山名/標高

金山から脊振山遠望(2006.10)
九千部(くせんぶ)山/847m
石谷(いしたに)山/754m
蛤(はまぐり)岳/863m
脊振山(せふりさん)/1055m
登山日・天候 2007年7月26日(木)・晴ときどき曇
行程 グリーンピアなかがわ(06:30)〜桜谷自然歩道〜九千部山(07:55)〜石谷山(08:55)〜七曲峠(09:45)〜坂本峠(10:15)〜蛤岳(11:45-12:00)〜脊振山(13:25-13:55)〜板屋(15:00)〜グリーンピアなかがわ(16:20)
蛤岳は脊振山の南東約4kmの位置にあり、山頂に貝が口を開けたように見える巨岩があり「蛤岩」と呼ばれている。山頂付近には、江戸時代初期に鍋島家家臣成富茂安によって開かれた蛤水道が今も残り(現在の導水路はコンクリート)、田手川を経て佐賀平野へ水を落としている。

九千部山は951(天暦五)年、綾部郷(現在の佐賀県みやき町)を襲った風水害を鎮めるため、隆信という僧がこの山にこもり、49日間で法華経一万部の読経を行おうとしたが、九千部まで読んだところで命を落としてしまった(美女に化けた白蛇に惑わされたとの言い伝えもある)という故事が山名の由来。この山も山頂にアンテナが立ち並び、麓から車道が通じている。

那珂川町の南畑ダムにある「グリーンピアなかがわ」人工芝スキー場から九千部山山頂への登山道(桜谷自然歩道)が延びているが、入口のゲートが閉ざされ車の乗り入れができないため、ゲート前の駐車スペースに車を置き、車道を歩いて上った。
あとで調べてみると、人工芝スキー場は現在閉鎖されているとのこと。営業を続けているキャンプ場の方からでも登れたのだろうか。
舗装路の標示に従い、桜谷自然歩道に入る。入口が封鎖されていてもそれなりに登山者が利用しているのか、道はあまり荒れていない。渓流を何度か渡り、樹林帯をぐんぐん上っていくと40分ほどで稜線上の九州自然歩道と合流。標識が増えさらにはっきりとした道を25分ほどで九千部山山頂に到着した。
三角点の周囲は木々に囲まれており、展望台に上ることで360度の眺めが得られる。この日は遠くが霞み、これから向かう稜線上の脊振山くらいしか視認できなかった。
展望台下の祠には3体の石仏が祀られている。中央が「九千部」の僧・隆信だろうか。
展望台を後にし、いよいよ長大な縦走路に入る。案内板によると脊振山までの距離は14.8kmとある。
案内板は峠や山頂など要所要所に立てられ、次のポイントまでの距離だけでなくコースの状態についても簡潔な説明が添えられている。七曲峠までは常緑広葉樹林で見通しは全然きかないとのこと。
七曲峠までの縦走路の途中に、石谷山への分岐がある。片道0.6kmとのことで寄り道してみた。
縦走路よりも少し下った場所にある山頂はやはり樹林の中で、展望はまったくない。このあたりには野猿も生息しているそうである。

(右)のような記号の刻まれた岩が縦走路の所々に置かれていた。修験の道の名残だろうか。

分岐まで戻り、縦走路をさらに2.6kmで七曲峠の車道に出る。広い道を少し下ると自然歩道の標識があり、再び登山道に入る。案内板ではこの先も樹林に覆われているとのことだったが、次の車道合流点の手前では伐採が進み見晴らしが良くなっていた。
舗装路に出て、坂本峠までは2t車以上通行禁止の狭い国道385号線(旧道)を行く。
坂本峠から再び樹林に囲まれた登山道へ。アップダウンしながら次第に高度を上げてゆく道は相変わらず展望もなく、どこまで行っても似たような景色が続く。
未舗装の林道を横切ると木々の間から水音が聞こえだし、やがて蛤水道の水路が道の脇に現れる。冷たい水が勢いよく流れ、蒸し暑かった空気がスッと清涼になった。
山頂までそのまま水が流れてくれれば嬉しいのだが、登山道はまたすぐ水路から離れ、山頂へ向けて傾斜を強めていく。
ようやくたどり着いた蛤岳山頂。
奇岩「蛤岩」は展望台も兼ねており、大きすぎてカメラのフレームには収まらない。岩の上からは九千部山や、霞んでぼんやりした佐賀平野が望まれた。
山頂説明板の隣や、縦走路の途中にも口を薄く開けたミニ蛤岩があった。この辺りの岩の性質によるのだろうか。
蛤岳から脊振山までは残り4.1km。かなり足が疲れてきて、何でもいいから早くピークを踏んで下りたいという気分になってきた。
脊振山主稜線上にはレーダーなどの施設が建ち並んでいるため、縦走路は山頂に近づくほど尾根を外れ、相も変わらず樹林帯の中をアップダウンするルートを歩かされる。
途中に木道や階段、ロープなどが設けられていたので、今までとは多少違った景色にはなっていたが・・・
周囲の木々にブナやナラの大木が目立ちはじめた。いい感じの森だが、道路が近くにあるようで、時折車の通過する音が聞こえてくる。
残り0.5kmの標柱を過ぎても相変わらず樹林帯の中で、本当に山頂に出られるのだろうかと少し心配になってきた頃、ようやく登山道が上を向きはじめた。
・・・コンクリ製の階段だ!
・・・その先には広い駐車場。
山頂へは、防衛"省"施設を取り囲むフェンスに沿うようにつけられた階段を上っていくことになる。
「脊振千坊」の開祖、役行者の石像も施設内にあり、フェンス越しに参拝する始末。たいして長くはない階段だが、歩いている間にも登る意欲がどんどん失せていった。
山頂も想像どおり味気ない場所だった。日差しが強烈なうえに空気が霞んで遠望はきかず、写真を撮って早々に引き上げた。
(左)山頂から来た道を振り返る。
レーダーや鉄塔が建ち並ぶ稜線の向こうに大きく横たわるのが九千部山。長い道のりだったが、後味がどうにも悪い。脊振山頂で良かったことといえば、駐車場に自販機が置かれていたことと、その値段が下界と同じだったことくらいである。
下山には、通称"自衛隊道路"を利用。ほかに適当な道がないから「しょうがない」。麓の板屋地区まで約4km、そこから県道、国道をたどり出発地点までさらに約7kmの車道歩き。とにかく長く、暑かった。

自衛隊道路から金山方面の稜線を遠望。