山名/標高 九重(くじゅう)山
 三俣(みまた)山/1745m
登山日・天候 2010年10月27日(水)・曇ときどき雪 
行程 長者原駐車場(06:20)〜雨ヶ池越〜坊がつる〜法華院温泉(08:00)〜すがもり越(08:30)〜西峰(08:50)〜四峰(09:05)〜本峰(09:10-09:35)〜すがもり越(10:10)〜長者原駐車場(11:15)

1ヶ月前の暑さから一転,真冬並みの寒気に包まれ,日本各地で初雪を観測した10月26日から一夜明けた。長者原も早朝の冷え込みが厳しい。
当初の計画は,坊がつる経由で大船山に登り,時間があれば平治岳か三俣山にも立ち寄る予定だった。三俣山はガスにすっぽり覆われていたが,昨年の例もあり,天気予報も「晴れ」となっていたので,今後の回復を期待しつつ,薄暗い森を抜けて雨ヶ池越へ・・・ガスで何も見えない。さらに坊がつるへ下る。すっかり色の変わった草原が美しい。・・・が,平治・大船はガスの中。晴れそうな気配はない。
三俣山を仰ぎ見ると,山上を覆い隠していたガスがどんどん流れてゆき,その合間からは時折青空も見えはじめた。
山頂付近は紅葉・・・ではなく,霧氷に覆われて白い!
法華院の方に目をやると,山小屋の先にある中岳や白口岳の山頂部も白く氷結していた。
どちらに進むか迷ったが,大鍋・小鍋の紅葉と霧氷のコントラストを期待して,法華院から三俣山に登ることにした。
法華院山荘の建物を抜けると,裏手に登山道が続いている。堰堤の作業道から山道につながり,次第に急坂となってくるが,とにかく霧氷が消えないうちにと一気に北千里浜まで上った。その先はガスで視界が悪いが,岩につけられたペンキを辿って行くと,見慣れたすがもり越への分岐点に出る。岩の間を上り,たどり着いたすがもり避難小屋で小休止。入口にかけられた温度計を見ると,気温は「0度」。
法華院を上ってくる時からちらちら舞っていた雪は,西峰に上る頃には勢いを増し,岩やササの葉の上にうっすら積もってきた。このまま降り続けば初(?)冠雪だったかもしれないが,西峰に着いた頃には雪は止み,ガスと霧氷だけが残された。
坊がつるや法華院で目にした青空はほんの一時の晴れ間だったのか,天気回復の気配はない。
昨年末の鶴見岳のような,薄もやの中に白サンゴが広がる光景。展望は期待できないが,さらに本峰まで足を延ばしてみた。
何も見えない四峰のピークをいちおう踏み,白いササをかき分けてたどり着いた本峰には,やはり天気の回復を待っている登山者が6〜7人。ときどき青空が見えたり,ガスの向こうから陽光が射し込んだりするが,鍋の底はまったく見えそうにない。
風が強く,じっとしていると体が冷えて顔や指先がしびれてきた。時間は充分にあったのだが,諦めて下山することにした。
(左)厳寒の本峰から一瞬だけ見ることのできた鍋の縁。霧氷の下は紅葉しているはず?
西峰を下っていると,ガスが風に押し流され,眼下に北千里浜や硫黄山のパノラマが一気に広がった。周囲から歓声が上がった。
天気は次第に回復に向かっているようだった。霧氷が解けはじめ,ズボンの裾が湿ってきた。
紅葉を見に来て吹雪に遭ってしまうという貴重な経験ながら,何とも納得いかない気持ちを抱きつつ,すがもり越から長者原に下った。
泉水山の向こうは雲が低いながら晴れ間が広がり,空気も澄んでいて遠くまでよく見える。万年山や英彦山,犬ヶ岳が明るい陽射しを浴びていた。天気が悪いのはくじゅうの高い場所だけだったのかと,ますます複雑な気分。
振り返ると,三俣山や星生山の上にあったガスも薄れてきて,紅葉が広がる中腹と氷結した山頂部,その上に広がってきた青空が見事な三段染めになりつつあった。ああ,今日は晴れるのを待ってから登れば最高だったのにと悔やんでも後の祭り・・・
午後からは青空のまぶしい大分・北九州をのんびりドライブして山口に帰った。