山名/標高 国東半島峯道ロングトレイル
 豊後高田コースT-2後半〜T-3 [約19.5km]
登山日・天候 2017年5月14日(日)・晴
行程 富貴寺前(09:15)〜川内入口(09:35)〜(道迷い)〜センホウシ線入口(10:20)〜山神社(10:50)〜海神社(11:25)〜並石ダム(11:35-12:15)〜三嶋神社(12:30)〜田原地峠(12:55)〜長安寺(13:15-13:20)〜川中不動・天念寺(13:55-14:05)〜無明橋・83番祠(14:35)〜無動寺(14:55)〜椿堂・椿光寺(15:05-15:20)〜応暦寺分岐(15:55)〜真玉温泉(16:15)
ルート軌跡


昨年(2016.11.12)からの続き。
T-2コース中間点の富貴寺から県道を2kmくらい歩き,道が大きく左にカーブした場所からまっすぐ林道に入る(川内入口)。
上り勾配の未舗装路を進み,ため池の前でトレイルコースの目印(豊後高田市は緑・黄のテープ)を頼りに左の道へ。
新緑真っ盛りのシーズンとなり,池のほとりの道も草ぼうぼう。この先夏場はとても歩けないだろうなどと言いながら進んでいくと,再び道が二手に分かれる。一方は直進だが,路上に倒木?があり「この先進めません」といった雰囲気濃厚(・・・であったが, こちらが正しいルートだと後で判明)。もう一方は右手の斜面を上っていく道で,相変わらず草ぼうぼうだが一応踏み跡らしきものもある。
コース図ではこの先峠道となっているので,右の上り道にとりついた。が,これが間違いであった。
5分ほどで尾根に出たものの目印も標柱もなく,ヤブをかき分けるようにしてしばらく道を探して森の中や獣道を行き来し,3往復目くらいでようやく正規ルートに出ることができた。前回に続きまたも道に迷ってしまい,空は晴天だが先行きに暗雲が立ちこめてきた。
正規ルート合流点からすぐに「センホウシ線入口」に到着。ここでトレイルコースと交差する舗装路は,川内入口で分かれた県道とつながっている。山道を歩いた方が雰囲気は出るし幾分ショートカットできるのだが,現在のような整備状況なら,この舗装路を正規ルートに替えた方が安全だろう。
トレイルコースはこの交差点から再び林道に入る。入口は未舗装だが,少し進むと舗装された急な下り坂となり,勢いよく下って行くと途中でまた山の中にコースが分かれるので,標識を見落とさないように注意。集落に下りて,民家の脇から裏山の道に入ると「山神社」がある。
山神社から急な石段を下って隣の集落へ。「←並石ダム方面」の標柱から民家の間の狭い山道を抜け,ダムの手前にある「海神社」に到着。
ホームページでの説明やコース上の案内表示では「うみじんじゃ」と書かれているが,地元の人は「かいじんじゃ」と呼んでいた。どちらが本当だろう?
