山名/標高 津波戸山(つわどさん/つはとさん)/529m
登山日・天候 2010年11月13日(土)・曇
行程 登山口駐車場(10:20)〜旧海蔵寺跡(10:40)〜岩尾根巡拝路(3〜40)〜水月寺奥院(11:35)〜東展望台〜山頂(11:45)〜西展望台〜弘法大師石像(12:15)〜岩尾根巡拝路(65〜88)〜登山口駐車場(13:05)

宇佐市内から国道10号線を別府・大分方面へ進み,国道と並行するJR日豊本線の「西屋敷」駅を過ぎると,道路左手に津波戸山の案内看板が現れる。左折して踏切を渡り標識に従って進むと,1km足らずで登山者用駐車場前に出る。この日10時到着の時点ですでに10台近くの車が駐まっていた。
駐車場から登山口までは舗装された林道を歩く。正面に津波戸山の稜線を望みながら緩い上りを900mほどで舗装が途切れ,そのまま登山道につながる。樹林帯に入り350mほどで八十八ヶ所巡り最初の札所となる旧海蔵寺跡。急な石段を上ると,もと境内の片隅に小さなお堂が建っていた。
登山道は旧海蔵寺跡を左手に見送り,溜池の側を抜けて山の奥へと続く。途中で右手にロープのつけられた急坂が分かれており,これが第66番〜第88番札所の岩尾根から下りてくる道。古いガイドブックでは,ここから岩場まで上って石仏を見ることができると書かれているが,現在は実質下り専用とされているのか,案内表示の類は見えなかった。
この分岐の先で,第3番〜第12番札所の岩尾根の標識が現れる。山頂への直登路から左に分かれトラバース気味に山腹を回ると,鎖がぶら下がった露岩の前に出る。ここからが津波戸山のハイライトである。
岩尾根の上りは周囲に遮るものがなく高度感満点。稜線からは今いる尾根の他にも荒々しい岩尾根が何本も下りてきており,その谷間を紅葉が彩る光景は,まるで耶馬溪の上を歩いているような感じである。
この日は黄砂で遠望がぜんぜんきかなかったが,空気が澄んでいればさらに絶景が楽しめるだろう。
途中には石の橋(無明橋)が架けられた岩場もあった。短いので1〜2歩で渡りきれそうだが,今回はパス。
石仏を見ながら上り続けた岩尾根は,山頂に直登することなく途中で行き止まりとなる。
最後のピークの右手から岩壁を伝い,足下の見えない垂直の鎖場を下る。ここは短い下りだが,岩に挟まれた狭い場所で足下が見えず,緊張を強いられる。実は,岩場には一歩ずつつま先を入れられる窪みがついているので,慣れれば簡単に下ることができる。
急な下りの鎖場はその後も続き,やっと終わったかと思うと次の岩尾根が現れ,また上りにかかる。「八十八ヶ所巡り」といういかにも中高年好みのコースゆえ,簡単な岩場だろうとたかをくくっていたが,近くの鋸山同様,標高以上の登りごたえとスリルの味わえる面白いルートである。むしろ,一般的な「八十八ヶ所巡り」を想像してやって来た中高年がケガでもしないかと心配になる。
(右)2つめの岩尾根から最初の尾根を望むと,あんなところを歩いたのかとその峻険さにあらためて身が引き締まった。
2つめの岩尾根も途中で行き止まりとなり,再び薄暗い急坂を谷に下る。踏み跡が分岐しており,山頂を示す小さな標示がガレ場の上りを指している。道の中央にロープが下りていた。
くじゅう黒岳のように急坂で滑りやすい上りの途中に水月寺奥院があり,そこからさらに稜線まで急坂が続く。稜線に出ると道は左右に分岐し,左が山頂への道,右も540mのピークに続いているが「ヤブ多し・登山道なし(25分)」とある。
稜線上の道は起伏が緩やかで,今までの岩尾根や急坂が嘘のような穏やかさである。三角点の周囲は樹林帯で眺めはないが,東西に展望の開けた場所が展望台となっている。この日はまったく眺めがないのですぐに引き返し,水月寺奥院下の分岐からさらに薄暗い谷を下った。
下りの途中,「夫婦岩」の狭い隙間をくぐり抜けるとその先に弘法大師の石像が立っている。全高2mほどで近づくとなかなか迫力があった。
さらに下ると,左手に最後の岩尾根巡拝路(第66番〜第88番)が分岐する。急坂を上り,右手の岩場につけられた鎖を手がかりに岩尾根の上へと向かった。
岩尾根上りも三度目となると慣れてしまい,恐怖を感じることなく周囲の眺めを楽しむ余裕ができた。
紅葉はかなり色づいていたが,ピークはもう1週間くらい先という感じ。今回は天気も眺めも今ひとつだったので,また時期を見計らって登りに来たい。