山名/標高 田原(たはら)山/542m
登山日・天候 2008年4月29日(火)・晴
メンバー 斉藤(宗)・斉藤(滋)・加藤・和崎
宇部・小野田勤労者山岳会「やまびこ」福永氏ほか6名
行程 鋸山トンネル登山口(09:35)〜南尾根〜大観峰(10:35)〜八方岳(10:55)〜股覗き岩〜囲観音分岐〜無名岩(12:40)〜熊野権現社(13:15)〜熊野磨崖仏〜駐車場(13:40)
(休憩・昼食時間含む。案内板記載の登山所要時間は3時間)
杵築市(旧山香町)と豊後高田市の境界にそびえる田原山は、遠望すると切り立った岩尾根が横一列に連なっている様子がノコギリのように見えることから「鋸山」と通称されている。
地元の「鋸山の自然を守る会」により登山道が整備され、現在は鋸山トンネル駐車場を起点に奇岩怪石を巡りながら周回できるようになった。山の西麓にある重要文化財「熊野磨崖仏」方面に下ることもできるが、こちらを通過する場合は拝観料(大人200円)が必要となる。
登山道自体は整備が行き届いているが、岩稜を伝う危険箇所の多いルートであり、初心者の単独行は避けた方が無難。雨天時・積雪時も非常に危険である。岩場以外でも急斜面や、樹木に隠された断崖など危険箇所は数多く存在し、慎重な行動が求められる。
なお、磨崖仏側から上ろうとすると、熊野権現社を過ぎてすぐの道端に「行き止まり」の看板が立てられている。登山者以外の安易な入山を規制するためと思われるが、離合困難な場所が多いこともあり、逆向きの縦走も避けるべきであろう。

田原山=鋸山の登山道はいくつか開かれており、鋸山トンネル前を起点に周回できるコースもあるが、今回はトンネル前を出発し熊野磨崖仏に下るコースを歩くことにした。
登山口には広い駐車場が整備され、案内図やトイレもある。
登山道は樹林帯を抜け、垂直に切り立つ巨岩の手前で右手の急坂にとりつき、南尾根に出る。
南尾根に出ると、鹿嵐山の「地蔵峠の景」を思わせる奇岩怪石と樹林の織りなす絶景が広がるが、まだまだこれは序の口。ここから好展望とスリルに満ちた岩稜歩きがはじまる。
よく見ると、遠くの岩の上にも踏み跡や標識のようなものが見えるのだが、どこを歩いていくのか想像がつかない。1/25000地形図でも範囲が狭すぎてルートが判別できなかった。
南尾根から踏み跡と標識を辿って大観峰へ。登山道が狭く、切り立って危険な箇所があるため、周回コースは進行方向が指定されている。
大観峰への上りは鎖のつけられた岩場で、八方岳へ向かう途中にも鎖のかけられた岩場の下りがある。足場はしっかりしているので、落ち着いて確実に上り下りすればそれほど危険ではない。・・・が、やはりちょっと怖い。

大観峰からの眺め(西〜北)。中央が山頂の「八方岳」。そこから左下方、屏風のような岩壁の上にもずっと踏み跡が・・・
八方岳はその名のとおり八方に視界の広がる好展望地だが、集団が休憩できるほどの広さがないためそのまま通過。三角点の有無も確認できなかった。
登山道はなおもアップダウンを繰り返す。岩場には足をかける金具や鎖が打ち込まれ心強いが、中にはかなり以前に設置されたと思われる切れかけたザイルもある。頼りきって全体重をかけないように。
途中にある「股覗き岩」から向かいの山腹に突き出た「太陽石」(左)を股越しに覗くと・・・

登山道は「囲観音堂」の分岐を過ぎ、両サイドが切れ落ちた岩稜をアップダウン。足下が狭く、下りきるまで気が抜けない。

昼食後、本コース中最後の展望地「無名岩」へ。岩の上は広く、全員が上っても充分な広さがあった。
無名岩からは樹林帯に入り、熊野磨崖仏へ向けて徐々に下って行く。登山道の脇には、熊野磨崖仏を登山で通過する場合でも拝観料が必要な旨書かれた看板が立てられている。1人200円は磨崖仏の価値からすれば少額だが、持ち合わせがない場合は手前で駐車場に下山できるエスケープ(?)ルートもある。
樹林帯を下り、熊野権現社に到着。
神社の上に道、それも登山道が続いているとは夢にも思わない観光客が、リュックを背負った一行を不思議そうに眺める。
磨崖仏を拝観するのは十数年ぶりだが、参道は以前よりきれいに整備され歩きやすくなったように思う。以前はそれこそ登山道のようだったと記憶している。
熊野磨崖仏(国指定史跡・重要文化財)
岩壁に刻まれた不動明王像(高さ約8m)と大日如来像(高さ約6.8m)は、伝説によると718(養老二)年に宇佐八幡の化身である仁聞菩薩が造ったとされており、実際の造立は平安末期と推定される。
胎蔵寺から上る途中にある石段は、その昔鬼が一夜で築いたものであると言い伝えられている。