豊後大野市(旧緒方町)の尾平鉱山跡から祖母山頂へ出発。 この鉱山は銀、錫、亜鉛などを産出していたが現在は操業停止。しかし鉱毒処理の作業は今でも行われているという。 (左)画像中左手の茶色い斜面は、鉱山から排出されたスラグ(鉱滓)。 川上渓谷に入るとすぐ(右)の黄色い吊り橋が現れる。宮原コースを行く場合はこの橋を渡ることになるが、今回はそのまま直進し黒金山尾根へ向かった。 |
渓流に沿って渓谷を奥へ奥へと進み、標識に従い黒金山尾根に取りつく。 ここから稜線(祖母・傾縦走路)に出るまで延々と急登が続く。標高差は900mくらい? 神域だったからか、伐採されることなく相当の年輪を重ねた巨木が登山道の脇に堂々と立ち並ぶ。深い森の奥からは野鳥の声に混じって鹿の鳴き声もかすかに聞こえてくる。 渓谷からの取りつき直後の道は荒れ気味だったが、上るにつれて踏み跡がしっかりして歩きやすくなってきた。 |
急坂を1時間30分くらい上り続けて、ようやく天狗岩の下部にたどり着いた。 (左)は「天狗の水場」と呼ばれる場所。ホースの先から水がちょろちょろと流れ出ているが、あまり勢いがないのでホースを少しもち上げると流れが止まってしまう。 (右)は「天狗の岩屋」と呼ばれる巨岩。せり出した岩の下で10人くらいは野営が可能。誰の仕業か岩のひさしに(宿)とペンキで書かれていた。 | |
天狗の岩屋から、石がゴロゴロした急坂を10分足らずで縦走路との合流点「天狗の分かれ」に出る。見慣れた案内標識の側でミヤマキリシマがたくさんの花を咲かせ、ここまでの疲れを一気に癒してくれる。 縦走路から、まずは祖母山の逆方向に向かい、障子岳・古祖母山方面へ歩いてみることにした。時間があれば親父山まで・・・ |
(左)天狗岩の突端には相変わらずロープも手すりも何もなく、行ってみる気にはなれなかった。 早朝の阿蘇・竹田の空は快晴だったが、山上の天気は曇り気味で、祖母の頂上部には薄いガスがたなびいている(右)。晴れ間が次第に広がってきており雨の心配はなさそうだが、遠望もまた期待できそうにない。 |
障子岳の手前にある1634mの広いピークには「ミヤマ公園」の標識が掲げられていた。その名のとおりミヤマキリシマの群落があり、九重ほどではないが周囲を紅く彩っていた。 展望も非常に良く、すっきり快晴の日にまた訪れてみたい場所だった。 |
ミヤマ公園からの眺め。 |
ミヤマキリシマが満開の障子岳。山頂には「熊ノ杜」と刻まれた石が置かれていた。 この先にある親父山の「親父」とはクマのこと。このあたりもかつてはクマの森だったのだろうか。 その真相を確かめる?時間は残念ながらなくなってしまい、ここで縦走路を折り返して祖母山頂を目指すことにした。 |
天狗の別れから祖母山頂への道は、急な下りが一度ある以外はほぼ上りどおし。黒金山尾根ほどの急坂はないが、すでにかなり足が疲れているので思うように前に進めない。 それでも、森の切れ間から祖母山頂が顔をのぞかせるごとに大きくなるのを見て、ピークが近づいているのを実感。 そして、あの恐怖の岩場が近づいていることも・・・・・ |
「標高1700m」の標識を過ぎ、いよいよ本コース最大の泣き所、ぐらつくハシゴや頼りなさそうなロープ、さらにはロープもなくへばりつくようにして上らなければならない一枚岩と、スリリングこの上ない山頂直下の岩場にやって来た。ここは過去に下りで1回、往復で1回通過しているが、何度通っても怖い。 しかしまぁ、怖い怖いと思っているうちは事故も起きないものさ・・・と思いたい。 |
怖い岩場を乗りきるとすぐに山頂。 石祠と一等三角点が置かれた山頂は、天気が良ければ阿蘇・九重・大崩などが見渡せる絶好の展望台だが、この日は霞がかかり九重はおろか傾山さえ見えなかった。 比較的天気の良い休日の「百名山」の山頂にしては登山者は少ない。今年はミヤマキリシマの当たり年だという九重山に人が集中しているのかも? |
昼食後、九合目小屋から宮原へ向かう。途中の馬の背から見る祖母山は、裏側に怖い岩場を隠し悠然とした山容。 |
宮原コースの尾根は黒金山尾根に比べ緩やかという印象があったが、実際にはほとんど差がなかった。急な下りは疲れきった足にひどくこたえる。 木々の間から漏れ聞こえてきた水音がだんだん近くなり、やっとたどり着いた川上渓谷。清流のそばで少し足を休め、往きに素通りした吊り橋を渡って駐車場に戻った。 |
尾平登山口付近から見る祖母山の稜線。神々しいというか猛々しいというか・・・ |