山名/標高 大山(だいせん)
 三鈷峰(さんこほう)/1516m
 振子山(ふりこせん)/1452m
 野田ヶ山(のだがせん)/1344m
登山日・天候 2010年5月30日(日)・曇ときどき晴
行程 川床(06:45)〜中の原スキー場(07:15)〜宝珠山(07:35)〜下宝珠越(07:50)〜中宝珠越(08:10)〜三鈷峰(09:00)〜ユートピア小屋(09:20)〜振子山(09:45)〜親指ピーク(10:05)〜野田ヶ山(10:20)〜大休峠(10:45)〜川床(11:45)

前回(2004.10)は,中の原から川床に下り大休峠から三鈷峰に縦走したが,今回は川床を起点とした逆向きのコース。
6:30に川床の自然歩道入口に到着。ここには4〜5台分の駐車スペースしかないが準備をしている間にも続々と車が入ってきた。日中の満車率はかなり高い。
天気は晴れたり曇ったりで,明け方にはくっきり見えていた大山にもガスがかかりはじめた。不安を感じつつ中の原へ向かう。
中の原から芝のゲレンデを直登すると,ズボンの裾が朝露でびっしょり濡れてしまった。
リフト最上段の脇にある,字の消えかけた木の標示板から登山道に入る。ササが被り気味の踏み跡をさらに上ると,「宝珠山」と書かれた木の看板がぶら下がるだけの山頂に到着。その先に続く尾根道を少し下ると,大神山神社からの道が合流する下宝珠越に出る。ここからは踏み跡がはっきりして歩きやすくなった。
尾根道はアップダウンを繰り返しながら高度を上げ,中宝珠越まで来ると木々の間から三鈷峰が見えるようになった・・・が,山頂はガスの中。ガッカリ。
眺めが回復することを期待しながら,次第に荒れて急峻になってくる尾根を上った。
中宝珠越の標識にはユートピアまで1.1kmとあったが,悪場が多く早く歩けないこともあり,距離を書き間違えているのではないかと思うほど長く感じた。
岩場や崩れかけた斜面を越え,砂滑りのある上宝珠越まで来ると,大山北壁が眼前に荒々しく立ち上がった。ガスが晴れた,というよりはガスの上に出たようであった。
稜線の上には真っ青な空が広がり,視線を落とすと中宝珠越あたりは雲に隠れて見えない。高い場所に来ていることを実感する。
宝珠尾根を上りきり,ユートピア小屋下の分岐から三鈷峰へ。この分岐からは見える山容は,緑に覆われ何となく穏やかそうだが,見えない裏側(北側)に恐怖が潜んでいる。
灌木林をかき分けるように進み,周囲がぱっと開けるといよいよ恐怖の稜線がはじまる。
片側が崩れ落ち,目がくらみそうな断崖となっているその上をゆっくり伝って行く。この頼りない踏み跡も,いずれは崩壊が進み剣ヶ峰のように通行禁止となるのだろうか。
ケルンの積まれた山頂にたどり着き,ようやく安心して後ろを振り返る。眼下に一面雲が広がり,ふもとの様子も周囲の山々も見えない中,ただひとつそびえる大山が神々しい。
ユートピア小屋へ移動し,少し上って象ヶ鼻から分岐路を振子山方面へ。今回登った一番高い山は三鈷峰だが,コース中の最高所はこの象ヶ鼻(1550m)となる。
これから向かう稜線を見ると,かなり急な下りに見える。象ヶ鼻より200mくらい低い野田ヶ山,矢筈ヶ山,甲ヶ山あたりが雲の境目で,ガスの中に姿が見え隠れしていた。その手前に小さく尖る親指ピーク。ここを越えるまで,気は抜けない。
象ヶ鼻から親指ピークの間にも,足下近くまで崩壊し歩くのが怖い場所があったはずだが,ルートが変更になったのか植生が回復したのか,気づかないまま通り過ぎ,いよいよ親指ピークの正面に到着した。
親指ピークに関しては,野田ヶ山からの上りルートよりも振子山からの下りルートの方が高度感があり,見晴らしの良さもあって恐怖感が倍増された。よく似た形の小矢筈に比べ足場がしっかりしていたのが救いだった。
最大の難所を越え,さらに灌木帯を進んでいくうち,周囲はいつの間にか樹林帯に変わってきた。ブナに囲まれた斜面を上ると,そこは壊れた野田ヶ山の標識が残る狭いピーク。
あとはひたすら下るだけだと安心したのもつかの間,野田ヶ山から大休峠への道は倒木が多く,ぬかるんで踏み跡も不明瞭。今までの縦走路とは違った歩きにくさに悩まされた。
大休峠に下りると,頭上は一面の曇り空。石畳の道がじっとり濡れているのは,朝から陽が差していないからだろうか。
ここに立っている限り,標高1500m以上の絶景は想像もつかないのだが,実際に雲が増えていたようで,下山後に米子市内から眺めても,大山はすっぽり笠をかぶり,展望は期待できない状況となっていた。