山名/標高 文殊山(もんじゅさん)/616m
登山日・天候 2010年5月15日(土)・晴
行程 文殊仙寺(10:30)〜清滝観音(10:55)〜山頂(11:15-11:20)〜紫竹観音(11:40)〜風神岩〜文殊仙寺(12:10)
文殊山は両子山のすぐ北に位置し,山麓には日本三大文殊のひとつとされる文殊仙寺がある。文殊仙寺は648(大化4)年に役行者により創建されたと伝えられ,江戸時代には杵築藩主松平公の祈願所として栄えた。「三人寄れば文殊の知恵」のとおり,合格祈願に訪れる参拝者が今も多い。
山中には樹齢約1000年のケヤキや樹齢約400年のスギなどの巨木が立ち並び,大分県の天然記念物に指定されるとともに,21世紀に残したい日本の自然100選にも選ばれている。また,野鳥や鹿も多く生息している。

風神岩からの眺め。

文殊仙寺は10年ほど前に訪れたことがあるが,当時は登山への関心が薄く,この寺の裏手から登山道が延びているとはまるで知らなかった。
石段を上り,山門の手前左側に「文殊山頂」の朽ちかけた看板があった。ひとまず本堂と,その奥の役行者像に参拝し,引き返して登山道へ。
登山道は墓地のそばを抜けて少し下り,文殊仙寺駐車場から上ってきた道と合流する。最初は林道のような広い道だが次第に狭くなり,紫竹(しちく)観音の分岐付近ではやや不明瞭なところもある。
「国東半島一周トレッキング」の標識が所々に立てられていたが,文殊山の山頂はコース外のようであった。
山頂への直登路に入る前に,清滝観音に立ち寄ってみた。主稜線を乗り越えて少し下り,植林帯を進むとまもなく石垣が積まれた小屋が見えてくる。清滝観音堂はこの小屋のすぐ上にそびえる岩壁の窪みにあった。
引き返して,稜線の直登路に取りつく。急坂のうえに踏み跡が不明瞭で,木の幹や枝に巻かれたテープが頼りとなる。とにかく上に向かって行けばやがて尾根の合流点に達し,傾斜が緩やかになった樹林帯をさらに5分程度の上りで山頂に到着する。
四等三角点の置かれた山頂は周囲をほとんど木に囲まれ,北から東にかけてわずかな展望があるのみ。
海の向こうに大きな島影(半島?)が浮かんでいたが,視界が悪く方位もはっきり確認できなかった。
落葉樹が多そうなので,冬場はもう少し展望が良くなるだろうか。
来た道を引き返し,紫竹観音に立ち寄った(左)。その先にはさらにトレッキングのコースが延びており,標識には風神岩を経て文殊仙寺に向かうとある。ガイドブックにもない未知のルートに足を踏み入れてみた。
踏み跡は細いが,テープの目印が随所にあるので迷う心配はない。コースは手作りの梯子を伝って岩尾根に上り,樹林帯を抜けて見晴らしの良い巨岩の上に出た。標示等はないが岩の上に小さな祠があり,ここが風神岩だと思われる。

風神岩からは,北から東にかけての伊予灘のパノラマが広がる。
風神岩からは「文殊仙境」を経由して文殊仙寺まで200mの距離。ところがこの文殊仙境がかなりの難所で,転げ落ちそうな急坂が連続するうえ,文殊仙寺に近づくにつれて踏み跡も荒れ放題となり気が抜けない。
ロープを頼りに崖のような斜面を下り,飛び出た場所は本堂の少し手前。行きに参拝したときは,ここに登山口があるとは夢にも思わなかった。
文珠山+風神岩トレッキングは,少し危ないがなかなか楽しめるコースである。