野道山と三ツヶ峰をつなぐ約3kmの稜線は、一部マニアが道なき道を求めて踏み込むだけのヤブ地帯だったが、2004(平成16)年12月に徳地町によって刈り払われ、歩きやすく展望のよい縦走コースとなった。 今回は三ツヶ峰〜高岳山も加えた3座縦走とし、下山口の高岳山登山口に車を1台置き、もう1台で野道山登山口に移動。昨年の台風で流れ出た土砂、倒木が一部にまだ残る林道をしばらく歩いたのち細い登山道に入り、テープと踏み跡を頼りに山頂へ。 |
植林帯に入ると倒木がさらにひどく、くぐったりまたいだりヤブに入って迂回したりと悪戦苦闘の末、山頂へ続くほぼ直登の尾根にとりつく。 前回(2002.10)苦しめられた山頂付近のササは以前ほどの勢いはなく、掻き分けて道を探すこともなく普通に歩いてゆくことができた。途中に三ツヶ峰への縦走路の分岐があったが、まずは山頂へ。 |
野道山山頂からの眺め。空気が霞んでおりあまり遠望がきかない。十種ヶ峰もぼんやりとしか見えなかった。 |
野道山山頂から少し引き返すと、広く切り開かれた新道の先にいくつものピークを連ねて稜線が延びており、彼方に高岳山の特徴的なピークが見える。 縦走路は、ササの切り株が足の裏で落ち着かないが道幅が広く日差しが明るい。右手に莇ヶ岳、弟見山が稜線を広げ、どっしりとそびえている。 途中の木には、ヤブ山時代にここを訪れた猛者が取りつけた表示板がいくつか残っていた。当時の縦走("路"はなかった)の所要時間は「4時間」! | |
途中には意外に大きなブナも生えている。芽吹きにはまだ早く、新緑の時期にまた訪れてみたい静かな並木道。 足下にはイワカガミがたくさんの葉を広げ、開花を待っている。 縦走路はいったん鞍部に下った後、展望のない植林帯に入り、三ツヶ峰へ向けてぐんぐん上りはじめる。 |
縦走路上からの眺め その1 |
縦走路上からの眺め その2 |
暗い杉林の中をしばらく上ると、目の前の木に「佐波川源流コース」の標識が。 直進ですぐに山頂だが、ちょっと佐波川源流の碑に寄り道してみた。この分岐点から右手の道を少し下り1〜2分程度。 すぐに分岐まで引き返し、ササに覆われた上り坂をこちらも1〜2分でまぶしい日差しの降り注ぐ三ツヶ峰山頂へ到着。 |
三ツヶ峰山頂からの眺め。空気が澄んできたのか十種ヶ峰もはっきり見えるようになった。 |
三ツヶ峰から桐ヶ峠を経て高岳山へ。 桐ヶ峠までの縦走路は、野道山の「刈りたて」の道と比べるとやや道が不鮮明で周囲の森も深くうっそうとしているが、場所によってササが刈り払われた形跡もある。 前回(2002.04)歩いたときは道端にイカリソウがたくさん咲いていたが、まだ時期が早いのか今回はひとつも見かけなかった。昨年の台風で倒れた木がいくつか道を塞いでいる。 |
阿東町と柿木村の境界、桐ヶ峠に到着。 ここから高岳山山頂までは道がはっきりしており歩きやすいが、意外に急坂できつい一本道。 左手にずっと十種ヶ峰を見ながら歩くというイメージがあったが、実際は上りに差しかかるとすぐに自然林に入って見通しが悪くなり、ブナとその足下のイワカガミ(葉のみ)を見ながらゆっくり上ることに。 傾斜が緩やかになるとすぐに三等三角点の山頂。ブナに囲まれ見晴らしはないが、ここから数十m先に見晴らしの良い展望地がある。 |
展望地からの眺め。細い線にしか見えないSLが、十種ヶ峰のふもとを津和野に向かってゆっくり走っていった。 |
(左)三角点そばのブナの幹に残る爪痕は、少なくとも4年以上前につけられたもの。 この爪の主は今も山の中で健在だろうか。周囲のブナの木に新しい爪痕は見つからなかった。 桐ヶ峠から徳佐方面に下山後、願成就温泉で汗を流し朝のスタート地点へ。野道山登山口前には、朝にはなかった登山者の車が2〜3台停まっていた。縦走路を歩きに来た人たちだろうか。面白いルートなので多くの人に踏み跡をつけてもらい、より歩きやすくなることを願っている。 |