山名/標高 鶴見(つるみ)岳/1375m
登山日・天候 2009年12月17日(木)・雪
行程 ロープウェイ駐車場(08:05)〜火男火売神社(08:35)〜山頂(09:40)〜(折り返し)〜ロープウェイ駐車場(11:20)

霧氷を見に由布岳へ登ろうとしたが,登山口からすでに真っ白,山頂は雪雲に包まれて何も見えない状況。標高が低く,いざとなればロープウェイで下山できる鶴見岳に目標を切り替えた。
ロープウェイ乗場の駐車場は8時まで閉鎖されており,駐車場の少し上にある駐車スペースで時間つぶし。
この辺りは「旗の台」と呼ばれ,片隅に加藤清正(1562-1611)の石像が建てられている。1600(慶長5)年に大友義統が別府で「石垣原合戦」を起こした際,当時肥後熊本城主であった清正も出兵し,この場所に布陣。「南無妙法蓮華経」の旗を立てて戦況を見守ったことにちなんでいるとのこと。思わぬところで歴史の勉強になった。
駐車場が開くとすぐに車を芝生に駐め,登山道へ。この時点では鶴見山頂は晴れており,展望を期待していたのだが・・・。
上りはじめのうちは雪もなく寒いだけだったが,火男火売神社に到着すると,いつの間にか降りはじめていた雪が周囲を白く変えはじめていた。地面には霜柱がびっしり。
神社の上は次第に白一色となってきた。標識(雪の中での残り距離表示は心強い)と記憶を頼りに,雪を踏みしめ山頂へ。春の一気登山でも難儀したこの先の急坂には,岩場もいくつかあったはず。貧弱な装備に少し不安がよぎる。
充分に冷え込んでいるからか,地面にはほとんどぬかるみがなく,雪を被った落ち葉を踏んでも「パリパリ」と音がするだけ。足を取られることがなく,安心して歩けたのは幸いだった。
山頂まで1kmを切ったところで,登山道が二手に分岐していた。「ロープウェイ山上駅」方面は,確か一気登山で利用する道。「頂上」への直登路は今まで気づかなかった。レースのときは,息絶え絶えで分岐を確認する余裕もなかったからか?
今回は,兎の足跡しかない頂上への道に入った。
樹林帯を抜け,ミヤマキリシマ群落の中に出ると,身を切るような冷たい風が直接体に吹き付け,体感温度が一気に下がった。素手ではかじかんで指が動かせないので,手袋をしたまま写真を撮った。
頂上への直登路は,山頂少し手前の恵比寿像がある広場に出てくる道だが,視界が悪く方角が分からない。地面は遊歩道なのに,思わず遭難してしまいそうな寒さと視界不良。吹雪の中からは,ロープウェイ山上駅のアナウンス(20分おきに発車しています)やBGMが聞こえてくる。恐羅漢の山中でスキー場の音を聞くような,安堵感にも似た不思議な気分である。
真っ白な山頂に到着。展望は全くなく,ここよりさらに200m高い由布岳に上っていたら,間違いなく途中で諦めて下山していただろう。
ロープウェイで下りることも考えたが,時間が充分にある(まだ10時前である!)ので,ゆっくり歩いて下りることにした。
樹林帯に入ると寒さは急速に和らぎ,気分が落ち着いた。下りの途中では自衛隊の一団とすれ違った。

すっかり雪と氷が消えた鶴見岳中腹から,別府湾と市街地を遠望。下界は日差しを浴びていたが,気温は1日中低かった。