山名/標高 虚空蔵山(こくぞうさん)/609m
登山日・天候 2010年5月12日(水)・晴ときどき曇
行程 不動山バス停(06:40)〜登山口駐車場(06:50)〜地蔵堂(07:00)〜山頂(07:25-07:45)〜(折り返し)〜不動山バス停(08:30)

経ヶ岳からの眺め。(2003.10)
虚空蔵山は佐賀・長崎県境にそびえる古いコニーデ型火山(有史以後の噴火記録はない)。山頂部は浸食が進み屏風状となっているが,長崎県(川棚町)から眺めると天を突くような尖鋒に見えることから「九州(川棚)のマッターホルン」の異名を持つ。
古くは甲後岳と呼ばれ,弘法大師が山中で修行したという伝説も残る。山頂には山名の由来となった虚空蔵菩薩が祀られ,山麓の人々の信仰をあつめてきた。
登山道は佐賀・長崎両県にあるが,長崎県側の方がルートが多く整備されている。いずれの道を選んでも1時間程度で山頂に立てる手軽さと,山頂からの雄大な展望で登山者に人気が高い。

樹齢推定330年 虚空蔵山には佐賀・長崎からそれぞれ登山道が延びているが,今回は佐賀県嬉野市からの登山道を利用した。
嬉野温泉から国道34号を長崎方面に進み,右手に分岐する県道106号に入る。長崎道の高架をくぐり茶畑が広がる山間を抜け,不動山地区に到着。「うれしの茶発祥の地」の石碑と,嬉野大茶樹(国指定天然記念物)の手前に虚空蔵山登山道入口がある。近くに車を置き,一見してそれと分かる特異な山頂へ出発。
県道から分岐した道は,その奥に続く集落の生活道路であり,行き止まりに登山者用の駐車場が設けられているが,非常に狭く軽自動車でも離合は困難。県道にも路肩に数台駐車できるスペースがあるので,普通車はこちらに置いた方が無難。
駐車場から先は登山道となるが,薄暗い植林帯をくぐり抜けた先にも茶畑があり,この辺りまでは路面が舗装(セメント)されている。特に標識はないが一本道で迷う心配はない。
茶畑を過ぎ少し上ると地蔵堂の前に出る。ここから先は登山道らしい地道となるが,相変わらず薄暗い植林帯の急坂で面白味に欠ける。
やがて目の前に大きな洞穴(左画像)が現れると,長崎県側の「木場コース」との合流点が近い。合流点の尾根からは左へ,ガレ気味の急坂を上ってゆくと今度は「岩屋コース」と合流。鎖場や手すり,階段など,長崎県側の登山道は良く整備されている。

天保年間に寄進された手水鉢

山頂に鎮座する石祠

方位板によると360度の展望だが・・・
麓の村々では,日照りが続くと虚空蔵菩薩に雨乞い祈願が行われた。石像の口に味噌を塗り,のどの渇いた菩薩が雨を降らせることを願ったという。
祠の先に一等三角点の山頂。切り立った崖の上は絶好の展望台で,空気が澄んでいれば絶景が広がるはずだが,この日は晴天にも関わらず黄砂のせいで遠望がきかず,残念な結果に終わってしまった。

山頂から西側の眺め。大村湾,佐世保湾が一望できるはずだったが・・・。