山名/標高 白滝山(しらたきやま)/668m
登山日・天候 2013年2月14日(木)・晴ときどき曇 
行程 本宮中山神社(08:30)〜四恩寺跡(08:50)〜林道出合@(09:25)〜白滝(10:00)〜雄岳(10:10)〜林道出合A(10:15-10:30)〜山頂登山道入口(10:35)〜山頂(10:50)〜ぬたが迫コース分岐(11:20)〜本宮中山神社(12:10)
長門山地の西端にあり,旧豊北町の最高峰。登山口となる南麓の田耕(たすき)地区からは,山腹に岩壁をまとった2つのドーム状のピーク(雄岳580m/雌岳583m)が並び立つ独特の景観が望まれる。実際の山頂部はこのドームの奥にあり,あまり特徴もなく麓からはほとんど目立たない。
登山道のほぼ中間点にあるゴルジュ帯(切り立った岩壁に狭まれて廊下のようになっている場所)と,そこに流れ落ちる小さな滝「白滝」がこの山の見どころであり,夏は渓谷の涼を求め,冬は岩壁に垂れ下がる巨大な氷柱を見に,多くの登山者が訪れるところであったが,近年は開発が進み,田耕から山腹を巻いて長門市油谷に抜ける広域林道に加え,山頂部には風力発電用の巨大な風車が立ち並び,目を覆いたくなる自然破壊の惨状である。
古くからの登山道は今も残ってはいるが,林道を利用してゴルジュ帯手前や山頂直下までショートカットできるようになったためか,かつてのメインルートだった「ぬたが迫コース」は荒廃が進み,「古堂コース」の下部も踏み跡が不明瞭となっている。ゴルジュ帯は比較的明瞭だが,白滝を越えてから山頂への上りに取り付くまでの経路も標識類が少なく分かりにくい。古いガイドブックを頼りに登ると非常に苦労する山である。

国道435号線を西市から滝部方面に向かい田耕地区に入ると,右手に鹿の横顔を模した「白滝山登山道入口」の標識が現れる。ここを曲がると正面に雄岳・雌岳のドームがそびえ,その背後に巨大な風車が立ち並ぶ異様な風景が広がる。
雄岳・雌岳に向かって道なりに進むと,川べりに建つ小さな神社の前に出る。これは幕末の政変期に京から長州に逃れ,この地で暗殺された攘夷派の公卿・中山忠光(1845-1864)を祀った本宮中山神社で,鳥居の前に3〜4台分の駐車スペースと,登山道の案内板がある。ここから登山開始。上りは古堂コースを使う。
神社から舗装路(広域林道)を歩き,民家の手前で右手の細い道に入る。「四恩寺コース」の標識が地面に置かれているが,見えにくいので注意。「ぬたが迫コース」の分岐を過ぎ,樹林帯に入ると,中山忠光卿が一時潜伏していたという四恩寺の跡地。その先「踊庭」と呼ばれる場所で林道は途切れ,山道となる。
あまりはっきりしない踏み跡を沢伝いに上り,斜面をよじ登り,ガードレールを乗り越えて広域林道に出た。
ゴルジュ帯に向かう登山道入口がすぐそばにあり,道の脇には数台駐車できそうなスペースもある。携行したガイドブックの記事(2004.5)には「車底を擦ることを覚悟すれば(乗り入れ可能)」と書かれていた道はすっかり舗装されていた。現在はここから出発する登山者も多いのではなかろうか。

林道からの上りは途中で左に「観音岩コース」が分かれるが,そのまま直進し(川上りコース)ガラ場の急坂をゆく。再び観音岩コースが合流するとまもなくゴルジュ帯に入る。水の流れもあり踏み跡がはっきりしない場所もあるが,一部の岩に取り付けられたロープが通常のルートとなる。足下が滑りやすいので慎重に。
落差5mほどの「白滝」を過ぎるとゴルジュ帯は終わり,平坦地となる。踏み跡は左右に分かれ,右に行くと林道経由で山頂登山道へ,左は雄岳展望台(ガイドブックの記載)を経て林道に下り山頂登山道に向かうやや遠回りのルート。ここは展望を期待して雄岳へ向かった・・・が,かつての「展望台」らしき場所には山頂の標識も見えず,眺めもあまり良くないのですぐに通過した。
植林帯を下って合流した林道には山頂方面への案内標示はなく,間違えて上り方向に歩いて行ってしまった。舗装路の脇に立つ巨大な風車,「関係者以外立入禁止」の標示と車止めばかりが目に付き,山頂への入口標示はどこにもない。不審に思ってルート図を見直し,やっと道を間違えたことに気づいて引き返した。往復で約20分のロス。舗装路のすぐそばで3頭の鹿に出会った。
戻ってきた雄岳合流点から下り方向に5分足らずで,山頂登山道の入口に到着。道の端にロープが張り巡らしてある(風車施設に立ち入らせないためだろう)以外には大して特徴のない道を淡々と上り,途中3度目の林道を横断する。その先わずかな距離で山頂に到着。
9年ほど前の記事では「(樹木が伐採され)展望が大きく開けた」と書かれていた山頂は,木々の丈が伸びて再び眺めを遮りはじめていた。北側に向津具半島の一部,南東方向に一位ヶ岳の山頂部が見えるのみである。
山頂からは来た道を下り,林道に出てさらに10分ほど下ると「ぬたが迫コース」が左に分岐する。かつてはマニアックなゴルジュ帯を避けた一般向けのメインルートであり,当然今も歩きやすく,ゴルジュ帯より安全に下れるものと思っていたのだが・・・。
林道を離れ,尾根につけられた広く明るい道を下り,鞍部から右に折れて沢に下る。ここまでは快適であった。その後は下るにつれて踏み跡が錯綜,倒木も増えてどこを歩けばいいのか分からない場所も少なくなかった。林道ができたことで,特徴のない普通の道は利用者が減り,荒廃が進むばかりなのか。