山名/標高 経読(きょうよみ)岳/992m
犬(いぬ)ヶ岳/1131m
登山日・天候 2004年5月6日(木)・晴
行程 求菩提資料館駐車場(08:30)〜犬ヶ岳林道入口(08:45)〜ウグイス谷〜経読林道(09:25)〜経読岳入口(09:50)〜自然歩道出合(10:05)〜経読岳山頂(10:30)〜(折り返し)〜茶臼山笈吊峠(11:45)〜大日岳犬ヶ岳山頂〜二ノ岳(12:20)〜大竿峠(12:45)〜一ノ岳(12:55)〜(折り返し)〜大竿峠(13:05)〜恐淵〜ヤマメ料理店前(14:25)〜求菩提資料館駐車場(14:45)

色つきの地点辺りにシャクナゲ群落がある。

経読岳は、犬ヶ岳の東約4kmに位置する山で、犬ヶ岳同様かつて修験道の行場として栄えたところ。古くは「両界山」と呼ばれていたが、山頂に経読堂が置かれていたことから「経読岳」と呼ばれるようになり、のちに定着した。山頂部には経読堂跡地の石碑が建てられている。経読岳の東尾根にもシャクナゲ群落があるが、犬ヶ岳に比べると訪れる人は極端に少なく、花をゆっくり楽しめる穴場となっている。
登山道の起点は、バス利用の場合は豊前市新貝地区から経読林道を延々歩いてゆくこととなるが、バス便が少ないので自動車利用が現実的。この場合、経読林道を登山口ゲートまで乗りつければ山頂まで往復2時間弱。手前の林道分岐点から周回すると3〜4時間程度。
鳥井畑を起点とし犬ヶ岳を縦走する今回の行程は、距離が長くアップダウンが激しい健脚向きのコース。時間にゆとりがない場合、逆コース(恐渕から上る)を通れば笈吊峠から途中下山もできるので便利。

求菩提山の真下にある資料館駐車場から出発。犬ヶ岳登山口の標識に従って舗装路を10分ほどでキャンプ場入口、さらに5分ほどで登山者用の駐車場に着く。
ツツジやシャクナゲが咲く4月下〜5月中旬は登山者が多く、この日も平日にかかわらずほとんど満車となっていた。
駐車場の先で道は二手に分かれる。
右は恐渕・夫婦渕などの渓谷を遡り大竿峠から山頂へ。左はウグイス谷から笈吊峠の岩場をよじ登って山頂へ。
今回は先に経読岳まで縦走する都合上、左ルートから登ることにした。
うっそうとした森から次第に傾斜が強まってくるウグイス谷を抜け、経読林道と合流する。合流点には(左)の看板あり。笈吊峠から犬ヶ岳に登る場合は右へ行くことになるが、経読岳登山道は林道を左へと向かう。
ひょっとして登山口を見落としたのではと心配になってくるころ、右手に鉄柵のついた分かれ道が現れる。柵に小さな「登山道」のプレート。
ここから狭く荒れ気味の道をしばらく上ると、ベンチと案内板の置かれた九州自然歩道と合流する。経読岳山頂までは、残り900m。
自然林の中の歩きやすい道・・・に思えた登山道だったが、目の前に大きな岩が現れると、その巨岩の左側を巻いてアップダウンするガレ場となる。途中にはロープの渡されている場所もあり、全体に足場が悪い。
ここを抜けると、見晴らしの良い草地の鞍部に出る。山頂までもう一息。ふり返ると犬ヶ岳の稜線が一望できる。

