山名/標高 求菩提(くぼて)山/782m
英彦山から犬ヶ岳へ続く稜線が一の岳で北に分岐し、緩やかに下っていったその先にそびえる求菩提山は、その特異な山容により古来から信仰を集め、中世には英彦山と並ぶ修験道の行場として大いに栄えた。室町時代には500坊100窟を数えたともいう。
見た目の大きな特徴である山腹の「コブ」は、英彦山山地特有のビュート(メサの台地が浸食され小規模な丘状となったもの)地形によるもの。切り立った断崖の下には大日、普賢、多聞、吉祥、阿弥陀の五窟がおかれている。普賢窟から発見された銅板法華経は国宝に指定された。この銅板をはじめ、修験道の歴史を物語る数多くの資料がふもとの求菩提資料館に展示されている。
登山道は、豊前市鳥井畑が起点となる。座主坊園地、中宮を経て石段を上り山頂の上宮に達するルート、求菩提資料館脇から五窟をめぐり山頂に出るルートなどがあり、周回も可能。また、南西にそびえる犬ヶ岳(一の岳)に縦走路が延びている。いずれも良く整備され、要所に標識も立てられており歩きやすい。ただし、中宮と上宮を結ぶ石段「鬼の磴(あぶみ)」は、上に行くほど急峻となり足を滑らせやすいので、雨天時などは五窟めぐりコースを迂回した方が安心である。
ほぼ全山が木々に覆われ、山頂を含め展望はほとんどきかない。登山としては物足りなさもあるが、野鳥の声に耳を傾けながら山中に残された修験道の遺構を巡る山歩きも、また味わい深い。

山 行 記 録
2006.07.13 犬ヶ岳から求菩提山へ縦走。五窟めぐりコースを下る。
2009.04.29 北尾根を通り、求菩提山から犬ヶ岳へ縦走。