県道63号(下松田布施線)から「渓月院」の案内表示を見て狭い車道に入り,笠野川にかかる門前橋に出る。車道は橋を渡り渓月院前まで続いている(広い駐車場あり)が,橋の手前にも4〜5台分の駐車スペースがある。今回はここから出発した。 門前橋から上りの舗装路を5分ほどで,立派な山門の建つ渓月院に到着。大内,毛利氏の庇護を受け大いに栄えた曹洞宗の名刹で,毛利元就が仮陣所を構えたこともあるといわれる。「虎ヶ岳(砥石山)渓月院コース」の案内に従い,駐車場の脇から登山道に入る。 |
比較的最近(といっても,来年はまた寅年だ)整備された道だが,よく利用されているようで踏み跡はしっかりしており道幅も広い。 しばらく上ると,道の傍らに三等三角点。「鬼武」の名が付けられている。稜線に出てきたようで,展望はあまりきかないが木漏れ日が差し込み,森の中が明るくなってきた。 |
樹林帯がいったん途切れ,送電線鉄塔の前に飛び出す。鉄塔の脚には「岩嶽展望台 海抜294m」の標示。南東方面が切り開かれ,田布施・平生から周防大島にかけての展望がよい。 ここまでの登山道が非常に歩きやすかったのは,元々この鉄塔の作業道として利用されていたからかもしれない。展望台から先は道幅が狭くなり,一部踏み跡が錯綜している箇所も見られた。 |
稜線上には各所からの登山道が合流してくる。「周防(の森)」「観音寺」「定光寺」は光市,「常安寺」は周南市(熊毛)からの登山道である。 この日常安寺から登った人の話によると,常安寺コースはかなり荒れていたとのこと。 |
稜線のアップダウンは比較的緩やかだったが,常安寺コース分岐を過ぎると急坂となり,ピークが近いことを感じさせる。 坂を過ぎると間もなく「光市最高峰」の看板がまぶしい,虎ヶ岳山頂に到着。南北両面が切り開かれ,場所を移動しながらほぼ360度の展望が楽しめるが,圧巻は何と言っても南側の大パノラマである。 |
東〜南西方向にかけての眺め。展望案内図には国東半島や愛媛県の山も記されていたが,この日は見えなかった。 なお,展望図によれば由布岳,鶴見岳は国東半島の背後から突き出て見えるとのこと。 |
山頂からさらに縦走路を西へ。烏帽子岳へは約1.1km,茶臼山へは約6.2km。完全縦走は今後のお楽しみにして,今回は烏帽子岳まで。 烏帽子岳山頂は,縦走路途中の「烏帽子別れ」標示から分岐し数十m進んだ先にある二等三角点(412.4m)。あまり広くなく,展望も乏しい地味な山頂である。北側が切り開かれ,ツル飛来地を擁する熊毛の烏帽子岳(697m)が指呼の間。 |
山頂から縦走路には戻らず,「末社降松神社」方面に進み来巻に下る。 平坦な道を5分ほどで「奥の院」と呼ばれる石祠の前に出る。下山路は北の尾根を下るが,まずは南側に切り開かれた2つの展望地へ足を伸ばしてみた。第1展望台は南側,第2展望台は北側の眺めがよい。 |
第2展望台からの眺め。左手に徳山・下松市街地,正面の遙か彼方には長野山・馬糞ヶ岳や平家ヶ岳など,西中国山地の山々。 この展望台から来巻西に下山する登山道も開かれている(標識あり)。 |
奥の院まで戻り,来巻方面に下山。 尾根を少し下ると,降松神社末社(来巻神社)前に出る。石段を下り,石の鳥居をくぐると,道が二手に分かれる。中国電力の標柱が立つ正面の道は従来の来巻コース("防長山野へのいざない"第1集),左手に下る道には「来巻西コース」と書かれた比較的新しい表示板が立つ。今回は西コースを下った。 しかし,来巻西コースは分岐表示の後は目につく表示もなく,踏み跡もはっきりしない。多少不安を感じながら薄暗い山林を下ってゆくと,突然という感じで明るい林道に合流する。ここにも烏帽子岳登山口の分岐があり,いま下りてきた道以外に,林道を直登する方向に「西登山口」の標示がある。こちらが西展望台から続いていた道なのだろうか。 林道を下るとすぐに舗装路に合流し,来巻地区に入る。特に標識はないので道なりに下ってゆくと,「下松市農業公園」の看板が立つ広場前に出た。そのまま北に進み県道63号線に合流し,約1時間歩いて門前橋に戻った。 |