山名/標高 九重(くじゅう)山
 大船(たいせん)山/1786m
 黒(くろ)岳
   高塚(たかつか)山/1587m
   天狗岩(てんぐいわ)/1556m
登山日・天候 2009年6月14日(日)・晴
行程 ガラン台登山口(06:35)〜柳ヶ水入山公墓地分岐(07:10)〜入山公廟(07:55)〜大船山(09:00-09:15)〜前セリ〜風穴(10:45)〜〜高塚山(11:25-11:35)〜天狗岩(12:00)〜風穴(12:50)〜ガラン台登山口(13:55)

先月に続き,くじゅうに花見登山。
長者原,男池,牧ノ戸は大混雑が予想されるので,昨年紅葉を見たガラン台からの登山道を歩くことにした。7時前といっても陽が高く,満車が心配だったが,幸いにもいつもの空き地は空いており,鉄柵前にも1台が駐まっているだけだった(下山時にはどちらも満車だった)。
10月末は凍えそうな寒さだったが,この時期は下界より少しひんやりした空気が心地良い。
急坂の舗装路から「入山公墓地」分岐に入り岳麓寺コースに合流。あまり見通しのきかない樹林帯の中を上り,入山公墓地の標識から脇道に入る。ここまでは昨年と同様。
前回,入山公の墓と間違えた祠の左手に石段が続いており,ここを上ると入山公・中川久清の墓所。さすがに藩主の墓だけあって立派なものである。ようやく殿への拝謁が叶い,安心して大船山に向かった。登山道は入山公の墓の脇からすぐに合流する。
竹田岡藩三代藩主,中川久清(隠居し入山と号する)は藩政改革等を積極的に行い,又万一異国船が渡来したときに備え軍制の整備にも取り組み,洋式の火器を採用し,秘かに訓練を行いました。その演習場に大船山鳥居ヶ窪を選んだといわれています。
入山が大船山に初めて登ったのは,寛文二年(1662)八月二十三日のようであり,山麓で休息ののち地元農夫の背負う人鞍に乗って登山したといいます。
入山は大船山をこよなく愛し,自身の墓所を大船山に設けるように書き付けを残し六十七歳で死去しました。入山の霊廟は公の意志に添って大船山の鳥居ヶ窪を見下ろすこの位置に建てられました。

(旧久住町教育委員会の説明板より抜粋)
鳥居ヶ窪から間近に迫った大船山の山頂部を仰いだ後,再び樹林帯に入り急坂を上る。辺りの木々が灌木に変わるとともに,久住高原や祖母・傾山の稜線が背後に大きく広がり,ミヤマキリシマの花が登山道の周りを彩りはじめた。
入山公もこの風景を楽しんだのだろうか・・・人に担がれながら。足が弱く,自力での登山はできなかったとのこと。そして,登山の際は麓の長湯温泉に逗留したそうな。長湯の日帰り温泉を「御前湯」と称するのはその故である。

阿蘇,祖母山は今日も雲間に山頂部だけ浮かぶ。この時期は天気に関わらずこんな眺めなのだろうか。
登山道ではあまり人にも会わなかったが,大船山の山頂はすでに多くの登山者が集まっていた。
山頂から見下ろす北大船山はピンクに色づき,その中を沢山の人影がうごめいている。山頂は今も充分賑やかだが,あと1時間もすればさらにごった返すことになるだろう。
前回は3〜4部咲きだった中岳山頂部もピンクに染まり,くじゅうの最高所周辺は今が見ごろのようであった。

北大船山,平治岳方面の眺め,段原付近の白い塊は,登山者の団体である。
大船山の下りは,団体を避けて前セリを下ることにした。このルートなら,少人数とすれ違うことはあっても,団体が利用することはまずないだろうという読みだったが・・・。まず「少人数」ではなかった。次々と人が上ってくる。そして,団体もいた。幸い,平地で休憩中だったのでスムーズに抜けることができたが。
前セリコースを下り,風穴まで少し上り返す。シャクナゲは終わり,ミヤマキリシマの花は乏しい黒岳の登山道は,6月のくじゅうにしては閑散としていた。上りはじめてしばらく誰にも会わず,途中でようやく2〜3のグループに遭遇。
紅葉が映える山だけに,この時期の緑も眼に鮮やかである。あえて混雑を避けて静かな山行を楽しむのも一興。足場がもろいので,下に人がいるときは石を落とさないように細心の注意を。
大船山のアップダウンで疲れた足にむち打ち,ようやくたどり着いた黒岳(高塚山)山頂。予想していたとおり,花はない・・・しかも,期待していた平治・大船の「ピンクの山肌」も見えない。
同じ山でも,方角が変わればこれほど植生が違うものか。
少し休んで,天狗岩に向かった。
高塚山の山頂も,大船山に比べれば人は少なかったが,天狗岩にいたっては貸し切りである。やはり花は少なかったが,雄大な眺めを堪能して,下山の途に着いた。
午前中は雲ひとつない青空だったが,前セリを下る頃から雲が増えてきた。日がかげると,森の木漏れ日が極端に暗くなり,天気が崩れはじめたのかと心配になる。実際は,1日ほぼ好天に恵まれ,前回のような怪しい空模様にはならなかった。
前セリ分岐から少し下ったところで道が分岐する。昨年は左に折れて今水方面に下ったが,今回は岳麓寺方面に直進。5分ほどで再び道が分かれ,「ガラン台(コンクリート道)」方面に進むと,すぐに見覚えのある舗装路に出る。道なりに進むと10分ほどで入山公墓地分岐が現れ,その後出発地点まではつづら折りの坂を下るだけとなる。
ガラン台周辺では,牛の放牧が行われていた。無言でじっと見つめられ,内心びくびくしながらそばを通り抜けた。