山名/標高 |
比婆(ひば)山
烏帽子(えぼし)山/1225m 御陵(ごりょう)/1264m |
登山日・天候 | 2010年2月20日(土)・晴ときどき曇 |
行程 | 県民の森駐車場(07:20)〜出雲峠(08:05)〜烏帽子山(08:50-09:05)〜御陵(09:50)〜スキー場〜県民の森駐車場(12:15) |
中国道も深夜から未明にかけて小雪が舞い,仮眠から目覚めると車の上にうっすらと雪が積もっていた。西城町に入ると国道も凍結しており,県民の森に近づくと路面も周囲も真っ白となった。 朝7時に駐車場に到着。スキー客の車がときどき行き過ぎるだけで,登山者の姿はない。ワカン,ストックを携え,雪の上に残る足跡を辿りながら出雲峠に向かった。 この日の当初予定は,出雲峠から烏帽子山〜吾妻山往復〜御陵〜池ノ段〜(余力があれば)立烏帽子山〜県民の森というコース,所用見込時間7〜8時間だった。天気はいいし,快適な雪中山行ができると思っていたのだが・・・。 |
駐車場から45分で出雲峠に到着。朝陽を受けて純白の毛無山がまぶしく輝く。山頂は素晴らしい展望だろう。こちらもコースに加えておけば良かったと,少し悔やんだ。 烏帽子山方面には一筋の足跡が残っていたので,それを辿っていった。通常の登山道は曲がりくねっていたはずだが,雪の上に残る足跡はほぼ直登で,ときにかなりの急坂となる。雪をずっしり被った樹林帯は静寂に包まれ,自分の足音以外に何も聞こえない。 | |
山頂が近づくと傾斜が緩やかになり,木々の丈も低くなった。上空は真っ青だが気温は低く,木の枝の新芽は氷にすっぽり覆われていた。ここの春はまだまだ遠そうである。 足跡は不明瞭になったが,まっすぐ行けば山頂だろうとそのまま突き進んだ。じきに樹林帯が途切れ,振り向くと毛無山や伊良谷山が一望のもとに。普段よりも地面が高くなり見晴らしがいいので,「見たことあるけど記憶と違う」展望となっていた。 |
烏帽子山山頂手前から望む毛無山・伊良谷山・牛曳山。奥に道後山・猫山。大山までは見えなかった。 |
完全に足跡の消えた烏帽子山山頂。青空の下で新雪を踏むのは心地良いが,この先のガイドのない道行きを思うと少し不安。 |
吾妻山も雪を被り真っ白。大膳原から山頂まではまっすぐ上って行けそうな気がする。しかし・・・道がない! 簡単に見つかると思っていた吾妻山への道が分からず,烏帽子山山頂からの縦走は断念した。 たっぷりクリームの載った美味しそうなケーキを目の前にしながら,一口も食べられない哀しさよ。 |
吾妻山縦走はいったん諦めて,御陵との鞍部へ。ここからも「大膳原への近道」が分岐しているのだが・・・少し踏み込んでみて,やはり道が分からないので引き返した。 これはどうしたことか。朝が早いので登っている人は少ないとしても,足跡くらい残っていても良さそうなのに。足跡が消えてしまうくらい雪が積もったということか。 御陵方面にも足跡はない。まっすぐ歩けばいいはずだが,不安はぬぐえない。 |
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背後でバリバリと木の裂ける音がして,雪の塊とともに大きな枝が落ちてきた。天然のブナ林が,雪の重みで枝打ちをしているのだ。 静まりかえった森の中で聞こえるその音は神秘的だが,いつ何時自分の頭上に落ちてくるかも分からない。ときどき上にも視線を向けながら歩いていると,いつの間にか進路がずれて谷(=スキー場)の方に向かってしまったらしい。普段は御陵から見えた記憶のない毛無山が木々の間に顔をのぞかせていた。慌てて山側に戻り,なんとか御陵にたどり着いた。 |
静まりかえった御陵の前で山行の無事を祈願し,池ノ段方面へ向かった・・・つもりだった。雪に埋もれた門栂(右)までは,正しいコースを歩いていたのだと思う。 その後はまるで道が分からなくなってしまった。「木のない広いところが道だろう」と思って進んでいるうちに,どこかでコースから外れて谷に下ってしまう。来た道を引き返し,正しい道(推測)に戻ったつもりがまたコースアウト。この繰り返しで次第に足が疲れてきた。 |
雪の上をうろうろ歩いているうちにやっと先人の足跡が見つかり,ホッとして後をつけていくと,さっき乗り越えたはずの倒木がまた現れる。これは自分の足跡か・・・! ついに諦めて,スキー場目指して谷を下ることにした。下ると決めたら足取りは軽い。ときどき転んだり滑ったりしながら,音楽の聞こえるゲレンデの近くにたどり着いて,命拾いした。「比婆山なら足跡があるし,他にも登山者がいるから安心だろう」とたかをくくったのが敗因だった。反省。 |