T-2/T-3コースの発着点となる並石(なめし)ダムは,ダム湖の周囲を「鬼城耶馬(きしろやば)」の奇岩が取り囲む風光明媚な場所で,春は桜の名所としても賑わうとのこと。堰堤そばの並石ダムグリーンランド(こっとん村)は食事と宿泊(素泊まり3000円)ができる。
ここから引き続きT-3コースとなる。堰堤を渡り,ダム湖周回路から分かれて山道に入り三嶋神社へ。境内の銀杏から落ちた実が芽を出していた。
神社を下り舗装路に出て,長安寺方面に坂道を上る。このまま長安寺まで舗装路が続くなら楽だと思っていたらまたすぐ山道に戻った。墓地の脇を抜け,不明瞭な踏み跡を辿って田原地峠まで上ると,あとは歩きやすい林道を緩やかに下り長安寺に到着した。
ここはシャクナゲの名所らしく入園の受付(1人100円)もあったが「今日はもうタダでいい」とのこと。境内を少し歩き,天念寺に向けてまた山道を下った。
長安寺から下ってきたルートは,天念寺の少し下流から川伝いに歩いて川中不動の前に出る。
初めてここを訪れた20年くらい前は,寺の前を通る狭い道の路肩に駐車していたような気がするが,現在は川向こうに開通した県道沿いや寺の隣に新設された交流施設「鬼会の里」前に広い駐車場が整備され,観光客も訪れやすくなった。
T-3コースのハイライトとなるのが,天念寺の背後にそびえる岩山(天念寺耶馬)である。鬼会の里からも見える無明橋は,トレイルコースからは「いちおう」除外されているが,せっかく来たのだからやはり渡っておくべきだろうか・・・遠望するだけで足がすくむ。

登山口は,鬼会の里の先にある民家の脇にある。入口には物々しい看板が立ち,観光協会公認のトレッキングコースとは思えない危険な空気が漂う。
不安を感じながら目印を辿り薄暗い山道を上っていくと,まず最初に鎖の垂らされた岩壁が立ちふさがる。ここは難なく突破し,石仏が並ぶ岩屋を横切ってやせ尾根に出る。トレイルの正規ルートはこの尾根から右に下り無動寺へと向かうのだが,無明橋へはそのまま直進・・・。
正面には,常人の眼には「行き止まり」に見える岩峰が2本の鎖を垂らしてそびえ立っている。少し迷ったが,やはりその先へ行ってみることにした。
2本の鎖は,ほぼ垂直に岩峰の上まで続いているものと,向かって右側を巻くようにして裏側に延びているものがあり,いちおう上級者/初心者と区分されている。見た目にいくらかでも簡単そうな初心者コースを選んだ。
個人的な印象では,この初心者コースでさえ,これまで上り下りしてきた鎖場の中でもトップクラスの怖さであった。
岩登りで恐怖感がピークに達してしまったので,その次の無明橋は(先客がいたこともあり)実にあっけなかった。橋の下はまさしく断崖絶壁だが,横幅が広く安定しているので,津波戸山の小さな無明橋と比べてもよほど安心して歩ける。
橋の先にある第83番の石祠に参拝し来た道を引き返す。鎖場の下り(もちろん初心者コース)は上りよりもさらに怖かった。
なお,無明橋の手前からはまた別の絶景ポイントへの道も開けていたが,こちらは謹んでパスすることにした。
往復の所要時間は10分程度であったが,鎖場を降りた途端に疲れが一気に押し寄せてきた。
無動寺からゴールの真玉温泉までは概ね平坦な道を5.5km,途中に枝道が2つあり,それぞれ寺院を参拝して折り返す設定になっている。
1つめの枝道の先にあるのは,弘法大師ゆかりの寺とされる「椿堂(遍照院)」。詳しい説明は寺のホームページを参照。本堂裏の岩の間から湧き出る霊水が万病に効くとのことで(特に外傷に効能あり?),寺のあちこちに病気快癒した人たちが奉納したコルセットやギプス,松葉杖が置かれ,本堂の軒先には相当昔に奉納されたと思われる髪の毛もたくさんぶら下がっていた。また,境内は猫の遊び場となっていた。
この椿堂のすぐ隣には,天念寺の十代目住職によって開基されたと伝えられる椿光寺がある。「椿大師元祖の寺」と呼ばれ,本堂の前には巨大な弘法大師の銅像が建っている。今回それぞれの住職から寺のいわれを拝聴し,パンフレットやお札をいただいたが,相手方の寺に関する話題は一切なし。いろいろ複雑な関係が察せられる。なお,今回は立ち寄らなかったが,椿堂からさらに階段を上ったところには椿大堂(善通寺)もある。
今回は午前中の道迷いと午後のお寺参りで時間をとられてしまったので,2つめの枝道(応暦寺)はパスして真玉温泉にゴールした。