山名/標高 白浜山(しらはまやま)/189m
摺鉢山(すりばちやま)/229m
登山日・天候 2012年6月26日(火)・曇
行程 国民宿舎大城(07:35)〜尾郷バス停(07:45)〜白浜口バス停(08:00)〜白浜山登山口(08:10)〜白浜山(08:30)〜瀬川遊歩道分岐(08:45)〜大城分れ(09:15)〜摺鉢山山頂(09:25)〜大城分れ〜スカイ1起点出口(10:20-10:45)〜東風浦(10:55)〜瀬川遊歩道〜尾郷バス停(11:40)〜国民宿舎大城(11:50)
造船とヒラメの養殖で知られる笠戸島には,その昔筑紫の国から渡ってきた明神=伊都岐島姫命(イツキシマヒメノミコト)が,この島を気に入り住もうとしたが,島内にあとひとつ浦が足りないのを不満に思い,安芸の宮島(厳島)に移ったという伝説があり,島を出るときに明神が笠を残していったことが島名の由来とされている。
Jの字型に長く延びた島の中央に連なる稜線には,標高は高くないが4つのピークが並び,昭和40年代頃までは縦走路が開かれ利用されていた。その後廃道となったが近年再び整備され,脚光を浴びつつある。
縦走路は,本浦〜大城分れ(スカイ1),大城分れ〜白浜山(スカイ2),白浜山〜地蔵峠堂(スカイ3),地蔵峠堂〜象の肩分れ(スカイ4),象の肩分れ〜知中(スカイ5)の5つに区分けされている。スカイ5の整備が終わり全線開通したのは2011年6月。全縦走した場合の所要見込み時間は5〜6時間だが,途中には連絡路や駐車場,標識も整備され,一部区間だけを歩くこともできる。
また,「スカイ」コース以外に島の上部1/3を縦断する遊歩道が2つ(瀬川遊歩道,瀬戸遊歩道)が整備されており,スカイ1・2コースとこれらを組み合わせて周回ルートとしての利用も可能である。

太華山から望む笠戸島。(2012.02)

笠戸島縦走ルート全体の2/5程度,スカイ3の途中からスカイ1までを歩いてみた。
国民宿舎大城から県道173号線を笠戸ドックのある江浦地区方面に,白浜山登山口を目指す。
途中の尾郷バス停付近からは,スカイ2や瀬川遊歩道につながる道が県道脇に延びているが,特に標識はないので知らなければ素通りしてしまう。
白浜口バス停の先で,県道から左に分岐した道を入る(江浦小学校標識あり)。少しの上りで道路は行き止まり(関係者以外通行止)となり,車止めの前に駐車スペースが確保されている。ここがスカイ3の合流点となり,白浜山への上り道は,車止めをまたいだ先の左側斜面に続いている。急坂だが,標高差も距離もわずかなので一気に山頂を目指す。途中,ところどころで背後の展望が開け,ドック越しに高壺山,尻高山が望めた。
展望を期待していた白浜山山頂は,残念ながら周囲を木々に囲まれ何も見えなかった。少し休んで,北に続くスカイ2を下った。
山頂から北へ,薄暗い樹林帯の急坂を下ると開けた砂利道の脇に飛び出す。ここから右に行けば瀬川遊歩道,スカイ2は左に続いており,少し進めば再び山中へと導く標識が見つかる。この標識から海側に下れば,尾郷バス停に出られる。まずはスカイ2にとりつき,摺鉢山山頂へ向かう。こちらも薄暗い樹林帯につけられた急坂だが,よく踏まれた道で迷う心配なく高度を上げてゆく。
白浜山もそうだったが,登山道をたくさんのカニが横切ってゆく。沢ガニではなく,海辺によくいるヤツである。周囲の眺めはほとんど木々に遮られているが,かすかに聞こえる波の音ともに,海が間近に迫った低山であることを実感する。
起伏の緩やかな尾根に出て少し進むと「大城分れ」の分岐に到着。小さな標識があり,左手の樹林帯に「家族旅行村」への道が分かれている。道なりにまっすぐ行くとすぐに展望が開け,島の東側に広がる瀬戸内海を見渡す絶好の休憩場所となる。が,まずは左の小道に入り,摺鉢山山頂まで往復することにした。
小道は瀬戸遊歩道との連絡路で,数十m進むと開けた場所に出る。「瀬戸へ2km」の標識を見て北に向かい,起伏の緩やかな広い道を10分足らずで「スリバチ山229」に到着。道端で草をかぶってひっそり佇んでいる標識の周囲は全く展望がきかず,すぐに引き返すことにした。なお,遊歩道の途中に「見晴らしの丘」という場所(左端画像)があるが,こちらも周囲の木々が伸びて名前ほどの見晴らしは望めなかった。大城分れに戻り,展望地で少し休憩の後本浦方面へ。

「大城分れ」付近の展望地からの眺め。
スカイ1は展望地の先でも光方面の海を何度か見せながらアップダウンを繰り返し,やがて一気に高度を下げはじめる。急坂にはロープが付けられていたが,濡れ落ち葉がいちめんに敷き詰められた斜面は滑りやすく,慎重に下った。
下った先は,本浦と東風(こち)浦を結ぶ連絡路の途中である。ここからは東風浦を回って瀬川遊歩道に入り,来た方角へ引き返すことにした。
東風浦への道は,舗装されているが道幅は狭く,軽自動車1台がやっと通れるくらい。Uターンも離合もできそうにない。この舗装路の終点,東風浦地区には民家が4〜5軒。集落の手前で右手の山へ続く細い道が分かれており,何の標識もないがこれが瀬川遊歩道の入口となる。
左右に小さな畑を見ながらこの道を上るとさらに右手に道が分かれ,ここではじめて「瀬川遊歩道」の案内板(支柱が朽ちて板だけ)が現れる。
ここからスカイ2の合流点まで,概ね左手に海を望む斜面をトラバース風に横切ってゆく道となる。アップダウンはあまりない。
途中に崖崩れの跡が2〜3ヶ所あり,本来の道が土砂に埋もれていたが,いちおう歩けるように整備されている。
山の斜面には何カ所か沢があり,細い流れだが湧き水が勢いよく滝のように落ちていた。海と山が左右でせめぎ合っている光景はなかなか面白いが,雨が続けばまたすぐに土砂崩れが起きてしまいそうな危うさも感じる。

曇り空で遠望があまりきかなかったのが残念だったが,40分ほどで瀬川遊歩道のパノラマコースは終わり,さっき通ったスカイ2の合流点に戻った。ここからは尾郷バス停に下り,県道を歩いて大城へ。今回の所要時間は約4時間だった。