山名/標高 犬(いぬ)ヶ岳/1131m
求菩提(くぼて)山/782m
登山日・天候 2006年7月13日(木)・曇ときどき晴(一時雨)
メンバー 斉藤(宗)・斉藤(滋)・加藤・伊藤・和崎
行程 犬ヶ岳公共駐車場(08:20)〜ウグイス谷〜笈吊峠(09:55-10:10)〜笈吊岩〜犬ヶ岳山頂(11:20-11:30)〜大竿峠(11:50)〜一ノ岳(12:05-12:35)〜杉の宿跡(13:20)〜虎の宿跡(14:05)〜胎蔵界護摩場跡(14:30)〜求菩提山山頂(14:40-14:50)〜五窟めぐり〜求菩提資料館前(15:55)〜犬ヶ岳公共駐車場(16:10)

シャクナゲが稜線を彩る5月は平日でも多くの登山者で賑わう犬ヶ岳だが、他の時期はいたって平穏。夏の平日ともなると登山口前の駐車場もがら空きで、猛暑のせいもあってか結局この日は我々以外誰も登りに来なかったようであった。
ウグイス谷へ向かう上りの舗装路には、たくさんのキツネノカミソリがオレンジ色の花を咲かせていた。
沢を渡り、経読林道に続く急登に取りつく。
ジグザグの山道を上っていくと次第に展望が良くなり、一の岳から求菩提山へ続く稜線の一部を望むことができる。求菩提山といえば山腹の「コブ」ばかりが印象に強いので、尖った山頂部が目立つだけの山容が新鮮に感じられた。
経読林道に出て西へ(右折)5分ほど進むと、笈吊(おいづる)峠への入口が現れる。近くに水が流れているが汲みにくい場所にある。山道に入って少し上ると渓流があり、こちらで汲んだ方が楽。
笈吊峠までの上り道は、踏み跡が不明瞭だったり倒木で道が塞がれている場所があるので、木の枝などに巻かれた目印のテープを見落とさないように注意。
山中にはなぜかヒキガエルが多い。この日は途中で3匹出くわした。やはり暑いからか、動きがやけにのっそりしている。
笈吊峠で小休止後、笈吊岩へと向かう。
この岩場には鎖場が2カ所(難しい/易しい)と急坂の巻き道とがあり、今回は「難しい鎖場」と「巻き道」の2班に分かれて上ることにした。ちなみに前回(2004.05)利用したのは「易しい鎖場」だったようである。
「難しい鎖場」は、斜度や登攀距離の長さもさることながら、一部に浮き石があり足場の確保にも注意しなければならない。
内心びくびくしながら鎖場を上りきると、シャクナゲ群生林に半ば隠れるようにして細い道が山頂に続いている。道端に倒れて朽ちかけた木の幹には、キツツキの巣穴が残っていた。
易しい鎖場と巻き道はすぐに合流する。スリリングな岩場を越えて気分はもう「登頂」だが、この先もしばらくアップダウンが続く。

「展望がない山」という印象が強い犬ヶ岳だが、稜線上の樹林の切れ間からは南側の展望が開ける。
標高1000mの樹林帯は下界よりいくらか涼しいとはいえ、この日の暑さは尋常ではなかった。この山からそう遠くない日田市では、日中の最高気温が36度に達したという。
暑さと急登に喘ぎながらゆっくり山頂を目指す。
「避難小屋兼展望台」の建つ犬ヶ岳山頂(甕ノ尾)に到着。この建物はしかし、避難小屋としては狭く使い勝手が悪いし、屋根の上からの眺めも、周囲の木々が伸びて今やまったくない。
少し休んで、縦走路を一の岳方面に向かった。
山頂から一の岳にかけての縦走路では、ブナ、カシ、ミズナラなどの巨木に目を惹かれ、森に響くにぎやかな野鳥の声が耳を楽しませる。
大竿峠から急坂を10分ほどで展望の良い一の岳。西に大きくそびえる英彦山からは時折ガスが立ち上ってきた。天気の悪化が予想される。

一の岳から南側の眺め。九重、阿蘇から釈迦岳などの津江山地を経て英彦山まで一望できた。
一の岳から求菩提山山頂に続く登山道へ。樹林帯を少し下ると林道に出る。横断してまたすぐ登山道へ(出入口に看板あり)。
ガスが迫ってきていたようで、一の岳から少し高度を下げただけで周囲に霞がかかり、気温も少し下がってきたように感じた。
いつの間にか野鳥のさえずりが消え、薄もやの中に蝉の声だけがよく聞こえるようになった。
杉の宿跡、虎の宿跡といったかつての行場跡を過ぎたころから弱い雨が落ち始めた。傘をさすほどの勢いがないのは幸い(雨具を用意していない!)だが、勢いがないぶん、雨粒を浴びてもまるで涼しくならないのが困りもの。
ほぼ緩やかに下ってきた縦走路は、胎蔵界護摩場跡で2手に分かれ、求菩提山頂に向けては石の積まれた上りとなる。
10分ほどで上宮の建つ山頂に到着。周囲は杉の巨木に囲まれ(平成3年の台風19号になぎ倒されてだいぶ疎らになったという)展望は全くきかない。
上宮の正面には鬼が一夜で築いたという850段の石段「鬼の磴(あぶみ)」があるが、この日は雨で滑りやすく危ないので、もと来た道を護摩場跡へ引き返した。
護摩場跡からの下山路は山の南側、ちょうどビュート(=コブ)の下を回り込むルート。切り立った崖下の窪みには大日窟、普賢窟、吉祥窟などの名前とともに祠が置かれ「五窟めぐりコース」と呼ばれている。
五窟めぐりの先で道はまた2手に分かれ、求菩提資料館方面の下りルートに入る。さすがに長時間の山行で足が疲れ、500ml×3本用意していた飲み水も汗と引替えに底をつきかけていた。いつの間にか雨は上がり、蒸し暑さが増した駐車場に帰り着いたのは出発から約8時間後だった。
すぐ近くの求菩提温泉ト仙の湯で汗を流し、帰途に着いた。