登山道は取りつきがやや荒れ気味で薄暗く,先行きが心配になったが,尾根に出ると明るくなり,標識類も増えて歩きやすくなった。 路傍の石仏に「中山仙境第○番札所」の表示があるが,番号の消えたものもあり全部でいくつあるかは分からなかった。 霊仙寺は718(養老2)年に仁聞菩薩によって開かれたといわれ,最盛期には十二坊を有し,六郷満山の中でも屈指の大寺だった。明治の神仏分離令で切り離される以前の霊仙寺は,講堂が隣接する六所神社拝殿の位置にあり,隣の実相院を支院とする神仏習合の形式をとっていたという。 境内には九州随一の巨大な地蔵尊が鎮座し「願かけ地蔵」として地域の信仰をあつめている。 |
上に立つと,左側は目のくらみそうな断崖絶壁だが,右側にはしっかりした道がついているので,想像していたほどの恐怖感はなかった。 |
中山仙境の核心部は無明橋からはじまると言って良く,ここから先は鎖の付けられた岩稜のアップダウンが連続し,気が抜けない。 (右)鞍部に大きく下ると,樹林帯の中にも小さな無明橋があった。 |
山頂はあまり広くないが360度に視界が開ける。東に連なる岩山の上には先ほど登った千燈岳のピークが顔をのぞかせていた。 北に遠望する周防灘の向こうには本州の長い島影。海辺に見える白い点は,阿知須きららドームか。 視線を下げると,谷底から生えてきたような奇岩が屹立する風景に息をのむ。断崖のあちこちに色を添える紅葉が美しく,こちらも絶景である。 |