山名/標高 八幡岳(はちまんだけ)/352m
登山日・天候 2012年9月20日(木)・曇ときどき晴 
行程 奥伏野橋(10:35)〜[八幡岳1.5km]標識(10:55)〜[八幡岳0.7km]分岐(11:15)〜西ピーク(11:30)〜山頂(11:40-11:50)〜[八幡岳0.7km]分岐(12:10)〜[もみじの広場]分岐(12:25)〜奥伏野橋(12:40)

茅葺きの屋根が風格を感じさせる宇佐八幡宮社殿。
手水は八幡岳から流れ落ちる清水との説明がある。
八幡岳は防府市内の佐波川沿いに連なる花崗岩の山々(楞厳寺山,西目山,右田ヶ岳など)の最上流部に位置する山で,東麓にある宇佐八幡宮(891年創建の古社)に因んでその名が付けられたと思われる。
登山の対象としての歴史は浅く,1999(平成11)年頃,西麓の三谷川沿いに林道が開かれるとともに周辺が森林公園として整備され,山頂までの道も開かれたが,13年を経て早くも登山道の荒廃とヤブ化が進んでおり,今後が心配される。
山頂に向かう道は2つあり,いずれも三谷林道を起点とし,林道に沿ってつけられた遊歩道でつながっているため,一部を周回コースとすることもできる。

佐波川の右岸沿いに延びる県道24号線を防府から徳地方面へ進むと,左手に右田ヶ岳から三谷山,山城山と連なる山塊がいったん切れ落ち,再びせり上がって八幡岳となる。
県道脇に立つ「三谷森林公園入口」の標識から左折し,切れ落ちた谷間に向かって延びている林道を500mほどで小さな橋(奥伏野橋)が見えてくる。この橋の手前で右の枝道に入るとすぐに登山道(遊歩道)入口。案内図付近は4〜5台が駐車できるスペースとなっている。
登山道はしばらくの間,林道や三谷川と並行して山腹伝いに北上していく。すぐに山頂を目指したい場合は,林道の奥にある「出会いの広場」や「もみじの広場」付近に駐車すると時間短縮が図れるが,この日道路上には「復旧工事のため通行止」の標示が出ており(車止め等はなし),一般車が乗り入れできるかは不明。
奥伏野橋から歩いた場合,20分足らずで沢詰めの道となり,山頂への上りがはじまる。途中2ヶ所の分岐(左)があるがいずれも無視して直進する。
「八幡岳1.5km」の標識(沢に入って2つめの分岐)から,尾根に向かってどんどん高度を上げてゆく。そこそこ整備されているが,右田ヶ岳のようには踏まれておらずやや荒れ気味の道。
平日ということもあり,下山まで誰にも会うことはなかった。林道の奥で作業している重機の音だけが谷間に響いていたが,これも正午にはピタリと止んでしまった。
傾斜が緩やかになり,見晴らしの良い尾根に出た。真砂土の白い道の先に,露岩に覆われた山頂部がずんぐりと横たわる。

全身に岩をまとったような迫力ある八幡岳。山頂までの道もほどほどにワイルドで楽しいだろうと期待したのだが・・・・・。
展望尾根の終点分岐。直進すれば三谷林道奥の「もみじの広場」方面に下山。山頂は右に鞍部を下って残り「0.7km」である。
今回参考にした「防長山野へのいざない第3集」の発行は2001(平成13)年。踏査されたのはさらに1〜2年前のこととなる。紹介文では素っ気なく書かれていた山頂までの上り下りが,登山道の荒廃により予想外の難路となっていた。踏み跡は草やシダで隠され,胸の高さまで伸びた灌木が進路を遮り,顔の前にはクモの巣。急坂につけられたロープも頼りなく,気が抜けない。
岩の間を上り,見晴らしの良い場所に出た・・・「西ピーク」,山頂はもう一つ先。
ニセピークを少し下り,先述の紹介文に「コース中唯一の樹林」と書かれていた「ほぼヤブ」の鞍部を抜けて,やっと山頂に出た。尾根分岐からの所要時間25分。
ほぼ360度に展望が開け,とりあえずここまでの苦労は報われた。しかし,登山道が今の状態ではまた来る気になれない。なんとか再生してほしいものである。


山頂からの眺め。 (上)北側,徳地方面 (下)南側,防府市街地方面
山頂には三角点も標識もないが,ここからさらに進んで少し下った324.3mピークに三角点があるという。
三角点までの道は,件の紹介文に「踏み跡が付いている」とある。さらに酷い目に遭いそうなので,遠望にとどめた。なお,三角点ピーク手前の巨岩までは比較的楽に行き来できる。
ほぼヤブを引き返し,尾根分岐からの下りは広々として歩きやすい道であった。どうして山頂付近だけが荒廃しているのかは謎だが,遊歩道の分岐標識の中にも,灌木に埋もれて文字が読めなくなっているものがあり,すべての道が消えてしまうのも時間の問題か?