山名/標高 臥龍山(がりゅうざん)/1223m
(刈尾山)

深入山からの眺め。(2002.10)

芸北町・八幡高原の聖湖のほとりに「龍が臥す」ごとくゆったりと横たわる高峰。西斜面にひろがるブナ林は、樹齢数百年を数える古木、巨木が立ち並ぶ貴重な原生林で、現在は特別保護区域に指定されている。
江戸時代に書かれた史料「芸藩通史」には「前後に高山立かさなれども、此山、最高し。頂上より伯耆大山、出雲松江、石見の諸浦、長門三崎を見るべし」とあり、恐羅漢山が人を寄せ付けない深山だった時代には広島県の最高峰とされていたようである。当時は山頂からの眺めが非常に良かったようだが、現在は樹木が生い茂り、山頂やその近くの展望岩からごく一部の眺めが得られるに過ぎない。同書には、この山が十方山とともに海上交通の目印とされていたとの記述もある。
古くは「刈(苅)尾山」「狩龍山」ともいい、現在の山名は、戦前にもちあがった「ヤマタノオロチ」伝説発祥地をこの地域と見なす学説(臥龍山にオロチが倒れ臥し、北東に並んでそびえる掛頭(かけず)山に頭を乗せた、という説・・・オロチ=大蛇とドラゴン=龍を混同してませんか?)の「こじつけ」として当て字されたまま定着したもののようである。今も地元では刈尾山とも呼ばれ、最近の道路地図や地形図では二つの名を併記している。
山頂のすぐ下には「雪霊水」と名付けられた名水が湧き出ており、ここまで舗装された車道(菅原林道)が延びている。登山道の最短ルートはこの車道終点から往復20分程度となるが、どうせなら古木の立ち並ぶブナ林を眺め、野鳥の声に耳を傾けながらゆっくり登って行きたい。北西の千町原(せんちょうばら)から登る「ウマゴヤ谷コース」または西の長者原を横切る国道191号線のすぐ脇から林道をまたいで直登するコースがよく利用されるほか、掛頭山との間に縦走路も延びている。
周辺は中国地方でも有数の豪雪地帯で、早い年は10月中〜下旬から冠雪を記録することもある。厳冬期は1日で1m近く積雪する場合もあり、晩秋から早春にかけての山行にあたっては気象状況に充分注意を。

山 行 記 録
2002.10.29 国道191号線・長者原から往復。山頂は早くも雪。
2004.05.11 掛頭山から縦走し、千町原に下山。
2005.05.03 国道191号線から展望岩を経て山頂へ。雪霊水から林道経由で下山。
2007.12.02 国道191号線から読図しつつ山頂〜雪霊水〜ウマゴヤ谷経由で千町原へ。
2015.10.17 国道191号線から展望岩〜山頂〜縦走路〜雪霊水から林道経由で下山。


聖湖からの眺め。(2004.03)


高岳山頂からの眺め。左:臥龍山、右:深入山 (2005.05)


八幡高原191スキー場からの眺め。左奥は掛頭山。(2005.12)


八幡原公園から、掛頭山(左)〜臥龍山の稜線を一望。臥龍の頂上部にはまだたくさん雪が残っていた。(2006.04)