山名/標高 牛斬山(うしきり)山/580m
福智(ふくち)山/901m
尺(しゃく)岳/608m
皿倉(さらくら)山/622m
登山日・天候 2007年4月21日(土)・曇
行程 採銅所駅(07:40)〜牛斬山(08:35-08:40)〜山犬の峠(09:05)〜頂吉分れ(10:10)〜福智山(10:30-10:45)〜からす落(11:00)〜豊前越(11:20)〜尺岳(12:00)〜尺岳平(12:05-12:40)〜田代分れ(13:15)〜建郷山登山口(14:30)〜市ノ瀬峠(14:45)〜皇后杉の森〜皿倉平(15:40)〜皿倉山(16:05)〜ケーブルカー〜徒歩〜JR〜採銅所駅(18:00)
北九州と筑豊をまたいで南北に延びる福智山地の北のピーク皿倉山は、権現山(617m)、帆柱山(488m)、花尾山(351m)などと合わせて帆柱自然公園として整備され、なだらかで広く見晴らしの良い頂上一帯には公園施設やTVアンテナが建ち並んでいる。また、山頂の展望がよい(特に夜景が名高い)ことから市民だけでなく大勢の観光客がケーブルカーに乗って訪れている。
およそ登山の対象には適さないような皿倉山だが、この山頂から南に延びる道は、稜線を伝って尺岳、福智山、いったん道原に下り平尾台へ・・・やがては古処山・馬見山地、宝満山、英彦山を経て大分県へと続く九州自然歩道の起点である。福智山までの縦走路は、距離が長く起伏も意外にあるので万人向けではないが、都市部に近いこともあって歩いている人は結構多いらしい。地元の山岳会などが定例で縦走を行っているとも聞く。
福智山からはさらに牛斬山、香春岳に縦走路が続いている。全てを歩きとおした場合の全長は28kmとも言われ、累積標高差は2000mを超える。道が良く整備され、危険箇所も比較的少ないので挑戦しやすいルートではあるが、実行にあたっては気力、体力、時間と充分相談の上で・・・・・
福智山地縦走ルート(採銅所〜皿倉山頂)  カシミールで作成
※距離・勾配は正確ではなく、あくまで概略です。

なお、皿倉山の山名は、神功皇后が西征(熊襲及び新羅征伐)の折り、この山に登って国々を見渡していたところ、日が暮れて夕闇が迫ってきたので「更に暮れたり」と言ったことから更暮山、または更暗山と呼ばれたことに由来するとされる。山中には樹齢数百年を数える杉の巨木群があり、神功皇后がこの山の杉を伐って軍船の帆柱にした(これが帆柱山の名の由来)との伝説にちなみ「皇后杉」と呼ばれている。
一歩山に踏み込むと意外に自然が豊かで、登山道や遊歩道も多く、ルートを組み合わせてゆったり自然散策するのも面白い。

小倉北区小文字から福智山(左)〜権現山・皿倉山(右)の稜線を遠望。(2006.03)

以前から機会をうかがっていた、牛斬山から皿倉山までの縦走に挑戦した。
皿倉山を下山後は、八幡駅からJRで起点に帰るという計画で、採銅所駅前に車を置いて出発。
この時点で、山行の所要時間は9〜10時間と予想していたが、なるべく後半に余裕を持たせたいので、前半はかなりハイペースで歩くようにした。

上りをかなり飛ばして、50分ほどで稜線に到着。牛斬山頂で小休止の後、縦走にとりかかった。
アップダウンを繰り返しながら次第に高度を上げてゆく縦走路。天気は曇りで、時折陽が差すかと思えば、強い風が吹いて雲行きが怪しくなったりと安定しない。
普通の登山には嬉しくない空模様だが、トレーニングを主目的にした今回の縦走には、こういう暑くない天気の方がありがたい。
下山するまで雨が降らなければ、だが。
 
福智山山頂は風が強く、立ち止まって休んでいると肌寒く感じた。
遠望はあまりきかなかったが、ゴール地点は確認できた。まだまだ遠い・・・

福智山から北の縦走路は九州自然歩道となる。ここまでの道も歩きやすかったが、自然歩道に入るとさらに整備がよくなり、安心して歩ける。


福智山から約1時間で尺岳に到着。山頂から、ゴールまでの距離(感)を確認して尺岳平に引き返し、昼食休憩。
昼食後は、今まで足を踏み入れたことのない皿倉山までの縦走路。
もちろんここも自然歩道でよく整備されているが、尺岳までに比べると起伏が大きく、展望はほとんどなく、距離も長く、疲れが出はじめた足にはかなり辛い後半戦となった。

(右)の案内板によれば、福智山と皿倉山の間は17.2km!!!

尺岳と皿倉山の間には「双伍山」「建郷山」などがそびえているのだが、いずれのピークも縦走路からはずれており、寄り道をしなければ山頂に立つことができない。

木の間からようやく遠くが見えるようになったと思うと、縦走路はいったん下り、車道と交差する市ノ瀬峠に出る。皿倉山までもう一息?

道端の距離表示が、設置者(環境庁・福岡県/福岡県/個人)によりまちまちなのだが、市ノ瀬峠から皿倉山の手前にある権現山までは3kmくらいのようである。
階段状の急坂を登ると道が二手に分かれており、どちらを通っても皿倉山にはたどり着けそうだったが、とりあえず権現山方面の直登コースを行くことにした。しかし、20km以上歩いてきた足にはこの上りが殊の外きつく、一歩一歩無理やり押し上げるようにして足を踏み出さなければならなかった。
きつい上りの出口は、権現山の山腹を回る遊歩道。権現山の頂上へはここからさらに登山道を上らなければいけないのだが、双伍山や建郷山同様ここもパスして、ひたすら皿倉山を目指した。
地面には桜の花びらが散らばり、見上げれば大きな山桜にまだ少し花が残っていた。
巨木が立ち並び鬱蒼とした皇后杉の森を通り抜けると、皿倉平は近い。
トイレ、自販機、舗装路を行き交う車。皿倉平の広場の向こうには、アンテナが立ち並ぶ皿倉山のピーク。やれやれやっとたどり着いた。えんえん山道を歩いてきた足には、無粋だけれど安心して歩ける舗装路が有り難かった。
車も通れるほど広く整備された登山道(山頂直下は一般車通行止)を道なりに進むと、やがて視界が大きく開けた山頂部に出る。
・・・それにしても、人工物が多い。
360度に大パノラマが広がるはずの山頂展望所は工事が行われており、一部(大部分?)が金網で閉ざされ、場所も眺めも窮屈に感じられた。
ケーブルカー(片道420円)で下山し、八幡駅まで歩いて行く途中で小雨が降りはじめた。
間に合って良かった。

皿倉山からの眺め その1。福智山が彼方に高くそびえる。思えば遠くから来たもんだ。

皿倉山からの眺め その2。埋め立てが進み運河のようになった洞海湾。スペースワールドの施設も見える。