山名/標高 千燈岳(せんどうだけ)/606m
登山日・天候 2013年11月26日(火)・曇ときどき晴 
行程 千燈寺跡入口(07:45)〜旧千燈寺跡・奥の院・国東塔・五輪塔群(07:50-08:15)〜千燈岳登山口(08:30)〜不動山・五辻不動尊(08:40)〜林道出合(09:05)〜千燈岳(09:35-09:40)〜赤根登山口(10:15)
千灯岳・せんとうだけと表記されることもある。
山名は,六郷満山の中心的寺院のひとつで,この山の中腹にあった千燈寺に由来している。
奈良時代の718(養老2)年に,国東半島に多くの寺院を開基したと伝えられる仁聞(にんもん)は,最初にこの山の麓に寺を開いた後,国東半島の各地に寺院を開基,晩年は最初に開基したこの寺の奥の院「枕の岩屋」で入寂したと伝えられ,仁聞の徳に感じた東北海の龍王がこの寺に千の燈を献じたことから「千燈寺」の名が付けられたとされる。
国東に多くの伝承を残す仁聞について,近年は実在しなかったとする説が有力で,八幡神あるいは八幡神に近しい神の仏教的表現であるとも考えられているが,地元では「仁聞菩薩」とも呼ばれ,今も信仰をあつめている。
登山道が開かれたのは比較的最近で,北麓の「六郷満山ふれあい森林公園」として整備された旧千燈寺跡地や五輪塔群などの史跡から不動山(352m)を経て山頂まで縦走するルートと,西麓の赤根地区から直登するルートの2通りがある。2つの登山口は約4km離れており,1時間程度の徒歩を厭わなければ周回も可能。

国道213号線から県道31号線を赤根温泉方面へ約5km,「ふれあい森林公園」の看板を見て左折し数百mで丁字路に出る。正面に森林公園の案内看板があり,不動山手前の登山口(駐車場あり)へはどちらの道からでも行けるが,旧千燈寺跡などを見る場合は右の道を行く。
分岐から500mほどで上部の欠けた石鳥居と石段が現れ,「千燈寺跡・駐車場500M先」の看板が立つ。徒歩の場合はここから石段を上ってもよい。数百m先で鳥居の立つ敷石の参道と合流し,そこから旧千燈寺跡や奥の院まで上り坂が続く。
(画像左から)旧千燈寺跡・奥の院(隣に仁聞入寂の枕の岩屋)・国東塔(伝仁聞墓所)・五輪塔群
旧千燈寺跡の先で道が二手(奥の院/五輪塔群)に分かれるが,どちらを上ってもすべて見て回ることができる。急な石段を上り,奥の院〜国東塔〜五輪塔群の順に見て山道をさらに上ると,舗装された林道(麓の丁字路左手の道)の側に出る。
林道を道なりに上ってゆくと,やがて岩峰そそり立つ不動山の前に出る。勇壮な山容の奥には,端正な三角錐の千燈岳。
登山口前には駐車場,トイレ,案内看板が設置されている。
登山道を少し上ると道が二手に分かれる。不動山・千燈岳は右に,手すりの付けられた岩場を上っていくことになる。
左は数十mで行き止まりとなり,北に大きく展望が開ける。周防灘に浮かぶ姫島が指呼の間。その先に横たわる本州(宇部〜上関?)もはっきり見える。
右の道に戻り,岩場を上ると五辻不動尊。巨岩には上れないのでここが不動山山頂となる。真ん中に姫島を望む石灯籠は大正時代に建立されたもの。
千燈岳へ向かう縦走路は,樹林帯の中を小刻みにアップダウン。時折木々の間から千燈岳が顔を出し,進む方向を示してくれる。
縦走路はいったん鞍部に下り,舗装された林道(旧千燈寺跡から上ってきた道?)を横切って「千燈岳1.1km」の山道に取りつく。
千燈岳山頂への上りは,やはり地形図や見た目の期待を裏切らない急登だった。
踏み跡は落ち葉に埋もれてよく見えないところもあるので,テープと距離表示を見失わないように。ほぼまっすぐ,上に上に進めば間違いない。
岩や木の根に足を掛けてよじ登っていくと急に傾斜が緩くなり,落ち着いた並木道のような場所に出る。そのまま進むとまもなく三等三角点の山頂である。
あまり見晴らしは良くないが,広々として明るく居心地の良い山頂を後に,下山路は「あかねの郷」方面への道を下る。こちらもかなりの急坂だが,擬木階段のおかげで下りでは滑りにくく安心できる。登山道から林道に出てそのまま道沿いに下ってゆくと,一ノ瀬溜池前の赤根登山口に出られる。