山名/標高 九重(くじゅう)山
 大船(たいせん)山/1786m
 黒(くろ)岳
   高塚(たかつか)山/1587m
   天狗岩(てんぐいわ)/1556m
登山日・天候 2008年10月21日(火)・晴
行程 ガラン台登山口(07:05)〜柳ヶ水入山公墓地分岐(07:45)〜鳥居窪(08:35)〜大船山・御池(09:30-10:00)〜段原(10:25)〜風穴(11:35)〜天狗分れ(12:05)〜高塚山(12:15-12:25)〜天狗岩(12:55)〜風穴(13:40)〜前セリ(14:05)〜今水登山口(14:45)〜今水駐車場(14:50)〜ガラン台登山口(14:55)

久住高原を横切る国道442号線から広域農道に入り、旧直入町方面へ。
七里田温泉入口標識の先が四叉路になっており、「大船山・黒岳登山口」の看板が立っている。ここを左折し、細い道を大船山方面へ数km上ると道が二叉に分かれ、分岐点の脇に車数台が駐められる空き地がある。
左はガラン台への上り、右は少し下って今水登山口へ続く道である。いずれも細い道で先行きが不安なので、ここの空き地に車を置いてガラン台方面に歩いていくことにした。ちなみに、この分岐点には登山届を入れるポストが設置されている。
舗装された急坂を5分ほど上ると道路は鉄柵で閉ざされ、一般車はここで行き止まり。手前の路肩に4〜5台分の駐車スペースがあるが、満車の場合Uターンが困難な道幅なので、下に駐車しておいた方が無難だと思う。この日、平日の朝7時で鉄柵前にはすでに3台の車があった。
鉄柵は鍵がかかっているので乗り越える(途中にもう1ヶ所ある)。放牧が行われており、路上には牛の糞が散らばっているのでよけながら進み、由布岳の正面登山道を思い出させる(こちらは舗装されているが)ジグザグの急な上りを30分くらいで、大船山と黒岳を正面に望む平坦地に出る。ここが「ガラン台」。
背後には霧の海に浮かぶ阿蘇五岳と祖母・傾山群。空は真っ青、朝日がまぶしい。
ここからは「入山公墓地」方面へ、標識を見て左の細い道に入る。
分岐から10分ほどで、岳麓寺からの登山道と合流(柳ヶ水)。大船山への直登コースとなるが、途中に入山公墓所への分岐がある。
今回の山行では、岡藩三代目藩主で「入山公」と称された中川久清(1615-1681)の墓所に詣でるのも目的の一つだったのだが、ここで大失敗。分岐から数分でたどり着いた小さな祠を「入山公の墓」だと思い、元の道に引き返してしまった。藩主の墓にしてはずいぶん小さく、説明板もないのはおかしいと思ったのだが・・・。
あとで調べてみると、この祠の奥に立派な墓所があり、そのまま登山道に抜けられるという。

次回は間違えずにお参りしますので、殿 お許しを。。。

墓所の分岐に戻り少し上ると、正面に朱く染まった大船山を望む平地に出る。ここは「鳥居窪」と呼ばれ、件の入山公墓所もこのあたりにあるとのこと。
山に取りついてから山頂付近までの道はほとんど樹林帯に覆われており、紅葉はきれいだが展望はあまりない。1ヶ所、木々の切れ間に眺めの良さそうな岩のテラスがあったが、先客が休んでいたのでパス。さらに上るとやがて高木が途切れ、阿蘇・祖母山を一望できる場所に出る。
道の正面に望む大船山もずいぶん低くなり、山頂部?の岩場もよく見えるようになった。

大船山山頂手前から、傾山〜祖母山(左)、阿蘇五岳(右)を遠望。
(左)山頂手前の岩かげに置かれていた石仏。台座に彫られている文字は「山上四国ダイ十八番」と読めた。登山道を八十八ヶ所巡りに見立てていたのだろうか。他に石仏は見あたらず、詳細は不明。

登山道では紅葉はまばらだったが、さすがに山頂まで来ると8〜9割方紅葉していた。昨年はまさにピークのど真ん中という感じだったが、今年は数日早かった? しかし、真っ赤に染まった大船山からの眺めは何度見ても圧巻。
ただし遠望は今ひとつで、阿蘇、祖母、由布岳は雲間に浮かび、その先は霞み気味で思ったほどすっきりしていなかったのは残念だった。


