山名/標高 戸城(としろ)山/318m
登山日・天候 2010年12月5日(日)・晴
行程 源じいの森(12:20)〜蛇巻岩(12:30)〜油須原駅(12:45)〜登山道入口(12:55)〜山頂(13:20-13:30)〜城跡の森入口(13:40)〜山浦神社(14:00)〜源じいの森(14:30)

赤村の中央に位置する戸城山は,南北朝時代から安土桃山時代にかけて山城が築かれていた場所で,標高もさほどなく,見晴らしの良い丘といった風情で,村民の憩いの場として整備されている。登山口は県道34号線または村道の側にあり,車で乗り付ければごく短時間で往復できるが,近くにある自然学習施設「源じいの森」を起点として,山村の風景を楽しみながらの周回コースも面白い。
「源じいの森」を出発し,柳場橋を渡って県道を左(西)へ進む。そのまま直進すれば平成筑豊鉄道の油須原(ゆすばる)駅前に出るが,特に急ぎでなければ,途中の標識から脇道に入り「蛇巻岩」に立ち寄ってみてもいい。その昔,戸城山が城攻めに遭った際,城にいた小夜という姫が川に身を投げて大蛇となり,大岩に巻き付いたまま息絶えたという伝説が残るが,肝心の岩の周りに何の説明もないのが寂しい。
蛇巻岩からまた県道に戻り,西に進むと道が二手に分かれる。登山口に直行するなら右の県道を上ると近道だが,今回は直進して村道に入り,その先の分岐を今度は左寄りに,踏切を渡って油須原駅前に向かう。
第三セクターの平成筑豊鉄道は,1895年に豊州鉄道として開業し,その後国鉄田川線として石炭運搬に利用された歴史のある路線で,沿線には煉瓦と石造りのアーチ橋や,九州最古の鉄道トンネルなど,貴重な建造物が多数残されている。油須原駅舎も年期を感じさせる木造建築である。
駅舎を見たら数十m後戻りして,「戸城山公園」の標識が立つ小さな赤煉瓦のトンネルをくぐると,その先の畑の向こうに小さく突き出たピークが戸城山。山頂のみ自然林に覆われているのか赤く色づいている。標高差は・・・気にするほどでもない。山に向かって道なりに進む。
舗装路を少し上ると県道との交差点に出る。信号も横断歩道もないので,うっかり飛び出さないよう注意したい。道の向こう側に案内標識と「戸城山森林公園案内図」の大きな看板が立っている。山頂までの距離は1200m,所要時間は約50分とある。登山道の取りつきは整備されているが,途中では荒れたところもある。案内板によると登山口は全部で3ヶ所だが,駐車場がないのはここだけで,そのため利用者が少ないのかもしれない。
広々とした山頂は真上から見ると瓢箪の形をしており,遊具や展望台のある広場から少しくびれた先の小さな平地に「戸城山城址」の標識と三角点がある。トイレや東屋に加え,照明灯まであるが,夜間にここを訪れる人がいるのだろうか?

展望台からは,英彦山,犬ヶ岳から豊前方面までを一望できる。

展望台の上には360度の方位板が置かれていたが,木々に遮られ全方位を見渡すことはできない。
周防灘(中)や飯岳山(大坂山)(右)は東屋付近からの方が眺めやすい。
眺めを楽しんだ後,上りとは反対側の村道方面に下ってみた。薄暗い植林帯の中,足を滑らせそうな急坂を一気に下ると,「城跡の森スタート」の門標が立つ村道の脇に飛び出す。山頂への最短ルートだが,この急坂を上るのはかなりきつそうである。
門標を背に村道を右(東)へ,峠を越えて県道を渡り,少し北に進んで再び村道に入るとやがて九州自然歩道に合流する。そのまま道沿いに南下すれば源じいの森に戻るが,合流点から少しだけ北上して山浦神社へ立ち寄ってみた。この神社には「神功皇后御腰掛石」というものも残されているそうだが,何より目を惹くのがユニークなポーズの狛犬である。しかしどんな由来があるかは説明がなく,分からなかった。