山名/標高 小文字(こもんじ)山/366m
妙見(みょうけん)山/519m
足立(あだち)山/598m
戸ノ上(とのうえ)山/518m

下関・竜王山からの眺め。(2004.10)
登山日・天候 2006年3月5日(日)・晴のち曇
行程 小倉駅(08:15)〜上富野五丁目交差点(08:55)〜足立公園展望広場(09:10)〜小文字山登山口(09:20)〜小文字山(09:50)〜妙見神社上宮(10:25)〜足立山(10:40)〜畑貯水池分岐(11:50)〜戸ノ上山・戸上神社(12:20-12:25)〜寺内五丁目〜都市高速大里ランプ前(13:05)〜門司駅(13:25)

門司から望む戸ノ上山
足立山は北九州市門司区・小倉北区・小倉南区の境界に横たわる企救(きく)山地の最高峰で、響灘、周防灘双方からの風の影響で霧がかかることが多かったことから「霧ヶ岳」の別名も持つ。足立山の山名は、神護景雲三(769)年、弓削道鏡との政争に敗れ、足の筋を切られて九州に流された和気清麻呂がこの山の麓で療養し足が立つようになったとの伝説に由来するもの。
小倉北区側には山麓の自然を活かした足立森林公園が整備され、道路沿いに植えられた桜並木の開花時期には見物客で賑わう。登山道もよく整備され利用者が多いが、山頂まで急坂が連続し見かけの標高以上にしごかれる道なので、ペース配分に注意したい。
戸ノ上山は足立山の北東、門司市街地の背後にそびえる山で、足立山からは稜線に沿って約6kmの縦走路が開かれている。今回下山に使った門司区寺内からの登山口は住宅地の合間から入っていく道で、入口に標識もなく判然としない。初めて縦走する場合は足立山から上る方が無難。
山頂からは関門海峡の眺めが良いが、足立山方面に縦走路を数百m下ると、さらに見晴らしの良い草地の広場(大台ヶ原)がある。門司からの往復登山の場合でも、時間に余裕があればここまで足を延ばすことをおすすめする。

九州道のすぐ脇にそびえ、福智山や尺岳、下関の竜王山からもよく目につく足立山に一度登ってみたいと思っていたが、道路や駐車場の状況がよく分からないし、また登るならついでに戸ノ上山もと考え、電車利用による縦走を計画した。
小倉にはしばらく来ていなかったが、モノレールが延びて小倉駅まで乗り入れ、駅舎自体も立派なビルに建て変わり、駅前の風景が一変していたことにびっくり。南口から出てまずは富野方面へ。
都市高速ランプ前「上富野五丁目」交差点を右折。このあたりから足立山山麓にかかり、次第に上り勾配となる。
富野中学校前を過ぎ陸上自衛隊分屯地入口を右折すると傾斜はさらにきつくなるが、100mほど進むと足立公園の敷地に入り、緩やかな下りに転じる。車道の脇には広い遊歩道がつけられており、ウォーキングをしている人も多い。
「小文字山登山口」と書かれた登山道入口に到着。十数台分の駐車スペースがあるがすでに満車に近かった。案内図によると小文字山まで30分、足立山までは1時間30分とのこと。
登山道は最初から情け容赦ない直登。横木が渡された階段状の道なのですぐに息が上がり、ここまでの肌寒さが嘘のように汗が噴き出てくる。周囲は常緑樹の木々に囲まれ、展望はほとんどきかない。
途中、短い鎖場が2カ所あった。迂回路もあるので初心者の練習用といったところか。
樹林帯をくぐり抜けると空と海の青が目に飛び込んできた。小文字山の頂上は木のないカヤトの原。
展望は南南西から北東まで180度以上に大きく開け、福智山、皿倉山から関門海峡を隔てて竜王山まで一望できた。結局、今回の縦走で最も眺めの良かったのはこの小文字山だったように思う。
少し休んで、南側の展望を遮る急坂の向こうにある妙見山、足立山へ。

小文字山からの眺め その1(南南西〜北西)

小文字山からの眺め その2(北西〜北東)
急坂を上ると、行く手に足立山が全容を表す。その右隣に鋭く尖っているのが妙見山だろうか。
進路の左手は木がきれいに刈り取られ見晴らしがいい。自衛隊の演習用地のようで、道端の所々に立入禁止の看板が掲げられていた。
妙見神社手前は岩が積み重なった急坂。上りきると樹林に囲まれた平坦地となり、標識に従い登山道から右の横道に入るとすぐ上宮前に出る。この辺りが妙見山頂らしいが、標識は見あたらなかった。
拝殿の両脇を固める狛犬は独特の姿と表情。
神社から足立山山頂まではすぐだと思っていたが、ここからの上りが今回一番きつく感じられた。といってもたいした距離はなく、少しの辛抱で一等三角点の山頂に到着。

足立山山頂からの眺め。小文字山以上の大展望を期待していたが、頂上は意外に狭く、見える範囲も限られていた。
足立山から戸ノ上山までは約6km。縦走する人は少なく、足立山山頂までの賑わいがうそのように静まりかえり、かえって寂しさが強まる。ときどき風に乗って耳に入ってくる街のノイズに妙な安心感を覚えた。たとえその音が救急車のサイレンであっても。
森の中にはカラスが群れている場所があり、頭の上で羽音や鳴き声が行き交う。首を縮め、びくびくしながら通り過ぎた。
縦走路はしばらくの間緩やかに下り続けていたが、畑貯水池との分岐を過ぎると上りに変わる。少し歩くと樹林を抜け出て見晴らしの良い広い草原に出た。
ここは「大台ヶ原」と呼ばれているようで、ベンチと方位板が設置されており、一息入れながら響灘・関門海峡と周防灘の両方を眺めることができる。周防灘の洋上には、まもなく開港する新北九州空港が浮かんでいた。

大台ヶ原 全景。
大台ヶ原から最後の急坂を上り、戸ノ上山頂に到着。展望は大台ヶ原に比べると狭く物足りない。山頂の奥には戸上神社と、ブロック積みの小さな山小屋がある。
登山道は神社前を通りそのまま一気に下りはじめ途中で2手に分岐するが、今回は直進し寺内(じない)5丁目方面に向かう。
道はやがてコンクリートの階段に変わり、家に挟まれた狭い路地をくぐり抜け大通り(県道71号線大里ランプ前)に出た。
(左)登山道出口手前にある小さな滝の前にはひしゃくが置かれていたが「水のむな!」の注意書き。

寺内5丁目の登山道入り口には何の標識も見あたらない。あまり利用されていないルートなのか。高速ランプから少し下るとこちらにも「戸上神社」があった。鳥居のすぐ上に高架道路が覆い被さり、何とも窮屈な印象。
20分ほどで門司駅に到着。駅前で昼食の後、電車で山口に帰った。