山名/標高 天狗石山(てんぐいしやま)/1192m
三ツ石山(みついしやま)/1163m
高杉山(たかすぎやま)/1149m
登山日・天候 2015年10月31日(土)・晴ときどき曇
行程 来尾峠(10:30)〜高杉山分岐(11:05)〜天狗石山(11:20)〜キナイ原〜三ツ石山(11:50)〜(折り返し)〜高杉山分岐(12:25)〜本峠(12:35)〜高杉山(12:55-13:10)〜(折り返し)〜本峠(13:30)〜乳母御前〜ユートピアサイオト入口(14:05)〜来尾峠(14:20)

天狗石山(左)と高杉山(右)。中央奥に毛無山。

10年前に中野冠山から縦走を行って以来の再訪となる天狗石山。
サイオトスキー場前を横切る県道を島根県境の来尾峠へと進むとピーク手前に登山口があり,5〜6台分の駐車スペースがある。
登山道は序盤からかなりの急坂だが,15〜20分くらい上ると平坦で見晴らしの良い草尾根に出る。


尾根道の向こう,ススキと灌木の上に天狗石山と高杉山が並びたち,近くの岩に上って周囲を見渡すと,日本海側の眺めも良い。
東には三瓶山,大山の影も浮かんでおり,山頂からの眺めにいちだんと期待が高まる。
草尾根を過ぎ,標識の残骸が残る高杉山分岐(左)を天狗石山方面に直進,ブナ林の中を上る。枝越しに見上げる空が明るい。
しばらく踏み跡をたどり,やがて「天狗石」の名の由来のような巨石群が森の中に現れると,山頂は近い。
展望台が備え付けられた山頂に到着。以前に訪れたときは山頂付近に咲くオオヤマレンゲに関心が集中し,さらに曇り空で眺めも悪かったので,山頂からの景色はほとんど記憶に残っていなかったが,実は非常に見晴らしの良い場所だと再認識した。
周囲の木が伸びたためか,展望台に立っても三角点の岩上に立っても眺めはほとんど変わらず,見渡せる範囲は一部に限られるが,江津の海岸から大江高山,三瓶山,大山,その右(南)側には比婆山と思われる山塊も見える。6月に登った本明山も,北の海辺に連なる山々の中にあるのだろう。
山頂からの眺めを楽しんだ後,今回初登頂となる三ツ石山へ続く縦走路に足を踏み入れた。

山頂からの眺め。深入山よりも15〜16km東に寄っているぶん,三瓶山も大山もより近くに見える(ような気がする)。
天狗石山から縦走路を三ツ石山方面へ下りはじめると,すぐに木の間から建物とアンテナが見えはじめ,5分もすれば舗装された林道に合流する。
この辺りは「キナイ(=木無)原」と呼ばれ,古くから木炭生産のために樹木が伐採され見晴らしの良い草原であったことから,林道が通じアンテナ中継基地等の施設が建ち並んでいる。一般車両も通行できるので,天狗石山はここから登るのが最短の登山コース(片道約10分)となる。
NTT無線中継基地の先で舗装路が2手に分かれているので左の道に入り,道なりに進む。振り向くと天狗石山が低く盛り上がっている。
林道の終点は,作業車の回転場所と思われる未舗装の広場。この広場の手前で左のカヤトの原に分岐する踏み跡があり,こちらが縦走路となるが,うっかり空き地まで入り込んでしまった人のための入口(ブロック塀に書かれた矢印)も用意されている。
入口はヤブで覆われ先行きに不安を感じるがすぐに本線に合流し,その後ははっきりした踏み跡が続く。
三ツ石山は天狗石山と阿佐山(北峰)の間の緩やかな隆起で,もともと目立ったピークではないが,縦走路も上りらしい上りもなく平坦な道が続くので,山頂を見落としたのではないかと次第に不安になってきた。
もう少し歩いても何の目印もなければ引き返すことにしようと思い始めたころ,ようやく縦走路の途中に立つ山頂標識と三角点の前に出る。
周囲は木に囲まれ展望はほとんどない。今回はここで来た道を引き返し,天狗石山に戻った。
天狗石山山頂から来た道を下り,高杉山への分岐路に入り急坂を下ると,10分ほどで本峠(ホン峠)に出る。
三叉路になっており,右に別れてスキー場に下る道の先には「乳母御前」の祠が見えているが,まずは高杉山へ直進。
しばらく平坦な道を進んだ後,ブナ林の間の急坂を上る。天狗石山に比べれば黄葉は残っているが,ほとんど落葉しており森の中でも見通しは良い。坂の途中で振り向くと,木々の向こうに天狗石山のピークが見える。
ブナ林を抜け,踏み跡が二手に分岐している場所に出るとそこが高杉山の山頂となっている。小さな標識があるだけで見晴らしはきかない。
分岐を左に行くとすぐ行き止まりとなるが,終点に大きな岩があり,上に立つと南から西にかけての展望が良い。(下画像)
山頂に戻り,分岐を直進するとすぐにサイオトスキー場の最上部リフト降り場前に出る。こちらは西から北にかけての展望が良い。
眺めを楽しんだ後は来た道を本峠まで下り,さらにスキー場方面の下山路に入る。峠の分岐からも見える乳母御前の祠は,安徳天皇の祖母にあたる二位の局を祀ったもの。壇ノ浦で安徳天皇とともに入水したとされる二位の局が実はこの地に逃れ,隠れ住んでいたという言い伝えが当地に残されている。
祠の先は未舗装の林道となっており,スキー場まで緩やかな下りが続く。ゲレンデを抜け県道に出て,上り坂を10分ほどで起点の来尾峠に戻った。