半年前に野焼きの行われた坊がつるに夏草が芽吹き、秋が来て一面の枯れ草色。自然の移り変わりは早い。

(左)段原の紅葉 (中)祖母山遠望 (右)由布岳・鶴見岳遠望

御池(みいけ)のほとりには数人のカメラマンが三脚を立て、光の加減が変わるのをじっと待っていた。
会話を漏れ聞くと「早朝からずっと粘っている」様子。そうさせるだけの魅力が、確かにここにはある。
大船山頂に5〜6グループ、段原に下りるまでにも5〜6グループとすれ違ったが、休日に登った昨年に比べると登山者は少なく、狭い岩場の上り下りもスムーズ。
段原からは風穴への下りコースに入る(標識は特にない)。例によって道の両側を埋め尽くすミヤマキリシマが袖やリュックを引っ張り、腕を引っ掻く。紅葉の季節を迎えても、枝の勢いは衰える気配がなかった。
(左)米窪越しに望む大船山。この威容を眺めた後、風穴を目指し急斜面を一気に下る。

(右)急坂の途中から仰ぎ見る黒岳。高塚山と天狗岩が双耳峰のようにそそり立つ。
以前に時間と体力の都合で見送ってしまった天狗岩のピークを踏むのも、今回の大きな目的。とはいえ、急坂を下るにつれてぐんぐん天に近づいてゆくピークを見ていると、またもや意気消沈しそう・・・。

下りきった鞍部から男池方面へ数分で黒岳登山口の分岐。風穴の回りは岩だらけで、よく晴れて乾燥したこの日でも日差しは届きにくく、岩の上はやや湿り加減。足を滑らさないように注意。岩の間から冷たい風が吹き、急な下りで温まった体を少しだけ冷やした。
しかし上りにかかると再び汗だく。急坂のガレ場で滑りやすく、所々につけられたロープも細く頼りない。
このガレ場はかなり長く続くという印象があったが、上るにつれ足場がしっかりして歩きやすくなった。とはいえ急坂に変わりはなく、山頂までほぼ喘ぎっぱなし。
高塚山の上も登山者が多かった。展望はあまり良くないが、眼前に朱く染まった大船山が大きくそびえ、迫力満点。
少し休んで、天狗岩に向かう。高塚山と天狗岩の間は、鞍部の「天狗分れ」を挟んでほぼ一直線だが、枝道が増えて少し判りづらくなっている。高塚山に上るときも非正規のルートを通っていたと、下りで気づいた。
下山時は特にテープなどの目印を見逃さないように注意。

高塚山から大船山と平治岳を一望。ミヤマキリシマの「当たり年」は、ここからピンクの山肌を眺めても面白そう。
名前のとおり、天狗岩は巨岩が折り重なった岩場のピークである。足場はしっかりしており、ペンキの目印に沿って上ればそれほど困難な道ではないが、鎖やロープは全く取り付けられていないので、不安を感じる場所もある。
岩の間に点在する紅葉はきれいだが、気が抜けない。
高塚山に比べると登る人は少ないが、すれ違いは広い場所で、無理せず慎重に。
積み上がった岩の一番高いところに「1556天狗」のペンキ書き。天狗岩の標高は1550mとされていることもあるが、これを書いた人に従い1556mとしよう。
それにしても、天狗が岩を積んだようなこのピークはどうやって出来たのだろう?
山頂ではそんなことを考えるゆとりもなかった・・・
風穴まで下り、標識の「岳麓寺」方面に下る。昨年大船山への上りに使った「前セリ」の分岐を過ぎると一時植林帯となるが、5分ほどで自然林に戻り、下山路は「岳麓寺」と「今水」に分かれる。どちらを通っても駐車場に戻れるが、今回は今水への下山ルートを辿ることにした。
この分岐を過ぎると、周囲の紅葉はほとんどなくなり、季節が1ヶ月くらい戻ったような印象を受ける。
下山にはまだ早い、ゆっくり紅葉を眺めて、写真をもう少し撮っておけば良かったかなぁ・・・名残を惜しみつつ森の中を下った。
良く踏まれた道だが、踏み跡が錯綜し不明瞭なところもある。テープなど目印の確認を。

分岐から40分ほどで林道脇に出た。登山口標識には「黒岳」のみ書かれているが、前セリや風穴から大船山に登ることもできるので登山者の人気が高いのではないか。駐車場(林道の路肩)はほぼ満車だった。
駐車場からさらに5分ほどで出発地点の駐車場に到着。ふもとの七里田温泉で汗を流し、帰路についた。