由布岳登山口からやまなみハイウェイを一気に下り、別府市内へ。 明礬温泉の中にある内山登山口への進入路は、市内から明礬方面へ、「別府温泉保養"泥湯"ランド」を過ぎて大分自動車道「明礬大橋」をくぐり、「地獄蒸しプリン」の手前にある大きな右カーブの奥に続く道(左画像:明礬薬師寺の看板が目印)を直進。硫黄臭漂う細い上り坂を道なりに進み、適当な場所で路肩に車を止めて登山開始。 この道路は鍋山の湯の手前まで延びており、車止めの置かれた行き止まり地点には若干の駐車スペースもある。路面は進むに従って荒れてくるが、慎重に進めば普通車でも終点まで通行は可能。 |
鍋山の湯までの道は見晴らしが良く、前方に扇山と内山、振り向くと別府市街と別府湾を一望できる。 駐車場所から1〜2km(明礬薬師寺入口からは3〜4km)くらいで、車止めが置かれ「鍋山湯源郷 平成六年四月吉日」と書かれた石灯籠?の立つ車道終点に到着。 |
車止めを抜けると急に硫黄臭が鼻をつく。道の小石にも硫黄が付着しているのか、地面の色が違って見える。 道の途中で、洗面器とシャンプーを手にした風呂上がりの人とすれ違った。登山靴にリュックを背負った自分の格好に少し怪訝な表情。 そういえばあの当時も、風呂に入っていたら山の奥の方からリュックを背負って歩いてきた人がいたなぁ・・・鍋山の湯にはじめて訪れたのは10年近く前、まだ登山に全く興味のなかった頃で、この露天風呂の奥に登山道が延びているとは夢にも思わなかった。 誰が気を利かせたのか洗面器が浮かぶ湯船はちょうど空いており入浴のチャンスだったが、下山後の楽しみに取っておくことにし、先を急いだ。 |
露天風呂を過ぎると、湯の華の浮かぶ小さな池のほとりに出る。ガイドブックによるとこの池は、昔ここにあった旅館の名残の泉水とのこと。 この泉水のふちを回り木々の間を抜けて沢に出ると、あたりを覆う紅葉は台風の影響が少なかったからか、今年一番の見事な色彩で目を楽しませる。しかし沢の中の踏み跡は不明瞭で、木の枝や幹に巻かれたテープを頼りの前進となる。 |
沢を上り、木がまばらに生えた少し広い場所からテープ伝いに尾根へ取りつく。 そのまま急坂の尾根をテープに従ってひたすら上って行くわけだが、実はこれ、ガイドブックにあるルートとは全く違う道だった。そうとは知らず、一歩進むごとに傾斜がきつくなるような急登を喘ぎ喘ぎ、高度を稼いでゆく。道は上るにつれてさらに不明瞭となり不安になったが、ひたすらテープを追い続けて何とか縦走路の途中に出ることができた。 | |
縦走路との交差点を左(南西)に曲がり、内山山頂へ。振り向くと山腹から噴煙の上がる伽藍岳が大きくそびえている。 縦走路の踏み跡は先ほどに比べるとかなりはっきりしてきたが、一部に判りにくいところもあり、テープの確認が欠かせない。 山頂までの標高差はあと300mくらい。急な登りはこの後もしばらく続く。 |
この山も倉木山と同じ黒く滑りやすい土質で足元が落ち着かない。途中にはロープのつけられた急斜面が待ち受けているが、とにかくずるずると滑りやすいので、細い木の根に巻かれた頼りないロープに全体重を預けることもしばしば。非常に緊張した。 この急坂を越えると道は次第に緩やかとなり、所々で塚原や由布岳北面の展望が開けてくる。道端には季節はずれの花を2〜3輪咲かせているツツジがあった。 |
山頂に到着。平日にもかかわらず他に2組のグループあり。冬枯れのススキの間でミヤマキリシマが開花の季節を待っていた。 |
山頂の岩の上からの眺め。鶴見岳までの稜線にもさらに縦走路が続いている。 |
山頂からは縦走路を折り返して来た道を下る。 帰りは本来の予定ルートを下ろうと、上りの「尾根急登コース」への入口をパスしてさらに前進、数百m進むと殺風景な草原に出る。振り向くとガイドブックにあった写真と同じ姿の内山がそびえている。 ここが「塚原越」で、道は東(明礬温泉)西(塚原温泉)南(内山)北(伽藍岳)の4つに分岐している。伽藍岳へはここから直進で20分程度だが、進路上で重機が作業中であり時間もあまりなかったので、今回はこのまま明礬温泉へ下ることにした。 (右)塚原越の周囲の地面から噴気が立ち上る。 |
尾根急登コースよりはいくらかましだが、塚原越からの下りもかなりの急坂。下りはじめの特に急峻な区間を通称「兎落とし」と呼んでいる。ロープや目印も尾根道よりは多めだが、それでも時々道が判らなくなり、辺りを見回すことがあった。 沢に出て岩がゴロゴロする間を抜けしばらく歩くと、見覚えのある平坦地に出る。尾根急登コースへの分岐は・・・あった! やっとひと安心。ここからは記憶とテープを頼りに沢を下り、泉水のほとりを回って鍋山の湯に戻る。 |
幸いにも、鍋山の湯は空いていて人の気配もない。急いで服を脱ぎ捨て10年ぶりの湯船に浸かる。 湯はぬるめで(水を注ぎ足している)今の季節には少し寒いが、ここには注文をつける相手もいない。湯の中に黒い粒子(酸化鉄?)が漂い湯全体が黒ずんで見える。カラス湯の別名はここからだろうか。あまり長湯はできない雰囲気なので、登山の汗をざっと流してすぐに服を着直した。 車止めの前では、今着いたばかりの車から人が降りてくるところ。ちょうどいい入浴のタイミングだった。 |