山名/標高

虎ヶ岳からの眺め。(中央奥は蓮華山)
三丘城山(みつおじょうやま)

 三丘ヶ岳/319m
 平家(へいけ)ヶ城/300m
 夫婦岩(めおといわ)山/240m
登山日・天候 2011年9月7日(水)・晴
行程 東善寺やすらぎの里(11:00)〜広末橋(11:25)〜玖珂18ガード(11:40)〜尾根51/52分岐(12:10)〜夫婦岩山(12:20)〜平家ヶ城(12:50)〜三丘ヶ岳(13:00)〜玖珂17ガード(13:50)〜東善寺やすらぎの里(14:25)

竜ヶ岳からの眺め。(右奥は烏帽子岳)
三丘温泉で知られる周南市(旧熊毛町)小松原地区の北西にピークを連ねる山々には,その昔山城があったと言い伝えられており(誰の居城かは不明),「三丘の城山」として親しまれている。
最高地点となる三丘ヶ岳山頂部には石垣などの遺構が見られ,その西隣にある平家ヶ城にも出丸が築かれていたと考えられるが,ここには山名のとおり平家一門に関する言い伝えも残されている。
別名を清尾山ともいう夫婦岩山は,山頂部にその名の由来となった二つの巨岩が並び立ち,麓からもよく見える。西麓にある高水神社の奥院として信仰をあつめていた時期もあったという。
登山道はいくつか開かれているが,尾根伝いに立てられた高圧線鉄塔の巡視路以外の道は若干荒れ気味。山麓には旧山陽道や,島田川右岸に江戸時代に作られた新道「淡海道」にまつわる史跡や遺構が残り,山歩きに歴史探訪を交えた周回コースも味わい深い。

三丘城山へ上る道は「正面コース」「広末コース」などいくつかあるが,どれも登山口までの経路がはっきりしないので,三丘温泉の「東善寺やすらぎの里」駐車場から歩いて行くことにした。地図で見ると,登山口とおぼしき場所まで片道2kmくらいである。
三丘温泉から県道144号線を高森方面へ進むと,左手前方に城山がゆったりと稜線を広げ横たわる。人家がまばらになり,左手を流れる島田川が近づいてくるとまもなく左に舗装路が分かれ,その先に橋がかかっている。「広末橋」の名前を確認して渡り,その先で山陽道高架[玖珂19]をくぐるとすぐに右折,高速道路の側道を岩国方面へ進むと次の[玖珂18]ガード手前の広場に出る。ここが「広末コース」入口となる。
登山口付近には車5〜6台分の駐車スペースがあるが,手前にコーンが並べられ入れなくなっていた。この付近に駐車する場合,今回下山に利用した「正面コース」の出入口([玖珂17]ガード)付近にも駐車スペースがあるので,空いている方を利用したい。[玖珂18]と[玖珂17]の間は歩いて10分程度である。
広末コースの入口には特に標識もなく,行く先の森はうっそうと暗いので不安になるが,もともと送電鉄塔の巡視路なので踏み跡ははっきりしており歩きやすい。急な上りにはプラスチックの階段までつけられており,やや面白味に欠けるが・・・苦もなく尾根上の鉄塔分岐点に出る。
分岐点には中国電力の標柱が立ち,鉄塔のナンバー[50]と[51]に道が分かれているが,ここは左の[51]方面に進む。この尾根は主稜線から分かれた支尾根であり,尾根上にもその旨注意書きがあるので,進む方角を勘違いしないように。右手(東側)に視界が開けた尾根上からは,三丘ヶ岳や竜ヶ岳が望まれる。
登山道は支尾根からいったん谷に下り,上り返して主尾根に取りつく。再び鉄塔分岐の標柱が現れ,左(西)が[51],右(東)が[52]となる。三丘ヶ岳・平家ヶ城は[52]方面だが,[51]方面へ片道10分程度で行ける夫婦岩山にも足を伸ばすことをおすすめする。
[51]方面に少し進むと視界が開け,件の51番鉄塔の足下に出る。さっき登った烏帽子岳が指呼の間。
再び樹林帯に入り,踏み跡に沿って歩いてゆくとやがて向き合った顔のような巨岩の前に出る。手前の説明板によるといずれも花崗岩で,ひとつは高さ7.9m,周囲16.1m。もうひとつは高さ8.5m,周囲19.7m。岩と岩の間は1.4m。別名を「影向石」ともいう。麓からもよく見えるだけあって,岩からの展望も良い。
夫婦岩から来た道を引き返し,今度は[52]鉄塔方面の道に入る。51番鉄塔から夫婦岩までの道は荒れ気味だったが,こちらは広くはっきりした歩きやすい道となっている。木漏れ日の中を進むと程なく「平家岳/夫婦岩」と書かれた小さな方位板と,赤・黄のテープが木の幹に巻かれた分岐路にたどり着く。
ここが城山分岐となるが,注意していなければ見落としてしまいそうな地味な目印で,城山=三丘ヶ岳への分岐路も「ホントにこれ?」と言いたくなるような細い踏み跡であった。とりあえず,先に平家ヶ城まで往復することにした。なお,「平家岳」は言うまでもなく書き間違い。

城山分岐から「平家岳」方面に少し進むと短い急坂となり,上りきったところが平家ヶ城。南に展望が開け,三丘ヶ岳が眼前にそびえ立つ。
平家ヶ城から引き返し,三丘ヶ岳への細い踏み跡へ。人の手が加えられたような,細く盛り上がった尾根を伝い,ロープのつけられた急坂を上ると,三等三角点(318.8m)の山頂に到着。周囲は木々に囲まれており,東側がわずかに開けて竜ヶ岳などが見渡せる程度。
山頂から南尾根伝いに進むと,展望の良い岩場に出て,竜ヶ岳から三丘を経て烏帽子岳まで,約240度の大パノラマが広がる。
下山路の「正面コース」は,南尾根の展望地から少し山頂側に戻り,テープの目印から踏み跡を伝って谷を下る。
この登山道は,入口に唯一標識の立っているコースで,かつては城山に上るメインルートだったと思われるが,やや荒廃が進んでいるようで心配である。