山名/標高 |
鬼ヶ城(おにがじょう)山/1031m
(廿日市市飯山地区からの眺め) |
登山日・天候 | 2003年11月16日(日)・晴 |
行程 | 松ノ木峠(10:20)〜林道入口(10:35)〜登山口・馬頭観音(11:05)〜山頂(11:45-12:10)〜飯山登山口(12:40)〜国道186号線・434号線〜松ノ木峠(13:20) |
広島・山口県境の松ノ木峠を山口県側に下り、大きな右カーブのすぐ手前にある林道に入る。これが錦町側の登山道入口「ようたあ林道」。入口にはロープが張られ、目立った案内もない(右の標柱は林道をかなり進んだところにある)が、とりあえず奥へ進む。 | |
林道はアップダウンを繰り返しながら奥へ奥へと続く。ひょっとして途中で登山口を見落としたのでは・・・と不安になりはじめた頃、本当に見落としそうな小さな登山口標識が現れた。しかし、ササの間に開いた小さな踏み跡に、別の不安もよぎる。 ガイドブックには「入口の左上にある」と書かれていた馬頭観音が全然見えない。「もしかしたら別のヤブ漕ぎルートなのかも?」と半信半疑でササをかき分けると・・・良かった、いらっしゃいました。 | |
「馬頭菩薩」「馬頭大士」「馬頭明王」ともいう。かつては農耕や交通の働き手として生活に欠かせなかった馬の守護神として、地蔵尊や道祖神などと同様に全国の路傍に観音像が祀られ、農村を中心に多くの人々の信仰を集めた。 梵語では「Hayagriva」といい、魔障を除き、慈悲を垂れる菩薩。頭上の宝冠に馬頭をいただき、三面忿怒の相を持つ。インド神話に、ペードゥ王が司馬雙神から駿馬パーイドゥを賜り、その力を借りて悪蛇を退治したという物語があり、その奮闘の姿を表現した忿怒の形相、馬頭冠や馬頭人身像ができたといわれている。
登山者の数もまばらな細い道にぽつんと残された馬頭観音。かつては多くの人と馬がここを行き来していたのだろう。 | |
最初は鬱蒼として荒れ気味の登山道は、少し進むと急に開けて、ササ原の上に広葉樹が伸びる明るい林となる。青空がまぶしい。 しかしそれもつかの間。おなじみの「こなつ」ちゃんが示す道(右)は、再び鬱蒼とした杉林の中。踏み跡は不鮮明で、テープを頼りに進む。 ちなみに、この道を山頂に向かわずまっすぐ進むと、飯山に下りられる(登山道と合流する)そうである。 | |
(左)杉林を抜け、再び広葉樹林の中に入る。落葉した木々の向こうに寂地山が見える。 足元に生えるササは、初めのうちは丈が短く踏み跡を隠すほどではないが、途中に一ヶ所、肩の高さにまで生い茂る場所がある。ただし踏み跡はしっかりしているので、葉の下を確認しつつ進めば問題はない。 | |
ササ漕ぎの次は、葉の落ちた明るい雑木林。踏み跡が落ち葉に隠れているので、木の枝に巻かれたテープだけが頼りとなる(ここに限らず、この登山道は踏み跡のはっきりしないところが多いので、テープを確実にたどって行く方が良い)。飯山コースの途中にも似たような場所がある。 一歩ごとに乾いた音を立てる落ち葉のじゅうたんは足裏に柔らかく快適だが、滑りやすくもあるので足元には注意を。 | |
雑木林を抜けると山頂は近い。少し急な斜面を登ると、大きな岩が忽然と姿を現す。木々の間に無造作に放り投げられたような巨石群は、自然発生的なものとは思えず、何か強大な力=「鬼」を連想させるに充分である。 | |
ササ原の間を抜け、三等三角点の山頂に到着。3本の柱を上で束ねたもの(左)と、標柱が1本あるきりの閑散とした広場。周囲はササや木に阻まれて、あまり展望はきかないが、不思議と心地よい。 ふもとから、正午を知らせる音楽がかすかに聞こえてきた。 陽ざしが暖かく、少し昼寝でもしたいような気分にさせられた。 | |
山頂より南側の眺め。羅漢山が目の前に大きくそびえ、山頂のドーム型雨量計が視認できた(右が拡大画像)。 |
山頂からは飯山への下山路に入る。来た道を折り返すとすぐに分岐し、直進が飯山ルート、左折して錦町ルートとなる。錦町側に下山する人は、うっかり直進してしまわないように・・・ 飯山ルートは(右)のように、左手にササ原を見ながら一気に急斜面を下る。足元が滑りやすいので注意。 少し下ると、(左)の巨岩が現れる。これが「鬼ヶ城」と呼ばれていたものだろうか。「防長風土注進案」には「この峰より十間ばかり東へ下り、芸地に鬼ヶ城と申す岩石あり。高さ数尺、岩頭古枝を連ぬ、岩下清水湧出、(中略)この岩にてこの山名あり」とある。 | |
広島側の斜面はなだらかだと聞いていたが、山頂直下の道はかなり急峻で、落ち葉が積もっているため踏み跡も定かではない。テープを頼りに坂を下り、杉林に入るとやっとなだらかな道に変わる。 |
飯山からは、国道を伝って松ノ木峠に戻る。色のなくなりかけた初冬の山頂から下りてくると、晩秋の冠高原にわずかに残る色彩がよけいに目にしみた。 松ノ木峠からは国道を宇佐側に沿って下り「深谷峡温泉・清流の郷」に入浴。 |