臥龍山北麓の八幡原公園に車を停め、まずは掛頭山登山口のある二川キャンプ場に向かう。 公園の片隅には、昭和8年6月にここ(八幡湿原)を訪れた植物学者、牧野富太郎(1862-1957)の句碑と記念碑が建てられている。
カキツバタにはまだ早かったが、蝶やミツバチが菜の花やツツジの間をしきりに飛び交っていた。 |
薄雲に遮られたやわらかな陽ざしの下を30分ほどで二川キャンプ場に到着。管理事務所から場内の舗装路(林道土獄線)に入り、土草峠を目指す。 途中にはいくつか「展望台」の入口標識があったが、その標識の側にはきまって「立木が茂り現在は展望できません」のただし書き。おまけに「熊に注意」の看板も並んでいる。 (右)の気持ちよさそうな草原の中にも「マムシに注意」の看板あり・・・ |
管理事務所から15分ほどで坂を上りつめたところが、登山口のある土草峠。 (左)画像、ちょうど車の止まっているあたり(キャンプ場からは峠の頂上=保安林の黄色い標識よりほんの少し手前)に登山口を示す赤いテープと小さな表示板。ここから森の中に入る。 入口は狭く、少し不安に感じられるが、ミズナラの多い森の中に入ると、よく踏まれた広い道が上に向かって「まっすぐ」続いている。かなり急坂なのでペース配分に注意。 |
急勾配の直登路を30分ほど喘ぐと傾斜が緩やかになり、すぐに森を出てテレビ中継塔の立つ広場(左)に出る。 広い砂利道をNTTドコモの中継所(右)に向かって進むと、アンテナの少し先の右手に「掛頭山山頂入口」の小さな表示板。ここから再び山道に入り、数分で三等三角点の山頂に到着。 臥龍山への縦走路はこのまま直進だが、向かって左の道を少し進むと芸北国際スキー場のゲレンデに出られる。 |
ゲレンデからの眺め。遠くの山はぼんやりして判別がつかない。 |
掛頭山頂から、臥龍山の縦走路へ。展望のない山頂から少し進むと視界が開け、臥龍山の山頂部が顔を出す。 一度舗装路を横断し、急斜面を下って再び舗装路に出る(右)。ここが「猿木峠」。道に出て左方向に見える臥龍山に向かって歩き、カーブの手前で再び登山道に入る。舗装路をそのまま歩けば二川キャンプ場に下りられる。 |
周囲にブナの木が増え、臥龍山の懐に入ったことを知らせてくれる。野鳥の声もにぎやかになってきた。 縦走路はほぼまっすぐな道で、踏み跡はしっかりしており歩きやすい。西側斜面につけられたコースと比べると小振りなブナが多い気がする。 | |
山頂(右)は一等三角点だが、現在はほとんど眺望はない。 南西に少し移動し、聖湖や恐羅漢山などがよく見える展望岩に登ってみたが、周囲にうっすらとガスがかかっており、聖湖がかすかに見える程度だった。 |
展望岩から山頂に引き返し、途中に階段のつけられた急な下りを5分ほどで舗装路の端に出る。ここが菅原林道の終点で、すぐそばから「雪霊(せつれい)水」が湧き出ている。 臥龍山のブナ林が育んだ水は聖湖でいったんせき止められ、樽床ダムを出て柴木川となり三段峡の渓谷を経て戸河内町内に下り、冠山・十方山に源を発する太田川と合流する。 |
雪霊水を汲んで、林道終点から再び急な山道を千町原方面に下る。 植物が着生した幹が別の生物の肌を連想させる巨木や、立ち枯れて森のモニュメントと化しつつある老木。 いつまでも見飽きることのないブナ林から、辺りはいつの間にか植生が変わりミズナラ林に。遠くから聞こえていたせせらぎが次第に大きくなり渓流のそばに出ると、森の出口は近い。 |
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森を出て、千町原の草原を数分で車道沿いの登山口に出る。 登山口から右に数百mでもとの八幡原公園に戻る。 振り向くと、臥龍山の山頂部が薄雲の中に見え隠れしていた。 |