山名/標高 霧島(きりしま)山
 高千穂峰(たかちほのみね)/1574m
 中岳(なかだけ)/1332m
 新燃(しんもえ)岳/1421m
 獅子戸(ししこ)岳/1429m
 韓国(からくに)岳/1700m
登山日・天候 2006年7月15日(土)・晴のち曇
行程 (えびの高原〜霧島東神社まではタクシー利用 約50分)
霧島東神社(09:45)〜二子石(11:30)〜高千穂峰山頂(12:20-12:40)〜高千穂河原(13:35-13:50)〜中岳(14:40)〜新燃岳(15:05)〜獅子戸岳(15:35)〜韓国岳(16:45)〜えびの高原駐車場(17:45)

池めぐりコースの足慣らしが終わり、今度はビジターセンター前にちょうど停まっていたタクシーに乗って高原町の霧島東神社へ移動。かなりの距離があったが、運転手さんに数kmぶんサービスしてもらい、料金はちょうど7000円にしてもらった。
霧島東神社は、霧島神宮、東(つま)霧島神社などとともに性空上人により整備された「霧島六社権現」のひとつ(明治6年に霧島岑神社と夷守神社が合併したため現在は五社)。文暦元(1235)年の噴火で焼失した高千穂峰山上の社殿を文明十六(1484)年に再建する際、山の麓に下ろし東西2社に分けて建てられたうちの東側にあたる(西の社が現在の霧島神宮)。
地図上で一見すると御池のほとりに建っているようだが、実際はかなりの標高差があり、境内入口から御池を見下ろすような位置になる。
高千穂峰への登山道(九州自然歩道)は拝殿の左側に立つ標識が0.0kmの起点となっている。あまり人が歩かないのか、自然歩道の割りには道が明瞭でなく、テープや踏み跡を辿らなければならない場所もある。
そのうえ入口の登山届&雑記帳には気になる記述が・・・・・

「ヒルが多かった」
落ち葉の降り積もった薄暗い自然林の上りを黙々と歩いていると、後ろから悲鳴が・・・足にヒルが付いたという。
見るとナメクジのように小さいヒルが数匹、地面からはい上がってきて靴や足にまとわりついている。驚いて自分の足元を探ると、やはり付いていた!
皮膚に付いて血を吸っているヒルは、取り去ると吸われたところからしばらく血が流れ続ける。出血は少量なので身の危険はないが、気持ち悪いことこの上ない。
樹林帯はかなり距離があり急登だったが、ヒルが気になって休憩も給水もままならず、森林限界まで必死で上り続けた。今回の山行で、ここがいちばん疲れた。
上りの途中で何人かの登山者と出会ったが、ここのヒルは悪名高いらしい。「屋久島よりたちが悪い」とか。
ヒルの猛威から解放され、へとへとになってたどり着いた「二子石」。ここから先は山頂近くまで草尾根が続き、展望と風通しの良い快適な登山路となる。
二子石から振り向けば眼下に広がる平野の中にぽつんと小さくなった御池、先を見ればまだまだ高所にある高千穂峰山頂部と、その後ろに浮かぶ韓国岳や夷守(ひなもり)岳の稜線を一望できる。
山頂が近づくと道も周囲も草が少なくなり、岩と砂礫に覆われた歩きにくい急坂となる。
昨年の登山マラソン時、この辺りは暴風雨で何も見えない状態だったが、晴れて見通しが良いと山頂までの残り距離もごまかしようがなく分かってしまう。そんなに長くはないが、なるべくうつむき加減で山頂に到着した。

山頂は高千穂河原からの登山者で賑わっていた。この時点では天気は晴れていたが、風が強く流れてきた雲に青空が隠れてしまうこともしばしば。
遠望する韓国岳も山頂が雲に隠れがちで、午後からの天気の崩れを予感させた。

中休止(その1)の後、高千穂河原へむけて瓦礫の斜面を下る。

安定が悪く、足を載せた場所からずるずる滑ってゆく瓦礫の斜面にせり出した岩塊。非常に歩きにくく危険箇所だらけの高千穂河原下りルートでは、急坂を前のめりに転んで亡くなった人もいるという。
遠望する錦江湾の上にかすかに浮かぶ桜島を眺めながら慎重に下り、高千穂河原で中休止(その2)。
ここからは比較的歩きやすい(はず)えびの高原までの縦走路。しかしよく考えてみたら、五岳縦走のうちまだ1ピークしか踏んでいない。
日没までに間に合うだろうか・・・?
中岳を登っている途中から雲行きがあやしくなり、遠望する高千穂峰の山頂部も雲に隠れてしまった。
中岳山頂に着くと、行く手に広がる雲は新燃岳の頂上部をほぼ覆い隠すほどに低くたれ込め、何も見えない韓国岳方面からはゴロゴロと小さな雷鳴が聞こえてきた。
新燃岳、獅子戸岳と、前方数mしか見えない霧の中ピークを踏み、韓国岳への長い上りに差しかかった。
最初は緩やかだが、山頂に近づくにつれ急坂となってくる。
心配していた雨や雷はなく、時々薄日が差してくるようになった。展望は期待薄だが。
韓国岳山頂はガスに覆われ、周囲は何も見えなかった。他にまったく登山者もおらず貸し切り状態。
長居をする気になれず、すぐにえびの高原への下山路に入った。石がゴロゴロしている急坂は上りも辛いが、下りも滑りやすく危険。足下ばかり見ながら延々と下ってゆくと次第にガスが晴れ、えびの高原が見渡せるようになった。遠望する駐車場にも、ほとんど車はなかった。
霧島東神社を出発してからちょうど8時間で下山。ヒルにはじまり、ガスで終わった縦走だったが、下界(えびの市・京町温泉)に降りてみると雨はおろか曇った気配すらないカンカン照りで、どうやら雲に覆われたのは山の上だけだったらしい。さすが「霧島」。