前夜は小雨がぱらついていたが、この日早朝の長者原は快晴。風が強く、牧ノ戸の方にかかっている雲も、じきに吹き飛ばされていきそうな気配。 ミヤマキリシマが満開を迎える季節にはまだ少し早いが、新緑に包まれた九重山には早い時間から登山者が集まってきていた。手早く支度をすませ、まずはすがもり越へ。 |
高度の低い場所では、ミヤマキリシマがほぼ満開となっていた。遠望する泉水山にもピンクの斑点がちらほら。すがもり越付近の三俣山の斜面も花で彩られつつあった。 あまり期待していなかっただけに、これは嬉しい。虫の食害はほとんど目に付かず、花も葉もきれいだった。 |
すがもり越まで前後にいた登山者は皆三俣山に登っていくようで、北千里浜に下ると他に誰もいなくなった。 硫黄山から立ち上る噴気が強い風に吹かれて北千里の方へ流れてくる。硫黄の臭いがときどき鼻をつき、久住分れまでは自然と足早になった。 |
久住分れに到着。今回はいつもと逆回りで、まずは目の前にそびえる久住山を横目に天狗ヶ城のピークを目指す。 御池の周りのミヤマキリシマも花をつけはじめていたが、全体の開花は4〜5分咲きといった感じ。 |
天狗ヶ城の山頂はちょうど誰もおらず貸し切り状態。360度の展望をゆっくり楽しむことができた。 |
(左)中岳から望む平治岳と大船山。平治岳と立中山の山頂付近は、遠目にもうっすらとピンクに色づいていた。 中岳からは急斜面を下って、向かいの稲星山へ。 |
稲星山は溶岩と砂礫の印象が強く、花は全く期待していなかったのだが、白口岳や大船山を望む山頂の北東面には草地があり、低く根付いたミヤマキリシマが一面に花を咲かせていた。 稲星山も貸し切りだったが、次の久住山はさすがに登山者が多く、少し休んですぐに久住分れに下った。 ここまでに4つのピークを踏んだが、遠望する祖母・傾は雲間にピークだけが浮かび、阿蘇山は全く見えず、由布岳の頂も時折雲に隠れてしまう。くじゅうだけが晴天に恵まれているように見える。 | |
西千里浜を通って牧ノ戸方面に下る。上ってくる登山者の数はさすがに多い。 振り返ると青空の下、西千里の向こうにピラミダルな久住のピークがそびえ立ち、牧ノ戸から歩いてきた人にとっては、疲れの吹き飛ぶ素晴らしい眺めだろう。今日は絶好の久住登山日和。 ・・・しかし、空が青かったのはこの頃まで。山を下るにつれて次第に雲が多くなり、牧ノ戸に着くと一面の曇天。雨が気になりはじめた。 |
標高が下がるにつれて、ミヤマキリシマの花が再び増えてきた。道ばたに目をやると小さなイワカガミの花、沓掛山には、しおれかけていたがシャクナゲの花も残っており、彩りを楽しみながら牧ノ戸へと下った。 正午が近づくと上ってくる人の数も次第に少なくなってくるが、それでもなお、続々と登山者がやってくる。こちらも牧ノ戸からもう1〜2山越そうとしている身だが、下山時間は大丈夫ですか? |
例によって満車の牧ノ戸登山口で少し休憩の後、道路を渡って黒岩山へ。 本日最後の急坂を上り、狭い岩場の黒岩山頂に着くと、三俣山や久住方面には雲が低くたれ込め、一部で雨が降りはじめたように見える。先ほどまでの晴天が嘘のよう。こちらもいつ雨が落ちるか分からないので、急いで泉水山に下ることにした。 |
天気は悪くなったが、泉水山の周辺がミヤマキリシマの一番の見どころだった。ほぼ満開で虫の食害もなく、晴天であったなら眺めも最高であったろう。 思い返せば、泉水山の上で晴天に恵まれた記憶がない。最近は晴れの日を選んで登り、その都度概ね期待を裏切らない九重山だが、泉水山だけは相性が悪いようである。もっとも、逆回りに上っていれば中岳のあたりで雨に遭ったかもしれず、これはこれで良かったのだろう。結局、下山まで雨に降られることはなかった。 | |