝田郡奈義町の境界にあり,この地域独特の呼び名にならい「なぎせん」とも呼ばれる。
山名は国生みの二神,伊邪那岐命と伊邪那美命がこの峰に降臨した伝説に由来するとの説や,後山(岡山県最高峰)との高さ比べに敗れて泣いたためにつけられた呼名「ナキノセン」によるとも伝えられる。また,建武年間(1334〜1338年)にはこの地域(美作国)において菅家・江見氏などが「奈義・熊山・菩提寺」の城を築いたとの記述が「太平記」に残されている。
山頂部は二つのピークが並び立ち,以前は西側の1240m峰が最高地点とされ三角点が設置されたが,その後の計測で東峰が1254.6mと高いことが判明した。このため両ピークを新・旧三角点と呼び分けることもある。
那岐山から西にかけてはなだらかな稜線が続き,滝山や広戸仙(1110m)への縦走路が整備されている。鳥取市と津山市を結ぶ国道53号線が山麓を走るアクセスの良さと,津山市内から望まれる蒜山三座のような秀麗な山容から,登山者の人気は高い。
奈義町側からは,大きく分けて那岐山と広戸仙に3つ,滝山に2つの登山コースが開かれており,車を2台利用するなどして全山縦走が可能となっている。那岐山の山頂部はササ原で見晴らしが良く,縦走路も明るく開けており気持ちがよいが,・・・夏場の縦走には注意が必要。

津山市内からの眺め。右から那岐山・滝山・広戸仙。

奈義町の農産物などを販売する「山の駅」駐車場から,登山口に向かう。
日本原高原演習場にある自衛隊の特殊車両が出入りできるように,登山口の手前までは片側1車線の広くまっすぐな舗装路になっている。路面にはキャタピラの跡がくっきり。
道幅が狭くなり普通の山道らしくなると,すぐに道が二手に分かれる。直進は菩提寺を経由するAコース,左手に折れると蛇渕の滝を経てB・Cコースに入る。今回,上りはCコース(大神岩コース)を利用する。
少し勾配のきつい左手の坂を上ると,すぐに広い駐車場が現れる。さらに舗装路を数百m上ると「蛇渕の滝」入口。ここにも数台分の駐車スペースがある。舗装路の中ではこの駐車場が登山口に最も近い。すでに車が3台駐まっていた。蛇渕の滝は帰りに立ち寄ることにして,舗装が途切れた道をさらに進む。
200〜300mで登山口前に到着。標識には「B・Cコース登山口」とあり,Cコースもここから上ってゆくのだが,今回はそのまま林道をさらに前進。・・・実は単なる標識の見落としである。
林道は植林帯の中を蛇行しながら高度を上げ,やがてCコース(標識は"登山道"とあるだけ)と交差する。ここから直登の登山道に取りつく。
登山道は植林帯を直登した後,見通しの良い伐採地を抜けて自然林に入り,ジグザグの上りを経て支尾根に合流する。
山頂への道は右に続くが,左手に「大神岩 標高1000m」の標識がある。一目でそれと分かる大岩の上に立つと,日本原高原が一望できる。

大神岩からの眺め。天気は良かったが遠望はあまりきかなかった。
大神岩からは,ほぼまっすぐな上り。ブナが混じる樹林を抜けて灌木帯に出ると頂上は近い。
到着したのは,三角点のあるピーク。山頂標識のある那岐山頂は,すぐ東隣にそびえているが,こちらは後回しにして,まずは縦走路を滝山方面に進んでいくことにした。
見晴らしが良く,道が整備されはっきりしており,途中には東屋もある,非常に快適な縦走路のはずなのだが,5〜6歩進むごとに足下からガサガサ・・・
この縦走路は,とにかくヘビが多かった。時期的なものもあるのだろうが,滝山にたどり着くまでに遭遇した数は30匹以上。その中にはマムシも10匹は混じっていたが,幸いにも道の真ん中でとぐろを巻いているような図々しい奴はおらず,自らのっそりと茂みの中に逃げ込んでくれた。
滝山の山頂には展望台があり,360度の眺望が広がる・・・ところだが,上空は雲に覆われ,見通しはさらにきかなくなってしまった。じっとしていると風が冷たく,半袖では寒く感じるほど。すぐに那岐山へ引き返すことにした。
縦走路を引き返すのはかなり憂鬱だったが,往きにさんざん追い払ったからか,帰り道で出遭ったヘビは10匹くらいだった。ちなみに那岐山でも他の場所ではほとんどヘビに出遭うことはなく,なぜかこの縦走路にだけ集中していた。夏場にここを歩く際は要注意。
三角点ピークから那岐山山頂までは,標識によると400m。途中にはコンクリート製の避難小屋がある。
1254.6mの山頂は,条件が良ければ瀬戸内海から日本海まで,360度の眺望が楽しめるはず。この日は1日を通して「晴れ」の予報だったが,実際は青空が見えていたのは朝のうちだけ。山頂では小雨がぱらつき,周囲の景色を楽しむ気にもなれず,すぐに下山の途についた。
山頂から縦走路をさらに東へ進むと,ほどなくA・Bコースの分岐点に出る。Aコースを通ると途中に展望の良い場所があるとのことだが,天気が悪いので距離の短いBコースを下ることにした。
分岐を右に取り,斜面を一気に下る。上りに使うとかなり難儀しそうな急坂だが下山には好都合で,見る見るうちに高度を下げ林道(上りで利用した?)と交差,さらに樹林帯を下ってB・Cコースの分岐点に到着。
B・Cコース分岐のすぐ下が,上りで行き過ごした登山口である。狭い林道に車がひしめき合い,Uターンできるかどうか微妙。ちなみに少し下の整備された駐車場はがら空きであった。
蛇渕の滝(右)は,落差が少ない上に展望所から遠すぎて迫力に欠ける。蛇はもう見たくないので,滝の近くまで行くのはやめて早々に山の駅に下った。