山名/標高 倉木(くらき)山/1160m
登山日・天候 2004年11月16日(火)・晴ときどき曇
行程 由布岳登山口(07:05)〜雨乞牧場入口(07:15)〜登山口(07:35)〜登山道分岐(07:40)〜山腹廻りコース〜山頂(08:15-08:35)〜北側ピーク(08:45)〜急坂コース下る〜登山道分岐(09:15)〜由布岳登山口(09:45)
別府阿蘇道路(やまなみハイウェイ)を挟み、由布岳の南に稜線を連ねる速見火山群の中の一山。山頂の最高所は1160mだがここには三角点がなく、地図や地形図等では北側尾根に標柱が立てられた1154.9mピークを山頂としていることが多い。
頂上部は平坦なササ原で展望が良く、眼前に由布・鶴見岳、眼下には湯布院盆地、南に九重連山、祖母・傾山を遠望し、東には別府湾と佐賀関を望む360度のパノラマが嬉しい。登山口手前まで車道が通じ、山頂までの標高差も少なく初心者やファミリー登山に最適だが、北側尾根を直登する通称「急坂コース」は滑りやすく危険なので、上り・下りとも避けた方が無難。
山名の「くら」は岩・断崖・岩場を指す言葉であるという。

雨乞牧場手前の車道より。 左:倉木山 右:由布岳

倉木山の登山口周辺は牧場になっていて車道が通じているとガイドブックに説明があり、地図上にもやまなみハイウェイから分岐する車道が書かれていたが、今回は由布岳登山口に車を停めて出発することにした。
ここから歩く目的は別にあって、駐車場から湯布院町に入ってすぐの道端にある「不動明王」社詣で。10年ほど前に偶然見つけたこの社の狛犬の顔がもう一度見たくて・・・
小さな境内には大分県知事の筆による「蜜蜂供養碑」が建っており、意外と由緒あるところなのかもしれない。が、何はともあれ狛犬である。ちょっと南方(シーサー)の血が混じったような、強面でいてどことなくエキゾチックな表情。

顔が奇妙にひしゃげた吽(うん)形、初見時の強烈な印象は、10年経っても変わることはなかった。
思わず頭をなでてしまった。

やまなみハイウェイから分岐した舗装路が雨乞牧場に続いている。
路面も道幅もまったく問題ない。帰路では観光客を乗せたタクシーが入ってきて、由布岳と湯布院の町をのんびり眺めていた。
足元の草むらから変な鳥の鳴き声が聞こえると思ったら、1羽の大きなキジがバタバタと飛び立ち、倉木山のほうへ去っていった。
雨乞牧場に入ると道路は砂利道になる。右手に倉木山を見ながらしばらく進み、テープと小さな標識のある脇道から、コンクリート舗装された緩い上り坂を10分足らずで登山口に到着。
ここまで車で進入可能だが、登山口手前は作業車の回転場になっており道幅も狭いので、一般車は下の砂利道脇に駐車した方がよい。
登山口に入るとすぐに分岐が現れる。ここは迷わず「山腹廻りへ」。
湯布院盆地に面した西側の急斜面につけられた巻き道で、急坂コースよりも距離は長い(といってもたかが知れている)が歩きやすく、道もしっかりしている。
一部に自然林が残り、時期を選べば新緑や紅葉も楽しめそう。
緩やかな上りの登山道も、最後には南側斜面から山頂へ向けての直登路となる。ただし距離は短く、慣れればひと息で上れるくらい。
やがてススキの原の向こうに丸い山頂部が見えてくる。山頂手前で道が二手に分かれているが、まずは直進し1160mのピークに到着。地面に積み上げたような岩の上からは、360度の展望が広がる。
・・・はずだったのだが、空の上には意外に雲が多く、由布・鶴見岳の山頂は雲の中。九重もすっぽり雲に包まれ、祖母・傾は影も形もない。
倉木山の上は良く晴れ、吹く風が冷たい。
山頂からは手前の分岐に引き返し、北尾根に向かう。1154.9mの標柱を過ぎると、眼前に由布岳を眺めながら(今日は隠れているが・・・)ササ原の中を下る「急坂ルート」のはじまり。
最初は快適な下りだが、ササが途切れ勾配がきつくなってくると、露に濡れた黒土の斜面は天然の滑り台と化す。周囲には体を支える木がほとんどなく、ロープ代わりにはあまりに頼りない枯れ草を握りしめながら、ずるずると下りていくしかない。やがて周囲に木々が増えてくると、今度は濡れ落ち葉のおかげでいちだんと滑りやすくなる。
山頂からの展望が良く、機会があればまた登ってみたい倉木山だが、急坂コースだけは通らないようにしたい。
山腹廻りコースを上り、山頂から北尾根に回って眺めを満喫してからもと来た道を下る方が安全で、今日のような路面状況なら所要時間もそのほうが短い。
雨乞牧場から見える由布・鶴見岳はまだ雲をかぶっていたが、空の青い部分は次第に広がってゆく感じ。内山登頂までには天気が回復することを願いつつ、駐車場を出て別府市内に向かった。