早朝,まだ薄暗い高住神社から北岳へ続く急坂を上り,朝日が差し込む尾根に出る。 放射冷却で今期いちばんの冷え込みとなった朝,オレンジ色がかった光が体感以上に暖かく感じられた。 | ||
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材木岩を過ぎ,裏英彦山へと進む予定でいたが,あまり紅葉が期待できそうにないので,通常ルート(短い方)を奉弊殿に向かった。 | ||
途中,四王司滝と梵字岩は素通りしたが,今まで立ち寄ったことのない「虚空蔵」と示された場所に足を伸ばしてみた。 分岐標識には「100m」とあったが,その2〜3倍くらいの長い上り道の終点が広場となっており,屹立する巨岩の下には多くの石仏が祀られている。説明がないので,この場所一帯が「虚空蔵」なのか,石仏のうちの一体が虚空蔵菩薩なのかよく分からない。 | ||
奉弊殿から高住神社まで九州自然歩道を歩いて戻り,そのまま次の目的地,鷹ノ巣山へ向かった。 | ||
鷹ノ巣山への登山道は,裏英彦山ルートと同じく薬師林道の中にある。林道手前に3〜4台分の駐車スペースがあるが,平日にもかかわらず満車。近年この山の人気が高まってきたので,この駐車場はあてにせず,豊前坊から歩いた方が無難かもしれない。所要時間は5〜10分程度。 入口にゲートが下ろされた林道を少し進むと,左手の樹林帯の前に小さな登山口標示が現れるので,ここから細い踏み跡を一の岳へ向かう。 登山道は入口から三の岳まで全体を通して不明瞭なので,枝や幹に巻かれた目印のテープが頼りとなる。 | ||
一の岳山頂までは(その後の道に比べると)岩場が少なく,恐怖感を感じることなくぐんぐん上っていけるが,急傾斜ゆえ小さな石を蹴るとすごい勢いで仲間を増やしながら転げ落ちていく。後続の登山者がいる場合は十分に気をつけたい。 | ||
前後に斜面が迫り,まさに「鞍部」といった感じの場所に降り立ち,すぐに二の岳への上りがはじまる。 | ||
期待はずれだった英彦山に比べ,こちらの紅葉は色づきが良く,狭く険しく心細い登山道を華やかにしてくれる。 裏英彦山同様,伐採を逃れたブナの巨木が多く,森だけを見ていると中国山地のようでもあった。 | ||
小さい表示板が木にくくられただけの二の岳山頂(・・・と思われる)を過ぎ,岩場を下って森を抜けた先に忽然と現れる三の岳。 平均台のような細い岩壁が三の岳に向かって延びており,これを伝い,さらにその先の岩峰に取り付かねばならないのか・・・と引き返したい気分になったが,よく見ると登山道は岩壁の右側を下り,再び森の中へ続いておりホッとした。少し進むと,一の岳手前で分岐した「巻き道」の合流点に出会う。 | ||
三の岳山頂手前,最後の岩場の真下に到着。 岩に打ち込まれたアンカーにザイルが渡され,それなりに安心感はあるが,見た目ほぼ垂直で足の置き場も限られている岩場は恐怖感満点。上ったはいいが,下りが相当怖いんじゃないか・・・ 逡巡したが結局登頂したい気持ちが勝って,ゆっくり上っていくことにした。 | ||
恐怖の岩場を過ぎ,樹林帯を少し進むと見晴らしの良い展望台風の場所に出る。数人が景色を見ながら休憩中。ここが山頂だろうと荷を下ろしかけたら,「山頂はもう少し先ですよ」の声。よく見ると展望台の先に赤テープがあり,踏み跡をたどるとまもなく標識の立つ山頂に到着。残念ながら展望はない。 展望台に戻り眺めを楽しんだ後,再度「恐怖の岩場」へ。しかし,慣れてしまったのか上りほどの恐怖感はなく,意外にすんなりと下りることができた。 | ||
山頂展望台から,西に英彦山と鷹ノ巣山の三ピークが並ぶ。
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帰路は三の岳・二の岳鞍部から標識に従い「巻き道」に下る。木に巻かれたテープを辿り山腹をトラバースして,30分足らずで一の岳手前の分岐標識までたどり着いた。あとは来た道を下り薬師林道へ。 英彦山縦走との2本立ては,時間はともかく体力的にかなり厳しいので,今後鷹ノ巣山に登る場合は行程に工夫が必要である。 |