鞍部からの眺め。天気は快晴だが遠くはかすみ気味。
経読岳山頂に着いた、と思ったらここ(左)は「両界山経読堂跡地」。三等三角点のある922.0mの山頂(右)は、もうひとつ小さな鞍部を越えて数十m先。どちらのピークも木々に覆われて眺望はないが、鞍部からはきれいな三角形の小屋ヶ岳がすぐそばに眺められる。
山頂周辺でシャクナゲを探してみたが、元気のない花がいくつか見つかっただけ。時期が早すぎたのか・・・?
来た道を折り返し、犬ヶ岳(甕ノ尾)方面に向かった。
この縦走路は平成3年の台風19号の直撃を受けて、一時通行不能になっていたという。その名残と思われる立ち枯れた木々が立ち並ぶ尾根。
このあたりが茶臼山の山頂部(1039mの山頂三角点は登山道から外れた場所にある?)で、経読岳と小屋ヶ岳、そのずっと奥には由布岳を望むこともできる(この日はぼんやりと霞んで見える程度だった)。
茶臼岳を過ぎると、道を取り囲む木々の中にシャクナゲが目立ちはじめる。が、花の数は想像(シャクナゲのトンネル)していたよりずっと少ない。
他の登山者の方も口々に「今年は花が少ない」と言っていたので、例年であればやはり今頃が最盛期なのだろう。気候のせいか?
花ばかりに注目してしまうが、ブナやミズナラなど広葉樹も多く、この時期の稜線は新緑も見ごたえがある。
登山道はアップダウンが多く、シャクナゲ保護のためか道幅もあまり広げられていない。場所によっては道が草木に隠れて見えにくくなっていたり、急坂で滑りやすい場所もあるので注意。
笈吊峠から犬ヶ岳山頂の間も岩場や急坂が続く。最大の難所は、峠の分岐点から5分ほどで現れる鎖場。英彦山の材木岩に似た感じの柱状節理に足をかけ、鎖を頼りに数十mの岩場をよじ登る。この日は雨上がりで岩が濡れており、いっそうスリリングな岩登りとなった。
なお、この鎖場の右手には巻道もあるらしい。

甕ノ尾への最後の上りの手前からふり返ると、ここまで歩いて来た稜線のアップダウンがよく分かる。
山頂手前、岩や木の根を手がかりに最後のひと登り。平坦な尾根に出てすぐにコンクリートの避難所兼展望台の建つ犬ヶ岳(甕ノ尾)山頂に到着。平日だが人が多い。眺めもなく、落ち着かないのですぐに移動し、大竿(おおさお)峠方面に向かう。
山頂を過ぎるとシャクナゲはほとんど見られなくなり、そのぶん、新緑に目が行く。前回登ったとき(2000.10)は花はすでになく、紅葉にもまだ早く、あまりパッとしない印象の山だったが、時期を選べば(英彦山と同じ11月上旬くらいか?)紅葉も楽しめそうな感じである。
大竿峠からは、一ノ岳(1124m)まで20分程度で往復できる。「せっかく来たからついでに」足を伸ばしてみた。
大竿峠からの取りつきは階段状の丸木が渡された急坂で息が切れるが、すぐになだらかな道に変わる。一の岳山頂からは、本コース上で初めて英彦山を目にすることができた。ガイドブックでは阿蘇・九重も見渡せるとあるが、この日はよく判らなかった。
大竿峠に引き返し、登山口への下りにかかる。
最初はかなりの急坂で石がゴロゴロしており歩きにくい。城井川源流となる渓流沿いの道からいったん経読林道に出て、ふたたび渓谷に下りる。
V字形の深い谷間には「行者滝」などいくつかの滝が勢いよく水を落とし、「夫婦渕」「恐渕」などと名付けられた底の見えない深みが静かによどみ、左右に迫る切り立った岩の斜面からは幾筋もの支流が流れ込み、小さな滝も散見される。
見事な渓谷だが、岩に取り付けられた鎖をつかんで横這いする身には、あまり楽しんでばかりもいられない。数日前の大雨で水量は特に多くなっており、途中に何度かある沢渡りのポイントも流れが速く、足場とすべき岩の上も水が流れており、かなり危険な状態だった。このルートを利用するときには、数日前からの天気にも充分配慮する必要がある。
上りよりもスリリングで疲れる?下山路をやっと抜け出て、ヤマメ料理店の前に出る。
ここから数分で最初の登山道分岐点と駐車場へ。さらに15分ほどで求菩提資料館駐車場に戻った。
疲れた足で恐渕コースを下るのは少し危ないので、道順としては今日の逆回りの方が良さそうである。犬ヶ岳のシャクナゲ群落を抜けたあとで経読岳では、地味すぎて物足りないかもしれないけど。

下山後は求菩提温泉・ト仙の郷に入浴。